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2014.10.08

青色LED開発関連ノーベル物理学賞もなんか微妙だった

 今年のノーベル物理学賞の受賞者に青色LED開発の関連で、カリフォルニア大学教授の中村修二さん、名城大学教授の赤崎勇さん、名古屋大学大学院教授の天野浩さんが受賞した。よかったかと言えば、よかった。うれしいニュースかといえば、うれしい。ということ。ああ、でもなあ。どっちかというと微妙なニュースだった。どうリアクションしていいか、ちょっと困惑した。
 中村修二さんが受賞することはわかっていた。今年になるか、というのはわからなかった。その点では予想していたわけではない。いずれ取るでしょう、いつごろなんだろうと思っていたくらいである。
 しかし、振り返ってみると、予想はできた。なんとなく失礼な言い方になってしまうのを恐れるが、赤崎勇さんのお年である。
 基本的にこの分野の業績は中村修二さんの単独でよいのではないかとも思っていたが、ノーベル賞の傾向として先駆的業績には配慮するので、赤崎さんははずせない。すると、お二人かな。もうひとりジェームズ・ビアード、誰?みたいな感じになるか。
 てなふうに思っていたところで天野浩さんなので、はて?と思ったが、赤崎勇さんのお弟子さんだからということなのではないか。「低温バッファー層技術」開発時に天野さんは修士二年だったが一人前の研究者として扱った赤崎先生がいい先生でしたというこのような印象を持つ。というか、ノーベル賞側では、中村さんと赤崎さんは決まっていて、そこからいろいろ調べて検討し、こういう師弟関係が日本には好ましい、という配慮の意味合いがなかっただろうか。
 中村修二さんについては、彼が話題になる時代をずっとなぞって見てきたので普通に知っていることはある。いろいろ語られ、それが語られるべきテンプレ話題になりすぎていて、今振り返って特に言及すべきこともない。
 それでも、彼の研究は文字どおり、独創だっただろうと思う。「窒化ガリウムを選んだのはやけくそでした」(参照)より。


 ついでに,フロリダ大学に1年間行かしてくれと言って,MOCVD(有機金属気相成長)を勉強しに行きました。
 1989年に日本に帰ってきて,それから青色LEDの研究を始めました。これを始めるときに,過去10年を振り返って,それまでとはまったく違うやり方でやると決めたのです。
 それまでやってきたのは,全部他人の真似なんです。文献を全部かき集めて,片っ端から一生懸命読んでやっていました。そうするとどうしても,無意識にひとの真似をするんですよ。頭の中に入っているんですね,概念が。先にやった人がこうだと決めつけたものが。
 だから今度は文献を読まないと決めました。論文も本も一切読まないと決めたのです。
 それから,人のやっていない材料ということで,窒化ガリウム(GaN)を選びました。当時,青色LEDというとジンクセレン(ZnSe)とかシリコンカーバイド(SiC)とかもあったのですが,もう大手がやってる材料は絶対やるまいと決めました。自暴自棄でGaNを選んだわけです。当時,名古屋工業大学の赤崎勇先生だけはGaNをやってらっしゃったのですがね。
 外国でも,数は多くないのですが,いくつか窒化ガリウムの論文が出ていました。それもすべて無視,です。

 赤崎先生の業績なくしてできたということでもないだろうが、見方によっては、やはり中村さんの独創でよいような気はしている。
 自然科学のノーベル賞というと、ついしかたないと思うのだけど、日本の科学振興とか、基礎研究の予算とか、言われるわけだけど、中村さんの独創で思うのは、もっと素の力みたいな感じかなあ。たとえば、装置開発でも、彼はこう言っていた。

ヒーターの設計が一番難しいんですね。私はそのあたりは得意なんです。10年間装置を自作し続けた経験が生きているのですよ。今の人はどんなにいい大学を出ても,改造ができないですね。私はそれまでずっと,ガラクタをかき集めて自作をやってきましたからね。ヒーターも自分で巻いたし,透明石英の溶接とかも,ずーっと自分でやってきましたからね。

 つまり、そういう人が独創なんだろう。そういう人材を育てるというのは、科学教育をとか予算をというのと少し違うような気がする。
 もう一点、今回のノーベル賞で、当然話題になって困惑するだろうなと思って、そのとおりになったことが、中村さんの国籍問題である。別の言い方をすると、日本人なのか、ということだ。
 日本の場合、二重国籍を認めない建前で、しかも他国籍を取ると、たしか自動的に日本の国籍は失効だから、中村さんは、その意味でもう日本国籍はないのではないかと思う。はっきりしたことはわからないのだけど、これを機会に日本も二重国籍ありにすればいいのではないか。
 ちなみに、中国系のノーベル物理学賞受賞者には、李政道、楊振寧、丁肇中、朱棣文がいるが、中国人と見るか米国人と見るか、どうでもいいような問題にも思える。
 米国というのは、オバマ大統領も父親はケニア人だし、米国籍で米国人という以上のこともないだろう。
 
 
香港・真正的普選
  

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コメント

中村氏のやり方で青色LEDは作られていないし、発明したのは赤崎さんと天野さんで、中村氏のほうが貢献0ですよ?

投稿: 通りすがり | 2015.01.26 23:46

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