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2014.10.18

若者はお金がないから恋愛できないのだろうか?

 若者はお金がないから恋愛できないのだろうか? 私にはわからない。ある程度社会学的に考察したとき、なんらかの答えが出るのかもしれないが、知らない。
 青春が1970年代後半の私からすると、私の若い時代も若者にお金はなかった。それで恋愛ができなかったかというと、そうでもなかった。それ以前に、お金がないゆえに恋愛ができないという問い自体が、どうもそもそも象を結ばない。あの時代の私に十分にお金があったとして恋愛でどう使うのか? コンサートに行く? 旅行? ちなみに映画は安かった。500円で三本見れた。
 問いかけはたぶん、バブル期と比較してみると、現在の若者はお金がないから恋愛できないという枠組みなのだろう。
 だが、これもその時代を見てきた自分としては、やはりぴんとこない。あの時代、自分も含めてまだ若い部類の人たちは、けっこう大きなお金をくだらないものに突っ込んではいた。自分の場合はMacintoshとかだった。SE/30が80万、Ciが100万くらいした。パソコン通信関連で月額5万円くらい払っていた。それらに突っ込んだから、他にお金はない。そんな感じだった。
 というわけで、結局、この話は私には扱えないが、先日、健康年齢について厚労省の白書を見ていたとき、関連してちょっと気になったことがあった。「未婚者の異性との交際の状況」(参照)という話にある、その変遷のグラフが何を意味しているのか。しばし考えていた。これである。

 1982年から2010年までの「未婚者の異性との交際の状況」を示している。1982年というと私が大学院生だった時期なんでずばり若者だった時代である。そのころは、恋人がいるのが約17%。異性の友だちがいるが36.8%、交際相手なしが36.8%。まあ、そんなものだっただろうか。
 そして現在に近い2010年はどうかというと、恋人がいるのが約21%。約20年前と比べてさしたる変化はないと言ってよい。バブル時期を眺めてみても、それほど変化はない。ここには掲載しなかったが、女性については、1982年には約18%だったのが、2010年には約29%と大きく変化している。つまり、女性の場合、恋人が増えたとは言える。ただ、この変化は1990年ころに定着してその後は変わっていない。
 1982年から2010年までで何が変わったかというと、2点ある。1つは「異性の友だちがいる」という割合だ。男性だと約37%から10%まで落ち込んだ。そして、それを埋め合わせるかのように「恋人なし」が、約37%から62%へと拡大している。この傾向は、女性についても見られる。
 簡単に言うと、日本がこの20年間で変わったのは、「恋人とはいえないが、異性の友だちとはいえる」友だちの減少である。段階的に減少しているので長期潮流と見てよい。男でいうなら、女友だちというのが減少してきた。
 なぜ、男に女友だちが減ったのだろうか。若い男にお金がなくなったからか?
 白書にはこの答えの暗示はない。社会学的にはなんらかの説明があるのかもしれない。
 私が思うのは、1982年時点で異性の友だちがいる率が高かった理由は、学校や地域という男女を閉じ込める枠組みの延長がまだ社会に存在していたからだ、ということだ。それが時代ともに開放されて、男女の同級生的関係や、幼なじみ的な友だち関係が壊れていった。そういう過程なのではないだろうか。そういえば、私が若い頃は、なにか若者の集まりというと共学時代の延長みたいに男女が適当に集められていたものだった。
 別の見方をすれば、この約20年の間に、男は男だけ、女は女だけの集団形成が進んだということかもしれない。
 いずれにせよ、とりあえず若い男女を閉じ込める枠のようなものがなくなってしまったら、友だちもなくなったか、あるいは同性の友だちだけだから、その割を食って「恋人なし」が増えたことのように見える。
 白書では、これに補足して、「さらに、そもそも異性との交際を望んでいない割合は、男性で28.0%、女性で23.6%に上っている」と記しているが、その変遷についても記述はない。
 先の傾向を見ての推測でしかないが、「そもそも異性との交際を望んでいない」という比率もこの約20年間に増加したのではないだろうか。つまり、もともと「押しつけられた枠のなかでの異性との交際なんかやだなあ」ということだったのではないだろうか。自分の実感からするとそこは共感できる。
 こうしたデータを見ていて気になるのは、これはそもそも、時代変化に付随して起きた現象なのだろうか?ということだ。つまり、現代の若者が貧しくなったから、だから、変化が起きたのだ、というような関係とは違うのではないか。
 私の印象からすると、これは、日本の文化・社会構造が安定性を得ていくためのある必然的な過程なのではないかという疑問がある。
 そう思うのは、「「現在、婚約者または恋人がいる」人の割合の変化」を各国比較で見ると、単に文化・社会構造の要因だけではないかと思われるからだ。

 韓国はたいていの場合、日本と相似な文化で、しかも少子化を辿っているという点でもそっくりなのだが、「現在、婚約者または恋人がいる」という点では、日本よりも米国に似ている。しかし、日本はフランスやスウェーデンなど成熟した市民社会のほうに似ている。
 つまり、伝統的文化をもち市民社会として成熟してくると、「現在、婚約者または恋人がいる」比率は自然的に25%くらいに収束するものなのではないだろうか。
 このことは、「独身にとどまっている理由」からも察せられる。25歳から34歳の男性を見ると、結婚の障害が金銭面である理由というのは少なくはないものの、他の要因と比べてこの10年間で目立った変化があるとも言えないし、そもそも他の要因のほうが大きい。

 ざっと見た印象だと、「適切な異性との出会いがないから、今のままで独身を続けよう」ということで未婚状態が続いている、という以上の意味はなさそうだ。
 ただ、金銭面の貧しさという関連していうのなら、男女がともに働いてお金を寄せ集めて生活するというふうに変化していくしかない。その意味で、恋愛にしても結婚にしても、お互いの労働生活の調和を自然に含めるものになるだろう。別の言い方をすると、「普通に職業観というのが一致してないと、恋愛とかもきついよね」ということだろう。

追記(2014.10.19)
 文化差については、raurublockのブログ「若者はお金がないから恋愛できないのかどうかはわからないが、外国と比べて日本人に恋人・同棲相手が少ないのは間違い無い」(参照)で興味深い指摘があった。指摘される議論が正しいかどうかは率直なところよくわからないが、指摘とそのコメントは理解できた。
 
 

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コメント

社会と風俗から、手作りなものが極端に減ったからだね。完成したものを消費するだけの生活の結果、完成された恋愛を求めようとして、そんなもんないから、自滅してしまう。自滅は、本能に反するから、恋しないで適応するってことでしょ。

とにかく、手数が減ってるよね。それで、利鞘をつくるビジネスが多すぎる。手を動かすより、考えた方がいいって感じで。手を動かす仕事は安くて、考えているだけの方が高いって、今の日本の新聞が象徴してるし。

投稿: | 2014.10.18 21:53

あと、お金があると恋愛ができるかというと、老人たちを見るといい。できてないから。そもそも、受験地獄なんて言葉ができた頃から、恋愛する時間がなく、大人になっていくのだから、もう、その老人たちの若い頃だって、恋愛していたわけでなく、恋愛と結婚というイメージがワンパターンがあって、ただそれに従っていただけで、恋愛していないかったわけで。で、現代になって、多様化したのと、イメージが過剰で自由、ロリコンの自由って感じで、実際は、自由ではなく、固定概念にしがみついているところでは同じってことなんだと思う。

なので、消費税を増税して、少子化対策でお金をいくらつかっても、無駄。つまり、政治的には一切放棄して、自然と、自由に生きようとする若い人が現れるのにまかせるしかないのかもね。

だいたい、ネットしているおっさんたちの、恋愛ってどうなってるかだなぁ! お金をもっていて、いくら、家庭が大切、嫁が大切だっていう理由で、恋愛しないのかもしれないけど、もう、そこで、駄目じゃん。

投稿: | 2014.10.18 22:10

いつもブログ拝見させて頂いています。

自分は31の独身男ですが、
若者の未婚が増えていることについては、私も金銭的な問題ではないと思っていました。
ひとつはアダルトビデオ・インターネットによる性産業の拡充、そして社会的圧力が無くなり、結婚が「選択するもの」になったことが大きな要因ではないかと考えていましたが、
男/女が交流すること自体が無くなってきている、ということは実感としてありますね。
異性という異質な存在と対峙しようとすると、怒りや悲しみなどネガティブな感情が出てくると思うのですが、それが社会の接着剤のように機能していたのが、いつからか排除されるべきものとなってきたように思います。
感情を不要なものとするひとつの考え方が支配的になってきているのが未婚の増加の根っこに隠れてはいないでしょうか?

投稿: 鳥人間 | 2014.10.19 01:01

男女の人口比がそもそも違うのにそれを考慮に入れなければ

投稿: | 2014.10.19 01:31

似たようなのでは最近読んだこれが面白かったです。
http://rootport.hateblo.jp/entry/2014/10/13/232806

投稿: 欣 | 2014.10.20 19:41

20代半ばですが、
付き合うという行為自体が非常に面倒くさいと感じます。
1人の相手とマメに連絡を取り続ける、出かける、記念日を祝う、をずっと続けるのは苦手です。
周りにも、最近恋人と一緒にいてもつまらないと愚痴をこぼす友人がいます。
娯楽が多いので一人でも楽しいし、わざわざ恋人を作らなくても、友人と遊ぶだけで事足りてしまいます。
将来そうもいかないのかもしれませんが、だからといって将来のために気の乗らない婚活やら出会いさがしをする気にもなれません。

投稿: もじよ | 2014.12.13 02:31

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