« [書評] 死生論(西部邁) | トップページ | 洋ドラの見方 »

2018.01.31

[ドラマ] ゲーム・オブ・スローンズ

 ああ、アマゾン・プライムにもファンタジー・ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(GOT、ゲースロ)入っているなあ。プライムで無料で見られるのはどこまでだろうかと調べると、シーズン6までのようだ。
 私は先日、シーズン7(第7章)を見終えた。シーズン6まで1シーズンは1時間程度の回が10話だったのが、今季は7話と少なかったのが不思議には思えたが、じっくりとペースの変化もなく、大きな括りはあったので、これはこれでよいのだろう。原作が追いつかないという話も聞いたが、それが関係あるにせよである。
 次季のシーズン8で完結するらしい。全話は6話程度だと聞いているが、2時間以上の回もあるらしいので、全体として少ないということはないのだろう。問題は、その次季がいつかだが、来年になるらしい。下手すると次に見ることができるのは、1年半後になるかもしれない。おぉぉぉ、これ見るまで死ねないぞぉ、という感じである。悪い冗談で言うのだけど、自殺防止にいいんじゃないか。ということで、これからすげー待たされるので、このあたりで感想書いておきたい。
 感想。とにかく、すごい。
 人類史始まってこのかた、こんな壮大なドラマってないんじゃないのと思う。もちろん、『指輪物語』も壮大だし、『聖書』だって壮大なドラマだと言えないことはない。ファンタジーではないがトルストイの『戦争と平和』も壮大だし、ヴァーグナーの歌劇『ニーベルングの指環』も壮大である。ただ、なんというのか、そういう古典的な壮大さとゲースロは異質なのである。『聖書』が人類が持ちえたもっとも壮大な物語であるとしても、その壮大さは想像して見ることを迂回しているが、ゲースロはまず見える。そして見えたものが、凡人の想像力のヴィジョンをはるかに超えている。これは、『指輪物語』の映画が三部作で多くても10時間という尺の制限によるのかもしれないが。
 ゲースロの何が面白いのか。率直にいうと、エロ、グロ、暴力がてんこ盛りであること。最初は面食らう。こんなの面白いなんていって見ていたら、なにか感覚が麻痺してしまうんじゃないかという恐れもあったが、ダメだ、圧倒されてしまった(サーセイの処罰シーンとか、よくあんなの撮ったなあ)。そしてその挙句、このエロ、グロ、暴力というリアリティなくしてファンタジーってないんじゃないかとすら思うようになった。ただし、それらがゲースロの面白さの核ではない。
 ストーリーは面白い。シーズン1のエンディングなど、えええっ!という驚きがあるし、その後も、ええええっ!は何度もある。とくにシーズン最終回に。当然、ご都合主義もあるけれど、行き当たりばったり、少年ジャンプの連載続けてくださいよ先生というタイプのご都合主義じゃなくて、ストーリーが進んだあとから考えると、なるほどねえということになっている。まあ、それでもご都合主義はあるのだけど、面白ければいいじゃん。
 世界観もすごい。最初はよくあるファンタジーじゃんかと高をくくってしまいがちだが、いやいや深い。これはあとでもう一度触れる。
 そして、ようやく自分が思う面白さの核だが、愛憎である。人が愛し、憎しみ合う。見ている視聴者もそれぞれのキャラを愛し、憎む、のだけど、この愛しきれない、憎みきれない、このなんともいえない人間性の重みが、すごい。人間って単純な生き物じゃないんだよというのがじんじんと伝わってくる。この側面で言うなら、ゲースロは普通に文学的だし、19世紀文学の正統のようですらある。
 さて、このすっげーゲースロなのだが、これから見る人は、3つの点で敷居が高いかもしれない。ちょっと上から目線的だが、愛好者が増えてほしい意味で、言っておきたい。
 1つは、人物がやたらと多いこと。しかも人物関係、家系図を理解していないと話がわからない。ネットにはいろいろ顔写真付きの家系図や、シーズンごとの相関図などもあるので、シーズン2ぐらいまでは、あれ、これ誰?というときは、参照するといい。それにしてもこれだけ人物がいてしかも関係が錯綜しているのだけど、各シーンごとの人物はきちんと整理されているので、見てて、うぁああ混乱した、というのは意外に少ない、のでご安心を。
 次に、登場人物が多いということの結果でもあるけど、物語を構成するパーツがつねに4、5個同時進行する。これを理解しやすくするには、ゲースロ世界のマップが頭に入っているといい。このマップは、オープニングにも出て来るので、最初はオープニングをなんどか見ておくといいかもしれない。
 そして3点め。ゲースロの世界は、前史がある。この前史について完璧に理解していなければ楽しめないということはないけど、前史は知っておいたほうがいい。幸い、YouTubeとか探れば、紙芝居みたいのがあるから、それを2、3度見ておくといいと思う。
 というわけで、ゲースロ入門書みたいのがあればいいのだけど、というか僕自身欲しくて探したのだけど、見つからなかった。アマゾン・プライムで一気にファン層が広がると、そういう書籍も出て来るかもしれない。原作の翻訳も増えるんじゃないだろうか。
 まあ、くどいけど、すごいよ、ゲースロ。

 

|

« [書評] 死生論(西部邁) | トップページ | 洋ドラの見方 »

「ドラマ」カテゴリの記事

コメント

自分もGOT好きです。
エログロバイオレンスは自分の好みじゃないのにも関わらず、そんなものを吹き飛ばすパワーがありました。
原作小説の「氷と炎の歌」もすごかったです(というか、完璧な原作を完璧にドラマ化したという印象)。

投稿: ambitn | 2018.01.31 20:46

見始めたときは、こちらのガイドブックを読みながらでした。

"日経エンタテインメント! 海外ドラマSpecial ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクトガイド 第一 ~ 三章"

https://www.amazon.co.jp/dp/4822275930/

今Amazonでチェックしてみたら、値段が上がっているようですが…

投稿: | 2018.01.31 23:12

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/657/66343070

この記事へのトラックバック一覧です: [ドラマ] ゲーム・オブ・スローンズ:

« [書評] 死生論(西部邁) | トップページ | 洋ドラの見方 »