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2014.12.26

finalvent's Christmas story 9

 先日、「サイエンティフィック・エンカレッジメンツ」のキャンプでした雑談をここでもしてくれと古い友人から頼まれました。本当に雑談にすぎないのです。みなさんが取り組んでいらっしゃる「フィールド」プログラムのマイクロビジネスに役立つかどうか、わかりません。役立つといいと思います。前置きはそのくらいにして、話に入りましょう。
 みなさんはこれを見たことがありますか? ちょっと振ってみると何だかわかります。こんなふうにリズミカルに振るのです。そう、そうです。こんな感じ。踊りたくなります。この国のサンバでおなじみのショカーリョのリズムですね。木製なのですこし優しい響きがします。
 すみません。冗談です。
 本当は、これは中国語で「スアンパン」と呼ばれる計算器具です。似た仕組みは古代ローマでも使われていました。中国にはいろいろな種類があります。これは中国から日本に伝わり日本で改良されたものです。日本では「ソロバン」と呼ばれています。プロジェクターで大きく表示してみましょう。
 竹の細い棒に木製の玉が通してあります。この玉はこうして指で1ポジションだけ動かすことができます。
 これでどうやって数字を表現し、どうやって計算するのでしょう?
 まず、直観的にわかるように、この一列が数字の桁を示しています。一つの桁には、上部に1つの玉、下部に4の玉があります。
 下部の玉を1つずつポジションを動かすことで、4までの数字が表現できます。4で限界がきて、上の玉を1ポジション動かします。上の玉は5を意味しているのです。おっと、5になったら、下の4つの玉はリセットされます。
 5進法と言ってもいいのですが、5進法の数字表現なんて不思議だと思いますか? いえ、私たちが現在でも使っているローマ数字もこれに近いものです。5の玉が V だと考えてください。これに1の玉の I が3つ付くと VIII で8になります。桁が上がると X になります。
 ただし、ローマ数字だと4は玉4つではなく、 IV ですし、9は IX です。たぶん、3つ並んだ I と、4つならんだ I は誤解しやすいからなのでしょう。これが I ではなく、ソロバンの玉であれば、3つと4つのは、想像上でも、それほど誤解しません。ここで「想像」というキーワードにちょっと心を留めておいてください。
 ところで、なぜ古代人は5進法で考えたのでしょう?
 考古学者がどのような答えを示しているか私は知らないのですが、私は、これは、人間の指から発想されたものだろうと思うのです。ほら、親指が上の1つの玉、その他の指が4つの玉に見えますね。
 すると、私たちは両手を使って99までカウントができることになります? どうやるか、わかりますか?
 わからない人、手を挙げてください。ああ、いますね。では、周りにいる手を挙げなかった人になぜか訊いてください。どうぞ。
 3分ほど私は沈黙しますよ。


 はい、3分。どうですか。まだ、わからない人、手を挙げてください。いません。いいですね。知識というのは、こうして伝わるものです。
 次に計算の原理を説明しましょう。まず、2と2を加えましょう。これはとても簡単です。下の玉を2つ動かして、次にもう2つ動かせば、4つ動いたことになるので、これで4の数字が表現できます。
 次は、4足す4はどうしましょうか?
 下の玉はもう4つ動いていて、これ以上動けません。そこで上の玉1つが5だったことを思い出します。ここで5の玉を動かせば、5を足したことになります。やってみますね。下の玉は4、これに上の玉1つ、はい、これで9です。
 おっと、これでは4足す5です。
 4足す4はどうしましょうか?
 5は4より1だけ数が多いので、9から1を引けばいいのです。これでめでたく、4足す4は8になりました。
 「古代人は、なんて、バカな考えをするのか」と思いますか? そうかもしれません。
 古代人は、「4は5対して1少ない、3は5に対して2少ない、2は5対して3少ない、1は5に対して4少ない」という、という4つのルールを覚える必要があるからです。
 ついですから、10に対しても同じようなルールも覚えるとよいのです。「9は10に対して1少ない、8は10に対して2少ない……」というふうに9つのルールができます。
 言い忘れていましたが、9の次は次の桁の1になります。これでルールは14個です。
 たぶん、これだけで、足し算ができます。
 8足す6はいくつでしょう?
 上の玉1つと下の玉3つで8、これに6を足すには、10桁の玉を一つ加えて、4を引くのですが、それには、5を示す上の玉を外して、下の玉を1つ加えます。ほら、14になりました。
 難しいですか? わからない人は手を挙げてください。ああ、いますね。この仕組みはあとで家に帰ってから考えてください。ソロバンの仕組みの話はここまでです。
 いったいなぜ、古代のローマ人や中国人はこのような計算器具を作り出したのでしょう? 14個ほどのルールで数桁の足し算ができて便利だからだったからでしょうか? たぶん、そうです。
 では、この計算器具が存在しなければ、計算はできないでしょうか? 
 いえ、そうではないのです。ソロバンの計算になれた人だと、頭のなかにソロバンを思い浮かべただけで、想像上のソロバンを使って、数桁の足し算を行うことができるようになります。それは本当に魔法のようです。みなさんも1週間くらい練習すると、二桁の足し算はできるようになるでしょう。
 さて、私の話のポイントは何でしょうか?
 2つあります。一つは、ソロバンという存在は、本質的には想像上の存在であるということ、もう一つは、それを使うということは、想像を能動的に見ることによって行うことです。
 ここで強調したいのですが、二つ目の「想像を能動的に見る」という想像のプロセスは、思考のプロセスではありません。
 私たちは想像することで存在を生み出すことができ、また想像を能動的に見ることでその存在の力を働かせることができます。ソロバンは、私たちが持っている、想像の力の一つの比喩なのです。
 私たちは、想像を能動的に見ることで、想像の力を引き出すことできます。
 たとえば? 
 この世界に、本当の愛は存在するでしょうか? 本当の善は存在するでしょうか? あるいは神は存在するでしょうか?
 私は、これらは私たちのその想像で決まるのではないかと思うのです。
 想像によって存在を生み出し、想像を能動的に見ることによってその力を引き出します。
 想像を大切にしてください。
 それが私の雑談のメッセージです。終わります。
 
 

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