finalvent's Christmas Story 11
親愛なるエクス・サンタクロース! マリーの娘のマリーです。お元気ですか。電子メールで送るのも素っ気ないですが、メリークリスマス! KFFサンタクロース協会の緊急代理人としてルサカからの簡単な報告です。
正直に言いますね。最初、あなたの提案を聞いたときは、そんなに面白くないなと思ったのです。つまらないかも、ホウ砂の結晶実験ですか、って。小学四年生の時に私もやったことあるけど地味だったし、せっかく雪に見立てた細かい結晶飾りが出来上がったのに、男の子数人が壊すのに夢中になっていました。なんてこんなバカなことしているんだろうっていう思い出しかなかったんです。理科の実験といってもこんなの単純すぎて、科学を教える教材にもならないんじゃないかなって。
それでこっそりポリビニルアルコールも一緒に持っていきました。洗濯糊ですから持ち込みは大丈夫。ああ、ごめんなさい。色とりどりのスライムも作っちゃえとか思っていました。
でもザンビアに着いて、あちこち開発途中でアンバランスなところもあるけど、乾いた穏やかな空気が流れる風景のなかでメイズっていう白いトウモロコシ団子を食べていたら、スライムなんて似合わなあって思いました。それにスライムはやっつけた後、きちんと回収しないと自然破壊になるんだろうなと不安になりました。もちろん、ホウ砂結晶の実験でもそうだけど、こっちは子どもたちが暴れなければ回収が楽でしょう。
さて実験のようす。まず子たちはパイプクリーナー自体に興味を持っていました。針金に柔らかい毛が生えて手触りもよかったみたいです。雪に見立てた結晶だから白のを多めにもっていたのですが、赤や黄色や青や緑などカラフルなほうが人気でした。
ひとしきり自由に遊ばせてから、雪の結晶を見立てた六角の星形を作っていくために、雪の結晶のスライド写真を見せました。最初に雪の風景から、そしてその雪が六角形になっているスライド写真です。雪の降らないルサカの子どもたちも雪は映画で見たことがあるし、それがどういう結晶であるかは科学で学んでいます。そしてつまらなそうでした。そうですよね。
どうしたらいいんだろうと思って、私は自分の子供の頃の雪の思い出を話したのです。気がついたら私のほうが雪の話に舞い上がっていました。ギルモア・ガールズのローレライみたいに。もしかして、それがあなたの狙いだったのですか。
さて、ホウ砂の液中にパイプクリーナーの飾りを吊るして一日目は終わり。
翌日、容器にかけておいた覆いを取ると、きれいに雪飾りの結晶ができていました。大成功。これも楽しい雪景色でした。
これもホワイトクリスマス。
でも次回はあなた自身がやってくださいね。
心から、マリー
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