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2014.09.09

韓国でのタバコの値上げで思ったこと

 韓国でタバコの値上げが話題になっている。禁煙を推進するためにタバコを値上げするのは、国際的な潮流になっているので、韓国が多少遅れたとしてもそれを追いかけたことには、さして違和感もない。なにより韓国は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO FCTC)」を受け入れたので喫緊の課題になっていた。
 この話題だが少し掘り下げて見ていくと、考えさせられることがあった。
 報道は各所にある。3日付け中央日報「福祉部長官も「たばこ、4500ウォンに値上げを」=韓国」(参照)が焦点化しやすいので、引用したい。


保健福祉部が年内にたばこを4500ウォン(約460円)に値上げする案を推進している。
文亨杓(ムン・ヒョンピョ)保健福祉部長官は2日、政府世宗庁舎で記者らに対し、「最も効果的な禁煙政策はたばこの値上げ」とし「喫煙率を低めるため、少なくとも2000ウォンは引き上げるべきだと考える」と述べた。値上げが決定すれば、国内で最もよく売れているたばこの価格(2500ウォン)を基準に倍近くに上がることになる。
7月に崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済副総理が聴聞会で「国民の健康増進レベルでたばこ税の引き上げが必要だ」と述べたのに続き、主務部処の福祉部長官がたばこ価格の引き上げ幅に言及したことで、値上げが現実に近づいている。

 現状の二倍に引き上げるというのだから、韓国社会で話題になるのは当然だろう。だが、引き上げ後の額を見ると、一箱460円くらいで、高いかなとは思うが、先進国と比べると標準といったところ。WHOの手前、やや強引に世界標準に持ち込んだかなという印象がある。
 私はタバコを吸わないで、日本国内のタバコの価格にも疎いのだが、「マイルドセブン」改め「メビウス」が430円なので、ウォンの変動も合わせると、日本を追っている印象がある。まあ、実際はそうでもないのだろうけど。
 ちなみに、日本のタバコ価格もこの10年で高騰していて、「マイルドセブン」だと、2004年には270円だったから、10年ほどで160円上がったことになる。前年の2003年では250円だったことを考えると、だいたい二倍くらいにはなった。急激な値上げは2010の300円から410円かもしれない。余談だが、「メビウス」は韓国でも売れ筋のタバコなので免税店でよく買われているらしい。
 ということで余談にそれるが、そういえば、先日セブンイレブンで「しんせい」を見かけ、山本七平がよく吸ってたなあと思いだしたが、これは現在、250円。このあたりは、もうタバコやめてもしかたないでしょうという年代への一種の福祉政策かもしれない。ちなみに、「わかば」が260円、「恩賜のたばこ」だった「ゴールデンバット」が210円。そういえば沖縄の「うるま」は、と見ると260円、「バイオレット」が250円。なんか本土復帰な価格。
 気がついたのだが、現行の韓国でのタバコの価格は250円ほどなので、「しんせい」「わかば」的な価格にある。日本の昭和が続いているような感覚かもしれないし、日本の場合は、昭和な部分をこっそり陰で維持しているとも言えるのではないか。というところで韓国での安価なタバコを調べたら、1000ウォンくらいのもあった。つまり、全体的に韓国のタバコは安かったわけだ。
 話を韓国の今回のタバコ値上げに戻すと、ちょっと、自分には意外なことがあった。

 韓国国内のたばこ価格は、500ウォンの値上げがあった2004年末以来引き上げられていない。文長官は「2004年に500ウォン値上げした後、販売量が減少し、喫煙率が2年間に12ポイントほど落ちたが、時間が経過しながら喫煙率の低下傾向が停滞した」とし「現在約44%の成人男性の喫煙率を2020年までに経済協力開発機構(OECD)平均(25%)に引き下げるには値上げが必要だ」と述べた。韓国のたばこ価格はOECD最低水準だ。

 意外というのは、「現在約44%の成人男性の喫煙率」というのである。そんなにあったかなあと思ったのである。
 関連ニュースを追ってみると、朝鮮日報になぜか一部文字化けしているような、このグラフがあった(参照)。

 見づらいが、棒グラフから直観的にタバコ価格の動向はわかるだろう。日米が同じくらい。欧州は高い。
 気になるのは、数値で示された喫煙率(男性)のほうだが、これだと韓国は49%。日本は34%。フランスの39%に近い。基本的に先進国での男性喫煙率は減っていることは理解できる。
 最近の喫煙率の状態はどうだったか、OECDの報告書で確認してみた(参照PDF
 韓国報道とさほど変わらない。グラフだとこんな感じだが、ちょっと見づらい。

 日本と韓国を含んだ分だけ拡大してみる。

 韓国の喫煙率が他国に比べて頭一つ突き抜けているというか、中国と似ているかというところ。先進国の仲間入りとしてはちょっとまずいかなという印象はある。
 このグラフをぼんやり見ていて、自然に日本に目が向くのだが、日本の喫煙というのはメキシコに似ているんだなと思った。日本は先進国のフリしているけど、性別の生活文化的なところではメキシコ的なのかもしれない。
 というところで韓国に目を戻すと、喫煙の男女差がすさまじい。韓国の徴兵制の影響もあるのだろう(その期間にタバコを覚える)が、それにしても、男女差がある。
 もちろん日本も喫煙で男女差があり、男性が多い。
 ところが、これ他国、主に先進国で見ると、女性の喫煙が多いことに気がつく。
 禁煙政策的な実施をすると、女性の喫煙比率が相対的に上がるということではないだろうか?
 日本はよく女性差別の国家だと言われているが、その場合、男性権力の文化制度として言及されることが多いが、日韓の男性喫煙率の高さと、他国の女性喫煙率の高さを比較して見ると、この女性蔑視的な文化制度と喫煙率にはなにか関係があるのだろうかと、しばし考え込んでしまった。わからないなあ。
 
 

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コメント

喫煙率の男女差についてですが、単純に労働者率と連動しているのではないでしょうか。飲酒も同じ。
吸わなきゃやってられないよ という。

投稿: hogef | 2014.09.15 13:22

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