[映画] 今年見た、お勧め3つのフランス映画
最新作では全然ないけど、DVDやストリーミングで見たフランス映画のうち、これは面白かったなあというのを3つご紹介。どれもコミカルで映像の美しい作品。すでに見た人も多いだろうけど。
エール!(参照)
この背景だけで、ヒューマン物語、感動の物語という予想がついてしまうので、僕みたいにひねくれた人間はちょっと引くのだが、実際は、お安いべたべたした情感はない。聴覚障害者の両親はパワフルだし、彼女はなんというか日本人でもこういうの普通だなあという普通の人。といってもボッチ耐性は強いし、パワフル。恋の心もけっこう、わかるなあという感じ。
映画では彼女の弟が滑稽な役回りで出て来るのも面白い。エロチックというわけではないけど、性的な情感は所々にあり、またフランスのありがちな田舎の風景が美しい。最後にパリの風景に変わるところもはっとする。
物語らしい展開は、彼女の歌の才能に音楽教師が気が付き、その才能を育てようとするところ。彼女の歌もよく出て来るが、この歌だけですでに感動もの。教師はミシェル・サルドゥの歌が好きで、彼女に歌わせようとする。“La Maladie d’amour”や、“La java de Broadway”など。前者は、昔、沢田研二が「愛の出帆」として歌っていた。
原題は、”La Famille Bélier”、訳すと「牡羊座家族」。牡羊座の意味合いは、何ものもものとせず突き進むということだろうか。日本語なら「猪突猛進家族」としたいが、これだとちょっとおフランスっぽくないので、「エール!」ということだろうけど、それもなあ感はあり。
タイピスト!(参照)
物語は、早打ちタイピングができる若い田舎の女の子が、都会の年上ビジネスマンのもとでタイプの猛練習を行い、タイピング世界選手権に出るという物語。話として見れば、普通のラブコメ。最初はかわいいドジっ子が一念奮起してタイプの腕を上げる。だが、それにつれて男は彼女から遠ざかっていく。まあ、普通にラブコメじゃんと思ってゆったりと見るといい。物語の設定上、女性の心に関心が向くが、制作の意図は男の心理にもある。戦争で傷ついた男ということ。
原題は、”Populaire”で、これは、物語にも出て来る、当時人気だったタイプライター”Japy Populaire”のことだが、人気者という洒落でもあるだろう。
メラニー・ベルニエ役のアニー・ルプランス=ランゲにも注目。
ブラインド・デート(参照)
主人公の女性は、本当は才能のある若いピアニスト。しかし、失敗恐怖というか人見知りというか、教師にへつらいすぎというか、自分の才能がいかせない。それでもピアノを抱えて一人暮らしして自立しようというシーンから映画始まる。そして、越してきたアパートが奇っ怪。隣の住人が変。謎の男。彼はパズル発明家。静かな場所で、画期的なパズルを作ろうと、静かな生活を送りたい。が、聞こえてくる薄壁のむこうのピアノ。というどたばた設定から、見つめ合うこともない恋心が芽生える。そしていさかい。思いがけない対面。などなど。
この「などなど」が原題、”Un peu, beaucoup, aveuglément”の意味合いで、フランス人ならこのフレーズですぐにピンとくる。というか、さすがに僕もフランス語この一年はそれなりに一生懸命勉強してわかるようになりましたよ。
ヒロインはアニー・ルプランス=ランゲということでした。売れっ子なんですね。現代的な意味でとってもフランス人っぽい印象。個人的にはメガネに萌える。現在はどうしているかとニュースにあたると、”Mélanie Bernier enceinte : L'actrice, radieuse, dévoile son beau baby bump”(参照)とある。わーお。
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