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2016.02.03

米国民主党員5人に1人は、保守派

サンプリシティの法則からしても物事は単純に考えたほうがいいが、単純にしか考えられない人には案外単純に考えることは難しい。

そうした日本人にありがちな単純思考の一つに、米国民主党はリベラルとする考えがある。概ね間違ってはいないというか、四割くらいは当てはまるし、後で述べるがそうした傾向は高まっているようにも見える。実態はというと、きちんと単純に考えると、米国民主党は必ずしもリベラル派の政党ではない。5人に1人くらい保守派がいる。

そのことが現下の阿呆なトランプ騒ぎで問題になるのは、ブルームバーグ元ニューヨーク市長が大統領選に色目を出していることだ。まず、単純にしか考えられないふうに考えると、保守派の共和党でもなくリベラル派の保守党でもないから、彼は中道、よって三極の争いとか。

昨日のアイオワ州の動向を見ると、民主党は概ねクリントン候補に決まったようにも見えないではない。が、そうでないようも見えるし、現下の動向ではサンダース候補の勢いのほうが強い。この動向は極端を面白がるトランプ旋風と同質なのだが、今後の動向は現時点ではまだよくわからない。いずれにせよ、サンダースが強くなると、クリントンとしては対応のためによりリベラル派色を強くせざるを得ない。これは必ずしもリベラル派の政党ではない民主党の票を割りかねない。

共和党が結局トランプ候補を下ろせない場合、リベラル派色を濃くしてうへー感の高まるクリントン対お馬鹿なトランプという構図になり、この構図を見てうんざり感のある層を狙ってブルームバーグが出る可能性がある。

するとどうなるか。すでにロイターに話題がある。「米大統領選、ブルームバーグ氏出馬ならトランプ氏に追い風=調査」(参照)より。

調査によると、トランプ氏と民主党の有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官(民主党)については、2人だけの比較では、「クリントン氏に投票する」との回答が「トランプ氏に投票する」との回答を10ポイント上回った。しかしブルームバーグ氏を候補に加えて3人で比較すると、クリントン氏支持が37%、トランプ氏支持が31%、ブルームバーグ氏支持が9%となり、クリントン氏とトランプ氏の差が6ポイントに縮小された。

一方、トランプ氏と、民主党候補指名を目指すバーニー・サンダース上院議員の比較では、ブルームバーグ氏を候補に入れると、サンダース氏のトランプ氏に対する優位が12ポイントから7ポイントに縮まった。3人の比較での支持率は、サンダース氏が37%、トランプ氏が30%、ブルームバーグ氏が8%。

現下の動向を見ていると、ブルームバーグに勝ち目はないが、確実に民主党候補の票を削る。これがトランプ旋風の後のトランプ大統領という悪夢を産みかねない。

民主党員を含め、いわゆる民主党シンパは必ずしもリベラル派ではない。大体4割である。ピューの比較的最新の調査による。「5 facts about Democrats」(参照)より。

In surveys conducted this year, 41% of Democrats describe themselves as liberal, 35% say they are moderates and 21% say they’re conservative.

米国民主党のリベラル派は41%、中道派が35%、保守派が21%。日本の「リベラル派」は概ねデタラメなのでうまく対応しないが、米国のリベラル派も比較的過激なリベラル志向があると見てよい。そしてそれは民主党全体からは多数を示しているわけではない。もっともピューの記事を読むとわかるように、民主党内のリベラル派は増加している。他方、民主党内の保守派はこの12年間大きな変化はなく、中道派がオバマ政権を契機にリベラル派に移行したと見てよいだろう。

ちなみに、二分法しか通用しない日本人からすると、じゃあ、ブルームバーグは保守派とか単純化されそうだが、彼のニューヨーク市長としての政策はかなりリベラル色の強いものであり、そのあたりがクリントン票を食う可能性の背景にある。

ここで仮に、クリントンより極端ともいえるリベラル派のサンダースが民主党から出るとどうかだが、当然、よくわからない。というのは、米国民も日本国民同様、富豪というものに愛憎を持っていて、トランプやブルームバーグという富豪は嫌いだという流れで、どっとサンダースに票が動きかねない。日本のかつてのルーピーを笑えない事態になるかもしれない。

まあしかし、結局どうなのかだが、以前オバマ大統領が候補の際は、私は早々に彼が大統領になると予想して結果的に当ててが、今回はまだわからない。クリントン候補が大統領になるという実感がまるでしないせいもある。サンダースもそうだがクリントンも基本的に老人で、ブルームバーグも老人である。まだ比較的若さのある国家である米国が、第二次世界大戦後のベビブーム老人層の影響が強いにしても、こうした老人を選ぶものだろうか。ケリーが敗れたのも老人に見えたからではないか。まして米国は日本のような70歳を過ぎた老人が政治で活躍する国家でもあるまいし。


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