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2018.01.24

[映画] LOGAN/ローガン

 X-MENの映画は全部見ているし、ウルヴァリンのファンなので、『LOGAN/ローガン』(参照)を見ないわけにはいかないはずが、ほとんどちょっとした手違いで見る機会を逸していた。そしてDVDになったとき見るはずが、なんとなくだらっていた。というところでこれもアマゾンからの推しがあって見た。面白かった。

 もう単純に面白かったと言いたいところだし、とりわけ、もにょん感もなかった。痛快・爽快というのでもない。なんだろう。心に引っかかったことはいくつかあった。まず、ああ、ウルヴァリン死んじゃったなあ、悲しい。ということである。そして、プロフェッサー(チャールズ・エグゼビア)も死んでしまった。これもしみじみ悲しい。……このくらいはネタバレというものでもないだろうし、この映画、シンプルにできているので、さしてネタバレという要素もなさそうに思える。というわけで、話を続ける。
 ウルヴァリンの死は、いや、ほんと悲しかった。エグゼビアの死も悲しかった。どうしてこんなに悲しいのかというと、これまでX-MEN、全部見てきたからというのもあるけど、あの耄碌感が、よいのである。なんせ、X-MENを見ながら、俺も年取ったわけだよ。最初のは2000年だよ。みんな年取るよなあ。そして、年取るとそれなりに耄碌するわけで、ローガンがほんと駄洒落じゃなくて老眼鏡しているシーンとか、よいなあと思った(ちなみに自分は老眼ないが)。かつてのヒーローが老いぼれてダメになってくたばっていく。これだよなあ。
 子役のローラ(ダフネ・キーン)もよかった。まあ、この少女パターンは『レオン』『キック・アス』もそうなんだけど、そういうパターンを超えて、ダフネはぐっとくる。素でワイルドな感じがしてたまらん。当然、アメリカ映画やドラマの呪いともいえる父と娘のパターンもあるのだけど、さすがにウルヴァリンが自分の娘かあと心打たれるところは、泣く。娘を持った男は泣くよな。
 と、だらだらと書いているのだが、なにがこの映画を際立たせいるのだろうかと考えて、X-MENシーリズでこれ唯一のR指定(R15+)だからというのは大きいなと思った。「こういう作品を作りたいんだ」という制作の意図とレーティングというのは、当たり前だが、強い関係がある。
 というか、個人的には、『ゲーム・オブ・スローンズ』(GOT)を見てから、もしかするといかんのかもしれないけど、感覚が変わってしまって、なにかといろいろ見ながら、「ああ、ぬるい」「エロくない」「ゆるい」とかぶつぶつ言うようになってしまった。そういえば、アーシュラ・クローバー・ル=グウィンが亡くなったが、『ゲド戦記』も、ぬるいアニメじゃなくて、GOTなみに作るとどうなんだろうと思うのだけど、ゲドだとエロはないだろうなあ。
 エロや暴力や、PC(政治的正しさ)なんか気にしない作品が見たいのかというと、なんかどっかでぶっちぎれてしまって、当然だろ、それ、見たいよ、という感じがする。このことは、他面でいうと、民放テレビのように広告で成り立つコンテンツの限界でもあるだろうし、公共放送でも同じだろう。というわけで、テレビ? はあ?要らねーという感じ。
 くどいが暴力やエロのメディアに掻き立てられている自分というのは、どうなんだろうかと思うが、実際に、この映画とか見ると、そこでしか伝わってこない何かはある。

 

 

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