[映画]レオン・完全版
なんとなく見逃していた映画「レオン」を見た。日本公開は1995年3月25日で、その20日に地下鉄サリン事件があった。そして22日には上九一色村の強制捜査があった。この映画はそうした世相の記憶と結びついている。作成されたのは1994年なのだから、そこから考えると20年経ったことになる。あのころもチョーカーとか流行っていたな。
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少女マルチダを演じてる子はなんとなくユダヤ人だろうなと思ったが、パドメ・アミダラのナタリー・ポートマン(Natalie Portman)だった。
物語は、ニューヨーク下町のイタリア人街を舞台に、手練れの殺し屋中年男レオンと12歳と見られる少女マチルダの交流を描いている。愛と言ってもよいのだろう。いわゆるバイオレンス・アクションはハデだが、映画全体のトーンはおとぎ話のようでもあり、その感触をジャン・レノとナタリー・ポートマンがよく描いていた。二人はほんと黙っていても絵になる顔である。
映画としては普通に娯楽作品として面白かった。殺し屋という設定も興味深いが、中年男の純情と幼い少女の純情というより、大人になれない男と大人にさせられてしまう少女の奇妙な交錯が叙情的でもあり、まあ、リアルに考えるとこれはありえないだろうという世界でもあるから、おとぎ話的なトーンによくなじんでいた。
見終えたから、完全版ということに気がついた。ということは、これ、劇場公開版とかテレビ放映(あったのだろうか?)とは違うバージョンだということだろう。どのあたりが違うのかについては、おそらくバイオレンス・シーンや性的な会話の部分だろうと思っていたが、ネットをちょっと覗くと、だいたいそうらしい。公開版と完全版とで大きく違う印象があるかはわからない。マルチダがレオンのプレゼントのドレスを着るシーンは公開版ではカットされていたのようなので、あのシーンがないとつまらないだろうなとは思う。
些細なことだが、レオンが牛乳ばかり飲むという設定は面白い。どういう背景があるのかわからなかった。気になった人はいるらしく、適当な理由付けがネットにもあったがたぶんデタラメだろう。映画の進展からすれば、19歳でイタリアを飛び出したレオンが生きて行くには牛乳を飲むくらいだったということはないだろうか。
レオンの最期も洒落ていた。あれを洒落と受け取っていいのか、いけないような気もするが、私は笑った。そして泣けた。
レオンを失った少女は恋と死を抱えて生きていくことになるだろう。そういう種類の孤独の情感は、かなり多数の女性の心理に重なるのではないだろうか。その点でこの映画は、とても女性的な映画なのではないかと思った。
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コメント
レオンが牛乳ばかり飲むのは、暗殺者としてのプロフェッショナルの習慣で、体臭を消すためだったと思います。シナリオを元にしたノベライズでそう書いてありました。同じ商品を買い続ける描写が、日常の単調さと幸福が、いつか終わってしまう不穏と刹那性をちらつかせて、面白かったですね。
投稿: pictopus | 2014.10.19 01:11