JK、加油!
台湾で学生たちが議会を占拠したときは、日本でもこれを支援する騒ぎがネットから見られたものだが、現在の香港の、なかでも学生を中心とする民主化運動について日本側から支援する声のようなものは、あまり見かけないような気がする。なぜなんでしょう。
よくわからないのだが、私は日本のネットの動向に関係なく、世界の民主化を支持するので、基本的にこうした運動に肯定的。日本からも民主化を支援しているよ、という声をあげておきたい。ただ、ちょっと微妙な部分がないわけでもないのでそのあたりはあとで触れたい。
まず、どういう問題か。簡単にいうと、中共政府、ふざけたまねしやがってくのぉー、というか、なーんちゃって民主主義が世界に通じると思ってんのかよぉ、ということ。
具体的に言うと、中共政府は、香港の市民に対して、2017年の香港特別行政区トップ・行政長官選出では、従来の間接選挙ではなく、直接選挙を認めるという発表をした……すげーなあ……ところが、立候補に制限があり、実質中共政府の息のかかった指名委員会の過半数の推薦を得た二、三人まで。
あれです、うんこ味のカレーにしますか、それとも、カレー味のうんこにしますか、ということです。ざけんじゃねーよ。
というわけで、香港の民主化を推進する人が怒って、金融街・中環地区を群衆で埋める抗議行動「オキュパイ・セントラル」を実施すると息巻いている。「ウォール街を占拠せよ」の香港版である。これをすると、香港は経済的な信用を失って大きな損失になるだろうとも言われている。
とはいえ、そこまでは、率直にいうと、ふーん、という感じ。
仔細に運動を見ていくと、え゛?という話があった。この運動の中心にいる、17歳の少女、アグネス周庭さんである。何者、それ?
清純な少女を革命のシンボルに祭り上げる古くさい左翼運動的なものに触れると、その少女が清楚で純潔っぽい感じがするほど、うげぇぇって吐き気がしてしまう私だが、アグネス、いいんですよ。とても自然な感じがする。ああ、普通の女の子じゃん。普通なわけないけど。この真ん中の娘さんである。
広東語で何言っているのかさっぱりわからない。今回の民主化運動の話なんだろうか。少なくとも、この自然なノリはいいなあと思った。
ほんとにこの娘さんなのか疑問にも思えるが、タイトル「如今已無特別值得尊敬的政治偶像」を見るかぎり、私はもう政治的な偶像じゃないもんね、という感じである。
もうちょっと書いてある。周ではなく黄の意見だが。
黃則指出,由於他們過去只是中學生,並非專業人士,亦沒有甚麼財產,所以政客的地區工作與他們的關係較少,亦不會因而特別支持某團體或政黨。黄が指摘するのは、彼らは単に中学生であり、就労者ではないから、財産ももっていない。だから、地域産業の政治家と彼らの関係は薄い。だから、特定団体や政党をことさに支持しているわけがない。
そのままに受け取ってよいものかわからない。英国的な支援グループとの関係があるのかもしれない。それでも、全体から滲み出る広東語しゃべくりまくりをみると、英語とか北京語で運動をグローバルに広げないのかよという素朴さがつたわってくる。
しかし、とここで私は学生時代の香港人の先輩を思い出すのだが、彼女らは普通に英語もしゃべれた。アグネス周もそうなんじゃないのと見ていくと、昨年のだがあった。やっぱりな。それにしても、まじJKな。
見ながら、インタビューのおっさん(Michael Chugani)の微妙な心情が微妙に伝わってきて微妙に泣ける。たぶん、基本のことろでおっさんはアグネス娘を支持しているし、若い希望を受け止めているが、この年齢のおっさんなら天安門も見てきたし、いろいろ見てきたはず。苦い思いもあるのだろう。
インタビューのポイントの一つは、"Scholarism"である。「学民思潮」。香港の学生運動で、香港政府が推し進める「德育及公民教育」に対抗して2011年に中学生を中心に出来たものだ。ざっと関連を見るかぎり、つよい政治思想といったものは感じられない。
さて、これをどう受け止めたものだろうか?
天安門事件、さらには紅衛兵の運動といったものを見てきた自分からすると、若い人が理想だ民主化だと純粋に運動していても、そう単純には受け付けない。ただ、心のどっかで、本当に革命というものがあるなら、案外、このJKから始まるんじゃないかという思いもある。
話を少し戻す。インタビューにもあったが、当面の問題としては、オキュパイ・セントラルをどう見るかということだが、そう単純でもない。その一端は、親中派デモからも見えてくる。この親中派デモなんて中共の工作でしょとも思う。実際、広東省から、日当アゴ足つき動員されたのだから、それ以外の何物でもない。が、これも仔細に見ると、香港市民でもうっすら賛同している向きがある。オキュパイ・セントラルとかよくないんじゃないの、香港の食い扶持だぜ、という感覚だろう。
今後のオキュパイ・セントラルの動向はよくわからない。
ただ、中共側の香港民主化押しつぶしは、天安門で戦車で民衆を押しつぶしたようにはできず、香港議会側の決断の余地を残している。もっともその余地も、従来どおりの間接選挙ということで、またしたも、うんこ・カレー問題にはなる。
単純な話ではないなあと思うのは、もう30年以上、なんとなく台湾の民主化を見ていて思うことでもある。李登輝総統つまり大統領を選出した時点で、実質、台湾は独立してしまったのだが、連合国体制=国連の建前上、台湾は国家ではない。しかも、経済的にどんどん台湾は中国に飲み込まれ、おそらく、独立民族国家となる見込みはない。
さらに小さい香港にそれが可能だとも思えない。それでいいのか。こういう煽り方はよくないが、台湾・香港の未来は日本の未来だし、その前に韓国の未来でもあり、韓国のじりじりとあぶられている様子も伝わってくる。
それでも、アグネスさんのナイーブなJKぶりを見ていると、どっかに希望があるような気がしてくる。私は荒立たしことは好きじゃないし、政治イデオロギーなんかクソくらえと思うが、それでも、JK、加油!
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コメント
他国の民主化に無関心なのは、日本が民主化していないか、日本が封建国と民主国のまだら模様で混在化してるからじゃないかなぁ。
あと、民主化というのは、政治だけでは進まない。なのに、政治がすべて主導しているし、なんでもかんでも政治的力、つまり権力中心。ネットも、けっきょく、権力をネットの中でいかにもつかってやって、そのエネルギーに炎上プロパガンダやってるんでしょ。だってさ、民主的な人だなって思う人は、ネットの外ばかり。まぁ、ネットの外でも、大企業で優秀な老人は、頭もいいけど、結局、政治力を屈指するから、スゲー、気持ち悪かったりする。悪い人ではないんだけどね。なんで、趣味に政治的パワーがいるんだかとか・・・。
いい加減、うんざりするのは、日本が、世界の中でたいした政治力をもってるわけでないのに、なぜか、日本はもっとも政治的に優れているらしいじゃん。ま、そういうトンチンカンさで、大した衝突が起こらないのだろうし、で、今起きてる衝突なんて、もう、くだらないことで、ほとんどが、当時、日本国民がやったことは、政府は無責任ですなんてやってんでしょ。そんな政府が、世界から信頼されるわけがないじゃん。
というわけで、中国人の若い人たちが民主化に進化していってるのは、いいのぉ。日本より、ずっとたいへんな人生なのにね。
投稿: | 2014.09.06 09:26
もう読まれてるかもしれませんが香港の一人の方の意見と
http://www.inmediahk.net/node/1025890
報道の一つです。
http://www.inmediahk.net/node/1025721
ご参考までに。
投稿: | 2014.09.06 21:24