[書評] セクシーに生きる(ジェイミー・キャット・キャラン)
『セクシーに生きる(ジェイミー・キャット キャラン)』(参照)、副題は「フランス女性がいくつになっても若々しく美しい18の秘密」とあるように、そういう秘密が18個書いてある、とのこと。そんなことに関心があるのか? というと、正直、さしてない。じゃあ、なんで読んだの? そもそもこの本、面白いの? いや、それが微妙なんだ。
先日といっても、もうけっこう前になるのか、『私はラブ・リーガル』というドラマを見た。ええと、シーズン6のファイナルまで見ました。ロサンゼルス舞台のラブコメというか、内容はほとんどありえないアニメのような気軽さのなかに、からっとした明るいリベラリズムと法律から見た社会問題が扱われてとても面白かった。米国での放映の最終は2014年6月なのでもう2年くらい前の作品になる。
このドラマについては別途記事を書くかもしれないが、ラブコメということもあって恋愛シーンがよく出てくるのだけど、そういうのを見ながら、へーと思うことがいくつかあった。人によっては当たり前なんだろうけど、デートに誘うときは、ランチからディナーという手順を踏んで、ディナーでは二人きりで、とか。また婚約指輪の渡し方とか。反面、友人関係と恋愛関係の縺れ具合とかも。まあ、アメリカ文化だなあ、日本とは違うなあと思っていたのだが、ふと、これってフランス人からしても、かなり異文化だろうなと思った。
で、この本。すごく簡単にいうと、アメリカ文化の恋愛事情に女性が縛れることはないんじゃないの、という1つの提案になっている。言われてみると、フランス人の恋愛というのは、米国人の恋愛とは違うなあと思う。
それと、この本、そういう背景もあって米国ではそれなりに売れたようだった。そのあたりの売れ具合も反面教師のように米国の恋愛文化を示している。要するに、この本は、おフランス趣味を語りながら、実は米国人が恋愛事情を語っているという奇妙な側面がある。
オリジナルのタイトルは"French women don't sleep alone"というもので、「フランス人女性は一人で眠らない」。フランス人女性は、いくつになってもベッドには恋人がいる、という含みなんだろうが、おそらくこれフランス人が知ったら爆笑するのではないかと思った。というあたりをフランス語のサイトでちょっと調べてみたが、そもそもフランス人はこの本にさほど関心はないように見えた。
本の内容なのだが、私などからすると日本でも1970年代にあった、おフランス趣味、満載という感じでなにか懐かしかった。著者のサイトもあるんで覗いてみると、おフランス趣味満載だった。というか、米国人でもおフランス趣味の人が少なくないんだなと納得してしまった。
ジェイミーおばさんはは、印象でしかないが、フランス人というより、おフランス趣味の米国人女性に見える。そういう著者が、フラン人はデートしないのよ、下着を決めるのよ、とかと熱弁しているのは、うーん、面白い。いやいや、正直なところ、現代日本の10代や20代の女性もこの本読んでおくと、それなりに、人生、得することはあるんじゃないかと思う。
もちろん、英語版もある。Kindleだとけっこうやすい。実は、彼女は作文の先生でもあるので、読んでみるとわかるが、英語の文体は効果的でプレーンになっている。という点で、この本は英語の勉強にもなるかも。
まあ、このタイプの翻訳書だとしかたがないことではあるけど、原書とこの翻訳書を比べてみるとけっこう省略や構成の変更が多い。原書の第2章にいたってはクッキングの章だが翻訳書では巻末のレシピ集としてまとめられている。
あと、この原書のほうは、Audibleがあるので英語のリスニングにもいいかもしれない。
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