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2014.09.08

核拡散防止条約(NPT)の終わり

 終わると思っていたものが終わるとき、まあ、予想の範囲だよね、ふーんというだけでなく、微妙な切なさを感じるというのは、失恋とかもそうだけど、いやあ、そういう話じゃないぞ。核拡散防止条約(NPT)の終わりを見て、ああ、終わったなあ、これでいいんか、世界、非核平和日本。と思ったのである。
 どういうことかというと、核拡散防止条約(NPT)非加盟のインドに対してオーストラリアがウラン輸出を承認してしまったということ。
 これ、やっちゃいけないことなんですよね。ただ、厳密に違反とまで言えるのか、違反とまでは言えないからやっちゃったのか、そのあたりはどうなんだろうかと少し思った。全体的に言うなら、米国が率先してNPTのルールを破ったあたりから、こうなることは予想は付いていた。
 報道でちょっと確認しておこう。NHK「NPT非加盟のインドに豪がウラン輸出へ」(参照)より。


NPT=核拡散防止条約に加盟していないインドに対して、オーストラリアが原子力発電のためのウランを輸出することで両国が合意し、5日、原子力協定を締結しました。
 インドを訪問したオーストラリアのアボット首相は5日、首都ニューデリーでモディ首相と会談し、オーストラリアからインドへのウランの輸出を可能にする原子力協定に合意しました。
 オーストラリア政府はインドがNPTに加盟していないことなどを理由にこれまでウランを輸出してきませんでしたが、3年前に方針を転換しインドと交渉を進めていました。
 協定の締結後、モディ首相は「互いの信頼の証しであり、両国の協力関係は新たな段階に入った」と述べ、オーストラリアの決断を高く評価しました。
これに対して、アボット首相は「インドは、これまでも国際法を誠実に守ってきており、信頼している」と述べ、ウランが軍事利用されるおそれはないと強調しました。世界最大のウラン埋蔵量を誇るオーストラリアにとっては、産出量の増加で雇用を増やすとともにインドとの経済面や安全保障面での関係をさらに強化するねらいもあります。
 一方、インドは深刻な電力不足に直面しており、2020年までに現在20基ある原発を倍程度に増やす計画で、今回の合意で電力供給を拡大するとともに日本などほかの国との原子力協定の交渉にも弾みをつけたいとしています。

 NHKらしい書き方なのか、NPT違反なのか厳密にははっきりしない。そこは報道からはわからない。いずれにせよ「ウランが軍事利用されるおそれはないと強調しました」というのは、事実上、君も仲間だからね、ということだ。
 この仲間というのに日本も事実上入っているし、そのためのデモンストレーションがモディさんの訪日でもあった。
 というわけで、オーストラリアがイギリスの資本引き連れて最初にうんこ踏んでくれたから、日本も堂々とその上を、今回検討した原子力協定から、原発関連技術を輸出へと向かうことになる。
 それでいいのかというと、いやあ、これはよくないでしょ。
 どのくらいよくないかというと、与党公明党のご意見に耳を傾けてみようではありませぬか。公明党「核拡散防止条約 「核なき世界」実現の舞台に」(参照)より。

公明新聞:2014年8月12日(火)付
 公明党は6日、核兵器禁止条約の合意形成を訴えると同時に、日米安全保障の中で「核兵器のない世界に向けた新たな安全保障の在り方」を世界に発信する必要があるとの視点から提言を発表した。
 核兵器の違法化と、核兵器に依存しない安全保障の確立は、核廃絶への二つの道である。二者択一ではなく、両方の努力があってこそ核廃絶への確かな展望が開ける。
 本来なら核拡散防止条約(NPT)がそうした議論の舞台となるべきである。しかし、核軍縮さえ十分に進めることができないNPTへの不信感も強い。
 それは、メキシコで2月に開かれた「第2回核兵器の非人道性会議」の議長総括にも表れていた。
 議長総括は、核兵器の違法化が「核兵器のない世界を実現するための道」とした上で、「法的拘束力のある文書を通して新たな国際基準と規範に到達する」と述べ、核兵器禁止条約をめざす決意を示した。
 NPTは米、英、仏、ロ、中5カ国に核保有を認める一方で、核軍縮の効果的措置に向けた条約交渉の義務を課した。しかし、いまだに実現しておらず、世界はいら立っている。会議に参加した外務省幹部は「NPTは生ぬるい。別のトラック(交渉の場)をつくろうという考えを想起させる内容だった」との感想を漏らしたほどだ。
 だからといって、核保有国抜きで「別のトラック」が行われ、核兵器禁止条約をまとめたとしても、「核のない世界」が実現するかどうかは不透明との意見は根強い。
 核廃絶が進まない最大の理由は、核兵器の存在によって平和と安全が守られると考える核抑止論の存在である。これを乗り越える必要があり、米国の拡大抑止(核の傘)に依存する日本にとっても重要な課題である。
 「核の目的は核攻撃の抑止に限定する」など「核の役割低減」が核廃絶への確かな一歩になるとの考え方は国際社会で有力になっている。
 来年開催されるNPT再検討会議を舞台に、核兵器禁止条約に向けた合意形成と、核抑止論の包囲網を固める安全保障論議が進展することを期待したい。

 全文引用する気はなかったのだけど、よくまとまっているので、削りにくい。
 まとまっているというのは、一貫した主張というより、特に後半の、これ、gdgdじゃね?という部分だ。混乱が簡素に表現されている。核兵器廃絶を願いながら米国の傘の下にいる現状をどうしたらいいかということだ。
 これ、世界が止まっていたら、それでよかった。
 しかし、今回のオーストラリアの動向を見ても、世界は止まっていなかった。
 過去の現実というリアリティがなくなってしまった現在、どういうふうに日本が核拡散防止条約(NPT)と取り組んでいくべきかは、大きな課題になったし、与党として公明党も重たいものを背負い込んだことになる。
 野党はというと、いろいろ。ただ日本の反核派の人の多くは、ざっくばらんに言えば、基本反米なんで、そもそも核拡散防止条約(NPT)すら意義を認めていないし、北朝鮮の核にはあまり反対を表明しないんですよね。中国の核についてもそう。だから、核廃絶とはいうものの、核拡散防止条約(NPT)が終わってしまったという問題についても、それほど関心もってないみたい。
 さて、どうしたものか。
cover
原発安全革命
古川和男
 ここで暢気なブロガーとしては、トリウムだよねと思うのである。
 妄想? いや、それほどでもない。トリウム原発の歴史は実は原発そのもの原点の1950年代からあるくらい古い。その後たまたま世界が冷戦とかでいろいろあってウランやプルトニウム志向になってしまったが、インドはその時代から、初志貫徹トリウム原発もいいんじゃねという研究は継続して、トリウム炉の試験段階にまで持ち上げてきた歴史がある(もちろんそれだけじゃないけど)。その背景には、インドが世界最大のトリウム埋蔵量を持つということもある。
 なので、日本の技術でそこに梃子入れして、核兵器利用のない原子力利用というのを日印で実現したらすばらしいと思う。
 もっとも、この話、ネットでするとすげー反発が来るのは想定済みなんで、これ以上は言わない。
 そもそも、日本がトリウム炉を推進する気が、トリウム原発も許せない反原発派とそこは同じご意見で、まるっきりやる気ない。
 期待といえば、ビルゲイツさんももう一杯水被るつもりで、トリウム炉研究の支援を進めてくれないか、くらい。
 やればいいのにと思うのですけどね。
 成功するかしないかいう以前に、日本って、核兵器じゃない原子力の平和利用を求めているんじゃんていうアピール費用でもいいと思うのだけど。
 
 

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