« 韓国のMERS感染で韓国人は誰でも知っているけど日本ではあまり報道されないこと | トップページ | 「ワーテルローの戦い」200周年記念の芳ばしさ »

2015.06.12

大学中退は今や栄誉になったってホント?

 このところネットで「学歴フィルター」という言葉を見かける。それを最初見かけたとき私が思ったのは、「学歴をフィルターアウトするんだろうなあ」「使えない学歴もっている人をフィルターアウト(選り分ける)というのはいいんじゃないか」ということだった。
 日本だと、なぜかわからないけど、いやまだ後進国時代の歴史・慣例を引きずっているからなのか、大学の学歴なるものをありがたがる風潮が社会にあるけど、別段、そんな学歴なんて世の中に出て使えないでしょ? というか、学歴は博士とかでないと意味ないじゃんとか思っていた。
 が、逆だった。違うらしい。低いランクの学歴だと、就職の応募で足切りされるということらしい……と書いて「足切り」って、現代では使っていけない用語だったっけ、あるいはイスラム原理主義の用語だったっけと、ちょっと字引を見たが、とくに指摘はなかった。
 高卒と大学の差なのか。高卒と大学とではそれほど差があるかなあ、と思っていたが、どうやらまだ勘違いしていた。この「学歴」というのは、大学ランクの差のことらしい。ほえぇ? 日本の大学に差なんてそんなにないよと思った……、いやよくわからないが、あるように思えないんだが……。
 それはさておき、米国では大学中退が今や栄誉になったという話をWSJで見かけた。へえと思って読んだ。といっても、すべての大学ではなく、技術系の大学のことだが。記事は「College Dropouts Thrive in Tech(大学中退者は技術分野で成功する)」(参照)である。
 リードには「会社を興すために学校を辞めるのはリスクが高いとみられていたが、今や栄誉である(Quitting school to start a company used to be seen as risky; now an honor)」とある。在学中にビジネスの芽があるとわかったら、大学なんかさっさと辞めてビジネスを始めたほうがいいというのだ。それが米国の最近のトレンドだというのだが……うーん、なんかひっかかるなあ、日本でもそういう人が以前いて話題だったよな、東大辞めて起業して成功たんだけどいろいろあって刑務所に入って痩せた人……いかん、忘れた。
 まあでも、そういう人はいつの時代にもいたものだった。私の知人にもそういう人がいて、なんでせっかっく東大入ったのに辞めちゃったの?と聞いたら、「せっかくって、別に努力してないですよ」とか平然と答えてくれたものだった。
 そういう学生さん、いつの時代にもいるじゃん。大学なんかやってらんねーとしてビジネスを興す人。ビルゲイツなんかもそうだし。アップルとか、学部じゃないけどヤフーとかグーグルとかも。で、そういう以前からあるのと昨今の技術系大学中退者の成功というのと、何か違うのかな?と読んでいくと、少しへえと思ったのだった。
 こう切り出されている。アリ・ワインスタイン(Ari Weinstein)君はマサチューセッツ工科大学一年生のときに中退して10万ドルを受けた、と。日本だと、1200万円くらいかな。すごい額とも思えないが、大学辞めるのを援助するために、ほいと一千万円くらい出す人がいるということらしい。誰よ?

cover
ゼロ・トゥ・ワン
君はゼロから
何を生み出せるか

 ピーター・ティール(Peter Thiel)である。PayPalマフィア(参照)のひとり。PayPalをeBayに売って儲けてファンドを作り、フェイスブックへの投資でもがっぽりかせいだおかた。今年の二月には来日して学生にいろいろ有り難いお話もたれていた(参照)。まあ、有り難さの点でいったら、日本の、たぶん日本の、イケダハヤト師も劣らないだろうと思うが……。
 というわけで、なーんだ、ピーター・ティールのお遊びかあとも思ったが、考えて見れば、どっかんとベンチャー資金を提供するというよりも、大学でうだうだしている時間がもったいないから、大学休学のために二年分の奨学金を出すよ、くらいのノリだろう。米国だと大学を一度辞めても復学しやすいだろうと思うし。
 「若いよなあ」ということの表現に「Before they’re old enough to drink」という表現があって笑った。「お酒が飲める歳になる前に」と。そういう意気込みを社会が支援してもいいだろうなと思う。日本だと、若者が支援されるのは、せいぜい政治的なイデオロギーみたいな糞な話ばっかだもんな。
 ところで、そういうスピンアウトは昔もあったじゃんと私も思ったのだが、記事を読むと、昔はそれでもマレだったというのだ。ケーキ職人じゃないよ。現在の中退ビジネス組がどう違うのかというと、スマホ時代で技術がとても身近になったというのだが、さて、そうかあ? 他に違う点は、フェイスブックやツイッターとかSNSで仲間が見つかるという話もある。
 なんかこの記事、ネタだなあと思ったが、読んでいくと、なんとく部活の延長のノリはあるなと思った。仲間でちょっと秘密の隠れ家みたいのを作って、部活みたいにビジネスを始める感じだ(それをいうならマイクロソフトもそうだったが)。
 技術系大学の中退組について客観的な数値はないらしいが、そうしたトレンドはあるらしい。そして、単にピーター・ティールの道楽というより、企業側でもそうした起業家精神をもった技術者を好む傾向があり、率先して「学歴フィルター」をぶちやぶった人を高く買うらしい。というか、そうした米国企業だと、日本の高卒くらいの年齢からすでにインターンシップを持っている。というか、昔は日本の会社も高卒は事実上のインターンシップがあったなあ。
 WSJ記事の話は概ね、アプリ開発くらいなもので、それほどビジネスと言えるものかなあという印象はもったが、そういえば、ハーバード・ビジネス・スクールでも、学内でビジネスを教えるというだけではなく、学校が3000ドルほど資金提供して実際にインドや南米など新興国でグローバルビジネスの実習をさせるようになった。あれ、FIELD(Field Immersion Experiences for Leadership Development)だね。
 そうじて思うのは、アプリ開発にお熱をあげて大学中退するよりも、大学生活を迂回しても新興国というか若いうちに異文化生活を体験してこれからの世界のビジネスを考えるという若者に未来があるようには思えたな。
 
 

 

|

« 韓国のMERS感染で韓国人は誰でも知っているけど日本ではあまり報道されないこと | トップページ | 「ワーテルローの戦い」200周年記念の芳ばしさ »

「社会」カテゴリの記事

コメント

日本だけじゃないかな、科挙をやってフィルターをかけてる国は。成功している国は、スカウト型だよね。日本だって、なかったことはない。勝海舟はスカウトされたんだよね。まぁ、本来、民主主義の選挙は国民によるスカウトだよね。そういう認識がないから、退屈でつまらないから、世襲かバカになってしまうわけで、笑。

投稿: | 2015.06.12 22:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大学中退は今や栄誉になったってホント?:

« 韓国のMERS感染で韓国人は誰でも知っているけど日本ではあまり報道されないこと | トップページ | 「ワーテルローの戦い」200周年記念の芳ばしさ »