ピンズラー教材ドイツ語2をようやく終えた
ピンズラー教材ドイツ語2をようやく終えた。教材は本来一日一課だから、30日で終わるはずなのに、70日かかった。途中、もうダメだとなんども思った。こんなに難しい言語だと思わなかった。
German I, Comprehensive |
愕然と難しいと思ったのは、聞き取りからだった。だんだん自然な速度になるにつれ、聞き取れなくなる。Duで受ける動詞が倒置になるとDuのDの音が、動詞の変化形のstに吸収されて聞こえない。ちょっと気になって音声波形を分析してみたけど、Dは発音されてなかった。
格変化も一通り暗記しただけだと、聞き取りのなかでほいっと出てくるときは難しい。発話するときには格変化の感覚がないと違和感がある。というか、プログラミング言語を書いているような感じで、自然言語の感覚が追いつかない。
どうしたらいいんだろうと思って、とまどっているとき、Allaboutのサイトで次の詩を知った。"Der Tod des Todes bringt dem Tod den Tod."
ナンセンスなようだが、「死神の死は、死神に死をもたらす」とも訳せる。これを呟いていると、ただ冠詞だけ並べて暗記するよりも格の感覚が乗ってくる。同サイトでは他のお勧めもあったが、なんどかやってみて次のようにしてみた。訳は適当だが、いちおう文章化できればいい。
男性形と女性形と並べるより、男性と中性形、そして、女性形と複数形としたほうがわかりやすかった。
Der Tod des Todes bringt dem Tod den Tod.
Das Geld des Geldes bringt dem Geld das Geld.死神の死は、死神に死をもたらす。
金の銭は、金に銭をもたらす。Die Liebe der Liebe bringt der Liebe die Liebe.
Die Kinder der Kinder bringen den Kindern die Kinder.愛の神の愛は、愛の神に愛をもたらす。
子らの子らは、子らに子らをもたらす。
冠詞だけで取り出すとこうなっている。
m: der, des, dem, den
n: das, ---, ---, ***f: die, der, der, ***
p: ---, ---, den, ***
基本的に、男性形以外では、目的格は主格と同じで、むしろ、denの場合の感覚をきちんとするよさそうだ。所有格については、desとderの感覚。そして、与格は別途、前置詞なんかと合わせて覚えればいいのかという感じになってきた。
German II, Comprehensive |
そして、この格変化だけど、単に定冠詞だけはなく、代名詞Sieのなんかもこれに準じているし、zuがzurやzumに変わるのも、格変化の音の響きに準じていることが感覚的にわかってきた。
そのおり、英語で「he, his, him」なのになぜ、「she, her, her」なのかと疑問にふと思った。これはドイツ語と同系の言語の名残だろうな。
ドイツ語の定冠詞の格が男性名詞だと、des, demと活用し、女性名詞だとder, derと活用する。これは、英語のhis, himそしてher, herと対応している。ということ。
もちろん、現代ドイツ語の人称代名詞だと、「彼」はseiner, ihm、「彼女」はihrer, ihrになる。だけどたぶん、これは現代ドイツ語もドイツ語として変化してそうなったのだろう。というか、現代ドイツ語の人称の使い方はとても難しい。
いすれにせよ、このあたりで、ふーむ、なんとかもう少しドイツ語やっていけるかなという感じになった。
枠構造についてはもうひたすら慣れるしかなかった。
この「ひたすら」に準じて思ったのだが、昨年から、フランス語、中国語と学んで来て、それらも忘れないように勉強を続けようとしてきたのだが、いったん、やめることにした。日課的な英語の勉強もやめた。語学はしばらくドイツ語だけに集中しようと思った。この踏ん切りもけっこう大変だった。おかげで英語の発音がドイツ語っぽくなった。これはもうしばらくしてから戻すことにしようと思う。
とはいえ、Duolingoのフランス語だけは少しずつ進めた。
この毎日こつこつと小学生の漢字の書き取りみたいにDuolingoを勉強するのも積み重ねるとそれなりに効果はありそうだ。いちおうDuolingoの説明だと、私は65%フランス語を学んだそうだ。ドイツ語は37%。
というか、Duolingoをやって思ったのだけど、語学は初級的なことが終わると、あとは語彙だなあと思う。これはピンズラーも言っていたが、語学でいちばん難しいのは語彙だと思う。
Learn German with Paul Noble (Collins Easy Learning) |
それにしても、フランス語は英語(ピジン化したフランス語)の延長、中国語は日本語(漢文)の延長に思えたけど、ドイツ語は根幹で英語に近いぶん、英語の違いが最初は楽に見えたけど、学ぶにつれ、逆に阻害要因になってきた。これは英語国民でも同じように感じるのではないか。他方、ドイツ人にしてみると、英語は比較的習得が楽な言語に見えるだろうなと思った。動詞変化や格変化、前置詞格変化や枠構造・倒置などがないので。
あと、ドイツ語勉強して、哲学者だとカント(Immanuel Kant)やヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)、マルクス(Karl Heinrich Marx)、ハイデガー(Martin Heidegger)、文学者だとヘッセ(Hermann Hesse)やリルケ(Rainer Maria Rilke)、音楽だとベートーベン(Ludwig van Beethoven)やモーツアルト(Wolfgang Amadeus Mozart)などが、随分身近に感じられるようになった。特にマルクスとかハイデガーとか原語の感覚が少しわかってくると、ああ、なーんだ、そうことかという感じもした。G-W-Gとか、Daseinとか。
英語もおぼつかないが、それでも初級レベルのフランス語、ドイツ語、そして中国語を学んで、だいぶ世界の見方というか世界というものを受け止める感覚は変わったなと実感する。これらの国の人名とか見て、カタカナ使わなくてもわかるというのもけっこう便利だ。
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コメント
すごいなぁ。語学塾とか開かないの? オンラインでもいいし。
投稿: | 2014.10.10 17:26