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2016.02.02

甘利前大臣辞任のうんざり感

甘利・前経済再生担当大臣の事務所問題について、詳細に関心があるわけでない。が、これを文春が出して概要を知った範囲で、ああ、これで甘利さん終了、とは思った。甘利さんが金銭面で清廉潔白な政治家であるわけもないだろうし、こうしたスキャンダルが大好きな日本人が彼に詰め腹を強いるまで問題が落ち着くとも思えない。それにしても、TPP交渉で尽力した甘利前大臣をこうしたスキャンダルで失うのかと思うと嘆息した。お高くつくなあ感である。それとても、そもそも反TPP派にはムカつく要因でもあるだろう。かくして、「問題」の全構造を見ると、それもまたああまたか、といううんざり感があった。

安倍政権側としては強行に甘利さんを守る方向に動くだろうかという関心も少しあった。噂を聞くに、10パーセントくらい支持を失っても構わないと政権が決意しているという話もあり、そらなら大したものだなとも思ったが、そこはむしろ逆に政権が動いた。さっさと甘利さんを切ったことで安倍政権支持率は守られた。つまり、田中角栄を追い落とした昭和な空気は多少流れは変わったのかもしれないし、案外私のように、またこれかといううんざり感と政策を分けて考える冷たい人が増えているのかもしれない。

海外での受け止め方を見ると、フィナンシャル・タイムズ(FT)などでも事実とありきたりな背景の説明はしていた。深読み的な解説はなく、FT記者は日本の風習にむしろ手馴れている印象を受けた。ディプロマットでもこの問題について扱っていて、現状の分析を上手にこなしていたが、際立って面白い視点はなかった。ただ、そこでの論調のポイントはTPPについての農政をどうするかという指摘がある。確かに基本的にそこが重要だろうとは思えた。つまり、後任と農政の問題である。

驚いたのだが、後任に石原伸晃さんが出てきた。いや驚く自分がどうかということかもしれない。そもそも古賀誠さんの思惑では、第二次安倍内閣自体存在せず、伸晃内閣になるはずだったのを、事実上麻生さんが自民党内クーデターのようにして、現政権をぶっ立てたので、その無理が戻ったくらいのことかもしれない、自民党力学として。

というあたりで、日本経済暗雲が増えるなあとは思う。この点では、TPP反対派の伸晃大臣(参照)がどうこれからどうTPPを推進するのかというのが気になるところだ。が、こうなってしまった以上、どうとなるものでもないだろう。予想外のことだってあるかもしれない。もっとありえない湿原(誤字)が広がっているかもしれない。

その後の海外の反応だが、日銀のマイナス金利政策のほうに関心が向き、それをもって安倍政権の運営を量っているようであり、甘利前大臣辞任問題はとっくに霞んだかに見える。実際のところ、TPP問題は関連国および影響国にとっても一枚岩の問題でもないので、簡素な構図に落とし込みにくい。日本でも内紛はあるんだなあ、ふーん感もあるだろう。

ちなみにマイナス金利問題だが、まだ規模が小さいので安倍政権との協調が取れている心理的な評価が大きいだろう。実際ところ、この政策は、すでに書いたがIMFの発表会でも言及されていたので、それ自体のサプライズ感はない。つまり、日銀は手詰まりではなくまだまだ緩和策に手はあるのだが、市場とのコミュニケーションが重要だという話だった。ここでいう市場は基本的には海外市場だろうが。

まあ、書いてみてこの問題にはとりわけ論点はない。ブログに書くまででもなかったか。という流れで連想するのは、東日本大震災復興道路舗装工事をめぐる談合疑惑である。談合が良くないことは明白で、淡々と処理するしかないだろうが、談合の結果を見るともっとも合理的に仕事が配分されたように見えないでもない。この工事の必要性がどのくらいあったかわからないが、ある程度の水準では合理的な日本の産業システムの結果であっただろうし、甘利前大臣辞任にからむ口利きスキャンダルも、全体像としては日本政治の「合理的」システムの一貫だろう。

そう考えれば、より合法的に合理的なシステムが形成できれば、口利きスキャンダルの余地も談合もなくなるのだろうが、この意味での新合理システムは、動労者移民なども含むような全体像を持っているのではないかと思う。
 
 

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