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2016.01.28

点字の難しさ

今年に入って実行しようと思ったことに点字がある。点字を学んでみようと思ったのだ。大学生時代友人が全盲で、また彼女を支えるサポートグループにも友人がいて、点字についてはなんとなく関心をもっていた。いつか学ぶだろうとも思っていた。なのに気がついたら学ばずしてもう30年以上の年月が経ってしまい、このままだと一生点字を学ぶことはないかもしれないと恐れた。そう思ったら、思い立ったまま学習を始めてみた。この手のものは学習教材が比較的安易に入手できるだろう。それで「小学生から学べる!点字入門セット」というのを購入した。これで基本は全部足りる。

長年点字に関心を持ち続けていたつもりだったが、学習を初めて見ると、ごく基本的な点字の仕組みも理解していなかった。いや、横二点、縦三点の六点で一文字が構成されるというのは知っていたが、具体的な構成原理は想像していなかった。こういうのは小学生くらいに知っておくといいものだ。と子供にちょっと話したら、学校で学んだ、と言っていた。現代ではある程度点字の基本を学校で教えていることを知った。

点字の構成だが非常に数学的にできているものだと感心した。基本、点を打つ、点がない、という二進法原理だから、数学的にバリエーションの限界は決まる。それをどう合理的に配列するかだが、重要なのは、この文字は触れることでセンスされるので、六点中一点だけで分別する文字を6つ作るわけにもいかない。点が一つだけだと、六点中どの位置にあるのかわからないからだ。同じことが他の組み合わせにも言える。これには数学的な構造があるなと調べてみると、なるほどきちんとそうした条件は守られていて驚いた。

点字の学習だが、最初はそれほど難しいものではないように思えた。点を黒丸にした記号、墨字というが、これを暗記するのはそれほど時間がかかるわけでもない。意外に簡単だなと思ったのだが、違った。点を打つときは、紙の裏側から打つので、打つためのイメージは墨字の左右対称鏡像になる。つまり、表と裏と2セットの文字を覚えなくてはいけない。しかし、これもそうとわかれば覚えることは可能だ。

表記は音声主義によっているので、「こんにちは」は「こんにちわ」になる。「東京」も「とーきょー」になる(はず)。これらはいわばローマ字に準じている。

間抜けなことに一番むずかしいのは、点字を読むことだった。自分の書いた(打った)点字が読めないのである。指の感覚は比較的に繊細なほうではないかと思っていたが、なかなか判別しにくい。点字をすらすらと読むのは難しいものだと思った。点字を書く(打つ)より難しい。練習はしているが、向上する実感がない。私としては、いつか点字で詩を読んでみたいなと思っている。光のないところで、指で詩を読んでみたいと。

それでも街なかにある点字に触れてみることは多くなった。自販機の金銭投入口に「こいん」と書いてあるのを、自分としてはであるが発見してけっこう感動した。「コイン」は日常語ではもうあまり使わないが、こういうところにはある。それとアルコール飲料には「おさけ」とあった。たしかにこれがないと困る。あと、不思議だなと思うのだが、六点をすべて打つと「め」の文字になる。これは偶然だろうか。

点字は読むという面から考えるとかなり難しいものだなというのが実感なのだが、現代の点字支援はどうなっているかも、この機に見渡してみた。点字図書館にも行ってみた。点字グッズも買った。

当たり前といえば当たり前なのだが、点字文書の作成には、私が大学生だったころの「カニ足」と呼ばれていた点字タイプライターよりも、パソコンの支援システムが普及しているようだった。つまり、点字教材は、ひらがなで点字の規則どおりに書けば、パソコンで点字の印刷もできるようになっていた。それはたしかに技術の進歩でもあるのだろう。が、健常者が点字を読むという機会は減ったかもしれないとも思った。

点字を学びながら、子音と母音の組み合わせの構成をみて、そうだな、ハングルにも似ているなと思い、もしかしたら、点字の仕組みから新しいひらがなが考案できるのではないかと思いついた。生まれてこの方、日本人をやっているが、日本のひらがなやカタカナというのはどうも形状が不合理だと思っていたのだ。ケロロ軍曹のギャグではないが、「ダソヌマソ」みたいなことになりかねない。「あめぬ」なんかもどうだろうか。

ひらがなを個人的に作りなおしてみよう。どうせなら、点字から転写できる子音と母音の形態を簡素に考え、さらに早書きできるものがよい。と、いくつか形態を考えてみて、あれ?これどっかで見たことあるぞと思った。速記文字である。というわけで、速記文字を調べてみると、点字とは異なるが、似たような発想で考案されていて、どれも似たように見える。

つまり、ひらがなを早書きに合理化すれば自然に速記になるのか。というわけで、速記についても少し関心をもつようになった。これはまた。
 
 

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