« 昭和の保育 | トップページ | 「ダ・ヴィンチ・デーモン (禁断の謎)」 »

2016.04.09

英文和訳という英語勉強法

先日、といっても一か月以上前になるが、「どうやって英語勉強したらいいか?」と聞かれて、「基本的な文法を理解して、語彙もある程度あるなら、英文和訳をするといいよ」という話をした。聞いたほうは、うへぇという顔をしていた。示し合わせたようにそのころツイッターで同種の話題が流れてきて、そこでは、英語力を高めるなら英語を和訳して考えるのではなく、英文は英文のまま理解することだ、という意見があった。違うと私は思った。

もちろん、いろんな議論があっていい。ただ、英文和訳というのは、いい英語の勉強法だと思う。なぜかというと、英文をどう理解しているかを文法に沿ってフィードバックできるからである。

これ、どうも、このこと自体理解されないみたいなので別の面から補足すると、英文を英文として理解するというのは、それはそれでもいいのだけど、その英文の理解が正しいことをどう了解するか。つまり、間違った理解をしていたら、それが間違いであったことをどのようにフィードバックするか、が重要なのである。

学習というのの大半のプロセスは、

   学ぶ⇛確認する⇛間違いを見つける⇛間違いをフィードバックする⇛学ぶ

というふうに成り立っている。

英文を英文で理解するというとき、問題はその理解の正否をどうフィードバックさせるかという点にある。普通これは、別途パラフレーズしたチェック用の短文英文でテストする。「以下の文章で本文と合わないのはどれか?」みたいな設問になる。これは入試や資格試験ではいいけど、学習プロセスにあるときにはあまり役に立たない。

英文和訳だと、わかっていないと訳せないし、わかったつもりでも答えと突き合わせばどこが間違いかわかる。つまり、英文和訳というのは、自主学習のフィードバックにとても向いている。

以上の説明からもわかるように、英文の他に正しく和訳された解答が必要になる。さらに言えば、その学習者に見合った難易度の英文であり、かつ、学習時間に適した教材がよく、英文そのものが興味深いほうがよい。いわゆる英語教育の「ため」の学習教材というのは、学習の第一原理である動機に結びつかない。そもそも内容のつまんない英文など読む気力が失せる。

というわけで、なんかそれっぽい教材はないかと立川に出来たジュンク堂で探してみた。いや、あきれるほど英語教材がある。戸惑ったのだが、そうしてみると、なんというのか、適切な英文和訳教材というのは私の見る限りなかった。学参も見たがあまり適していない。

時事英語とかはどうかと思ったが、いまいち。そういうなかで、妥協ではあるが、『海外メディアから読み解く世界情勢 (日英対訳) 』というのを二冊買った。もう一冊は冒頭、勉強法を問う人にあげるため。

内容はこんな感じ。

海外ではトップニュースでありながら、日本国内ではあまり大きく報じられなかった時事問題の数々!

今の世界情勢を把握するためにもしっかりと理解しておきたい時事問題を、海外メディアはどのように報道したのか?本書ではその内容を日英対訳で詳細に解説。最近の時事英語で必須のキーワードもしっかり学べます。英語だけではなく、海外情勢の読み解き方も、山久瀬洋二がお教えします。

第1章 中東問題
第2章 テロ問題、そして諜報活動
第3章 アメリカ外交と世界
第4章 アメリカの社会とビジネス
第5章 世界からみた戦後処理、歴史認識
第6章 アジアの課題
第7章 ヨーロッパとEU
第8章 世界一般
第9章 世界の目でみた日本

内容(「BOOK」データベースより)
海外ではトップニュースだったのに、日本では大きく報じられなかった時事問題の数々―「知らなければ、海外でバカにされてしまう世界の動き」を異文化コミュニケーションの泰斗、山久瀬洋二が精選・解説!

そう言われると、著者の山久瀬洋二さんが英文を書いたように思われるが、ざっと書店で読んでみた感じだと、国際政治などを学ぶ米国の院生が書いたような英文だった。なんというか、文章を書き慣れていない英語ネイティブが使いそうな英文らしい印象だし、なにより、ダングリングというか、英語ネイティブが多用するぶら下がり構文が多く、英語の勉強に向いている。例えば、300文字で一文みたいな文章がある。訳しにくいので、かえって和訳の勉強になる。

で、この作業、英文和訳の学習だが、一か月ほどして終えた。

終わってみた実感で言うと、この英文はどうも日本文から翻訳されものではなさそう。では英文が先にあって和文があるかというと、微妙に意訳や、奇妙なのだが誤訳もあったので謎。

いったい、どういうプロセスで同書の英文と和文ができたのか謎だが、推測するに、これは、米国の院生の授業レポートなのではないだろうか。想像したのは、講師が受講者に新聞記事の切り抜きを渡し、これについて次回発表レポートを書いてこい、といったものである。この手の授業は私も大学や大学院で受けたことある。

世界情勢や国際関係論として同書の価値はあるかというと、語彙やこの手の議論に使われる構文は確実に学べる。議論の仕方もそう悪くない。具体的な内容となると、院生レベルというか、それほど学問的でもない。オチがすべて日本が海外から学べるもの、ということになっているので、そのあたりで視点が縮小してしまってもいる。経済論は単純に外していると言ってよさそうだ。それでも話題は多岐にわたっているし、背景の歴史的な補足や国際常識の解説もあってよい。全体としては良書と言えると思う。

なぜ私が英文和訳の勉強なんかしたのか。「英文和訳するといいよ」と言うなら、「おまえ、やれよ」と言われても当然だからというのがある。

それと私としては、英文和訳の勉強もだが、この歳になっても、受験勉強みたいにきちんとタスク化した勉強ができるか、自分を試してみたかった。この勉強法は私が受験時代にやったものでもあった。結論から言うと、できた。

もう一点、受験勉強のように手書きでやってみたかった。鉛筆ではなく、やわらかな太いシャープペンを使ったが、手を使って文字を書くのを継続的にやってみたかった。結果から言うと、今回は英語の勉強というより、手書きの感覚を思い出すいい練習になった。意外と漢字が書けなくなっていたし。

さて、やりかただ、ちょっとしたコツがある。参考までに。

まず、専用の罫線ノートを買う。百均のでいい。リングノートが私の好み。大きさはかばんに合わせて。つまり、喫茶店とかでもできるように。ついで百均なら紙を軽く合わせるクリップを買っておく。

鉛筆はけずるのが面倒なのでシャープペンがいいだろう。使い慣れたので構わない。私はくずし字が書きやすいように太い芯で柔らかいのにした。消しゴムは不要。

書籍はバラす。だいたい二課題分くらい、数ページを切り出す。これをノートにクリップで留めておく。これだと、ノートだけ持っていたらどこでも勉強できる。

訳文は罫線に一行おきに書いていく。一行開けるのは、訳していて、前後を入れ替えたり、補足を加えたり、間違ったとこに印を付けたり、できるようにするためだ。

訳し方だが、できるだけ、英文の流れ通りに訳す。同時通訳のようにするといい(これのコツも別途ある)。すると、日本語にうまく合わないところがでてくるので、その部分は鉛筆線で囲んで、矢印で挿入先を示す。もちろん、日本語らしい日本語で書けなたらそれはそれでいい。

思い出せない漢字は、カタカナで書いて、下線にする。例えば、「斡旋」みたいのが書けなければ「アッセン」とする。気になったらあとで漢字を調べておく。

この例だと、一日、20分くらい。一ヶ月半。最近の国際常識の基本もわかる。

まあ、そんなところ。

|

« 昭和の保育 | トップページ | 「ダ・ヴィンチ・デーモン (禁断の謎)」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 英文和訳という英語勉強法:

« 昭和の保育 | トップページ | 「ダ・ヴィンチ・デーモン (禁断の謎)」 »