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2014.09.13

[書評]アルケミスト―夢を旅した少年 (パウロ・コエーリョ)

 なんか子ども向けのわくわくするような冒険譚みたいなものが読みたいなと思ったら「前兆」があったので『アルケミスト―夢を旅した少年』を読んだ。


羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。

 そういうお話。よく売れた。
cover
アルケミスト
夢を旅した少年
 現在では文庫本になっているんだな。しかも角川文庫かあ。実は、これが話題のころ勧められたものの、なんとなく読むのを逸していたのだった。
 訳者を見ると山川紘矢・山川亜希子。この訳書が出るまえだったけど、とあるホームパーティでお目にかかったことがある。まあ、そのぉ……パーティのみなさんはチャネリングとかで盛り上がっていましたね。あの時代。
 この『アルケミスト』の翻訳だが、見たら、原典のポルトガル語からではなく、英訳本からの重訳だった。ちょっと落胆した。それでも英語版も原作者の確認が入っているようだし、そう違うものでもないんだろう。
 読んでみて、どうだったか。
 普通に面白かった。もっと、わくわくするような冒険がよかったけどなあと思った。
 人形劇にすると面白いかなとも思った。映画でもいいだろう。ちょっと探してみると、映画っぽい映像があるが、実際に映画化されたのだろうか。映画あったら見てみたい。


 書籍のほうは文字の媒体ということもあって、『かもめのジョナサン』じゃないけど、いちいち神秘的な教訓に満ちていて、うざいなあとも思った。
 ちなみに、カモメ本だけど、完全版(参照)が最近、出たのかあ。五木寛之も長生きしてよかったなあ、というか石原慎太郎と同年(そして同じ生年月日)だから、まだまだお元気。ちなみのちなみ、この本は大学のとき翻訳の授業の課題でネイティブとグループで読んで、えええ?米人はそう読むわけと驚いたことがある。

cover
シッダールタ
(新潮文庫)
 『アルケミスト』に対しては、ちょっとうざいと思いつつも、しかし、とも思った。
 私が高校生の時に読んでえらく感動したヘッセの『シッダールタ』(参照)もそんなものかなと思い出したのである。こっちのほうは、ちょっとエロいとこもあっていいかなと。
 いずれにせよ、この『アルケミスト』、中学生とか高校生だとなんかラインマーカー引いて覚えたくなるような、知恵がいろいろ書いてはある。
 心についての話なんかはとくに気に入った。

「それなら、なぜ、僕の心に耳を傾けなければならないのですか?」
「なぜならば、心を黙らせることはできないからだ。たとえおまえが心の言うことを聞かなかった振りをしても、それはおまえの中にいて、おまえが人生や世界をどう考えているか、くり返し言い続けるものだ」
「たとえば、僕に反逆したとしても、聞かなくてはならないのですか?」
「反逆とは、思いがけずやって来るものだ。もしおまえが自分の心をよく知っていれば、心はお前に反逆することはできない。なぜならば、おまえは心の夢と望みを知り、それにどう対処すればいいか、知っているからだ。

 自分の心が自分に反逆することがある。それはあるものだなと思う。
 あれです、カスタネダっぽい印象もあり、実際、カスタネダのまんまの部分もありそうには思えた。ただ、じゃあ、そういう基調の本かというと、おそらくこの物語は創世記のヨセフ物語をベースに作成されているのだろう。べたでないにせよ。その意味では、ヨセフ物語的なものを現代風にアレンジするとこういうなるのかもしれない。
 物語中、自分的に一番感動したのは、これ。

 明日、おまえのらくだを売って、馬を買いなさい。らくだは裏切る動物だ。彼らは何千歩も歩いても疲れを見せない。そして突然ひざまずくと、死んでしまう。しかし、馬は少しずつ疲れていく。だからおまえはいつも、どれだけ歩かせてよいか。いつ馬が死ぬ時か、わかるのだ。

 ほんとかなあとも思う。しかし、人類とラクダのつながりは深いものだろうなと、改めて思ったのである。特に日本人だと、ラクダというのの感覚がよくわからないからなあ。ちなみに僕は乗ったことあるけど。
 『アルケミスト』、読むのを勧めるか。特に若い人に。というと、どうだろ。微妙な感じがした。悪いとも思わないので、気になったら読んでみるといいとは言える。そして人によってはとても感動的な本だろう。
 僕なんかがいかんのかなと思うけど、僕なんかだと、この物語の、批判というか否定的に見られている老いた人間の側になってしまったのか、どんなことがあっても不屈の精神で夢を貫く若者というのには、あまり肯定できない。
 ただ、思ったなあ、世界の多くの若者がこの本、読んで、まじで不屈の精神でいろんな夢を叶えてはいくんだろうな、とは。
 
 

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