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2015.05.27

日本の自衛隊が米豪軍事演習に初参加

 日本の自衛隊が米豪軍事演習に初参加するという話題を海外報道で見かけたが、国内ではあまり見当たらないのはなぜなんだろうと思って、ブログの記事を書いたら、その場で、ありゃ、私の勘違いとわかった。米豪共同訓練「タリスマン・セーバー」については、すでに大手紙などに18日に各種記事があった。というわけで、ちょっとおっちょこちょいすぎるブログ記事なので、改稿して以下。
 ただ、国際報道は25日以降に見えたこともあり、中国報道もそこから見える。中国網日本語版「日本が米豪合同演習に初参加、軍事協力を強化」(参照)より。


海外メディアは25日、米国とオーストラリアが今年7月上旬に実施する合同軍事演習に、日本が自衛隊を初めて派遣することになったと報じた。米海軍の「ロナルド・レーガン」空母は、8月に日本に駐留する予定だ。

この軍事演習には米国とオーストラリアの3万人規模の部隊が参加する。課目には、海上行動、上陸、特殊部隊の戦術、市街地戦などが含まれる。日本からは40人が参加。

シドニーのシンクタンク、ロイ研究所の国際安全研究室長は、「米国はこれを機に、同盟国の幅広い参与を促そうとしている」と分析した。

中谷元防衛相は、米豪合同軍事演習の参加目的は、両国との軍事協力の強化だと述べた。

これまでの報道によると、米海軍の「ロナルト・レーガン」空母が8月、駐留中の「ジョージ・ワシントン」空母と交代し、第7艦隊に加わりアジア太平洋に駐留することになった。

ロナルド・レーガンは2003年7月に就役した、米海軍の作戦能力が最も高い空母の一つとされている。米国に10隻あるニミッツ級原子力空母の中では、「ジョージ・H・W・ブッシュ」より先に配備された9番艦で、比較的新しい空母だ。

これは米海軍の「リバランス戦略」に向けた行動、昨年1月に発表された空母配備調整の一環と分析されている。この調整により米国は東アジアで空母の実力を維持し、太平洋で空母6隻態勢を維持することになる。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月26日


 中国がこの演習に関心をもって報道していること自体、すでに中国の文脈で話題になっている。Focus-asia「日本が初めて派兵へ、米豪合同軍事演習に参加―中国メディア」(参照)より。

26日付の中国メディア・人民網は、複数の海外メディアの報道を引用し、日本が初めて派兵して、7月初めに米国とオーストラリアの合同軍事演習に参加すると報じた。

日本側からは計40人が参加する程度だが、中国が南シナ海で岩礁を埋め立てて人工島を造成していることを受け、日米豪3カ国が団結を示すために決定したものとみられている。米国とオーストラリアは合わせて3万人あまりの部隊が参加し、海上作戦や上陸、特殊部隊戦や都市戦などの訓練を実施する。

ロイター通信によると、ローウィー国際政策研究所の国際安全室主任はこれについて、「米国の太平洋西部の同盟国のうち、日本は北部の拠点、オーストラリアは南部の拠点としての役割を担う」と分析している。中谷元・防衛相は「今回の演習参加は中国を念頭に置いたものではない。米豪両国との軍事協力を強化するためだ」と話している。

(編集翻訳 小豆沢紀子)


 該当の海外メディアの正体の一つはロイター、「Japan to join U.S., Australia war games amid growing China tensions」(参照)である。表題を見てもわるように、直訳的には「中国との緊張が高まるさなかの、日米豪の戦争ゲーム」である。
 ここでいう「中国の緊張」というのは、言うまでもない中国の海洋進出、つまり軍拡である。NHK「中国 アメリカの南沙諸島偵察強化に抗議」(参照)より。

また、中国のメディアは連日のように南シナ海の問題を取り上げていて、このうち中国共産党系の新聞「環球時報」は25日付けの紙面の社説で、アメリカがあくまでも浅瀬の埋め立ての停止を求めるのであれば「一戦は避けられない」と、米中の軍事衝突がありうると主張しています。一方で、社説は「南シナ海で平和を保てるか、戦闘が起きるのか、その責任はアメリカにある。アメリカが戦略上最低限の節度を保てば、情勢の危険度は限定的になる」として、事態をエスカレートさせる行動を取らないようアメリカ側に求めています。

 環球時報はけっこうお笑いメディアでもあるが、さすがに書かれていることはちょっとこれはないなという印象がある。ただこれは、環球時報だけの話題ではない。表現は抑えられているが、中国政府が国防白書でも踏み込まれている。NHK「米 中国の国防白書発表でけん制」(参照)より。

中国政府は26日、2年に1度の国防白書を発表し、各国が領有権を争う南シナ海に関して、「一部の域外の国が、南シナ海問題に全力で介入している」などとして、名指しは避けつつアメリカを非難するとともに、この問題で妥協しない姿勢を明確にしました。

 ようするに、中国が南シナ海を巡って戦争も辞さないと構えつつあり、また国内では日本が安全保障関連の法案の審議をしているさなかでの、「日米豪の戦争ゲーム」である。
 中国報道が孫引きしたロイター報道は重要だが、そこでにあって他の日本語報道で見えづらいのは、以下の部分だろう。

Some security experts say China might impose air and sea restrictions in the Spratlys once it completes construction work that includes at least one military airstrip. China has said it had every right to set up an Air Defence Identification Zone but that current conditions did not warrant one.


(南シナ海の島の埋め立てで)少なくとも一つ軍事滑走路を備えて工事が完了すれば、中国は南沙(Spratlys)で空路と海路に制限を課す可能性があると述べる安全保障専門家がいる。中国は、防空識別ゾーンを設定するためのあらゆる権利を有しているが現状は保証されないとは述べてきた。


 ごく簡単に言えば、中国が南沙諸島に滑走路を持てば、軍事進出は次の段階を迎えてしまう。そこで中国の海洋侵出を阻止するために米国が豪州と組んで軍事活動の示威をするというのが、今回の軍事演習の意味であり、日本がこれに初めて明瞭に組み込まれる。
 日本では18日ごろに報道されたため、この数日ではあまり見当たらない。その後の経緯を見てもそれほど国内で話題になっているふうでもない。気にはなるのでブログで触れておく。
 
 

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