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2018.01.06

[アニメ] 宝石の国

 私の習性からすると、アニメ『宝石の国』は原作のコミックの最新刊まで読み終えてからなんか書くか、あるいは、原作のほうを主対象とするかなのだが、比較的最近見終えたアニメのほうの印象について、現状でも書いておきたい気がした。

 昨年のアニメで良かった作品リストというのが年末ツイッターに流れてきて、その上位に『宝石の国』が入っていた。私は見ていなかったので気になっていた。そしてすでに書いたように原作との関係が気になりつつ、アニメを見るのをためらっていた。が、見た。
 いきなり余談だが、私は『進撃の巨人』は原作を全巻繰り返し読んでいる。アニメ化の際はどうだろうかと不安だったが、この作品については、アニメ版のほうが完成度が高い面がある(同名作品の映画については言及すら避けたい)。他方、『キングダム』(あきれたことにこれもコミックを全巻持っていて一応読んではいる)のアニメには不安以前に出来上がったのを見てしまってた。フルCGのウニョウニョがアニメの『亜人』みたいだなあと落胆した。『山賊の娘ローニャ』はウニョよりゴキゴキ感があった。アニメにCGは避けられないのだけど、フルCGはなあ。
 というころで『宝石の国』である。原作は未読ではあるが、絵のタッチは見ているので、「ああ、高野文子入っている」とかというのはわかる。高野文子の作品のフルCGは現状の技術だとどうだろうか以前にアニメ化について想像もつかないが、と、話戻して、まず『宝石の国』のオープニングなのだが、なるほどねと思った。フルCGの良さの面を逆に強調しているのかと。特に、オープニングでフォスが立ち上がる動作はモーションキャプチャーだろうか逆説的だがなかなかいい。作品の内部でのCGだが、概ねあれでいいんだろうなとは思った。戦闘シーンは美しい。他方、宝石らしさのCG表現については、個人的にはちょっと違うかなとは思った。アニメらしいキャラの作り込みも、原作のキャラより美少女アニメっぽいデフォルメが入っているので、そこも多少違和感は感じた。声優についてはかなりいいなあと思った。フォスの黒沢ともよはかなりいいというか、他の声のイメージが浮かばなくなった。
 まあ、ぐだぐだ言ったが、それでどうだということでもなく、これはアニメ作品であり、原作とは別だというだけで、まだ原作のほうは最新刊まで読んでもいない。が、そうはいっても、アニメは概ね原作をなぞっているし、重なる部分はある。以下はそのぐだぐだの暗黒面で。
 ファンタジーとしての世界観の異質感はあるにはあるが、あまりない。斬新というより既視感が強い。あ、こりゃ……萩尾望都に岡野玲子、それとマックス・エルンストに四谷シモン……といった連想がいろいろと浮かぶ。しかし、そうしたものの総合感というものでもない。
 宝石の少女たちは表層的には無性のように描かれているし、呼称も性の直接性はないが、むしろそのことが強く少女性を表していているので、無性・両性性の対局にあるだろう。宝石は少女の美しさというより、少女が女の肉体と肌とその香りを持たないことの総合なので、こうした点で、宮﨑駿的な少女よりもさらに洗練されている。
 それらが全体として、個人的な印象といえばそうだが、それぞれの切なさを表している。宝石であることは、少女のキャラ化というより、切なさのキャラ化であり、切なさの色合いや質感が宝石として表現されている。切なさの微分化と言ってもいい。この微分的特性が逆に物語として積分されるような仕組みに、まさに物語が動き出すところがすばらしい。
 そうした切なさの彩りを、この作品の愛好者はどのように受容しているのか、という批評的な関心も惹起させられる。切なさ自体は、その様式を変えながらいつの時代にも存在するものだが、それが表現として表出された文化様式としてどのように受け止められるかは異なる。このあたりは、アニメとかに関心ある現在のJKとかに少し当たってみたが、この作品への関心はないみたいなので、意外と十代にはこの作品は届いてないのではないかという感じはする。逆は『東京食種』とか。
 アニメは原作の6巻前あたりで終わっているようだし、今季のエンディングは次期やるぞまんまんなので期待したい、というか、黒沢ともよの声の続きが聞きたい感じもあるが、それはそれとして、物語の展開の予想は、というか雰囲気的な予想はすでに伏線が貼られているものの延長にあるだろう。映像的には既視感のある作品のように思えるし、展開の意外性もある既視感に収まっているのだが、この作品のある完成予想は難しい。未完に終わりそうだとは思わない。切なさの彩りがどのような終着点を見せるのかが、とても気になる。この関心は、自分の、あるいは自分たちの、その内面になぜか知らないが抱え込んでしまった宝石箱の始末のようでもある。始末はできない。できない始末はどのような形を取るのか。私たちは、たぶん、性としての肉体の完成を社会的な整合として受容することはないだろうという直感に拠っている。

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