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2014.08.13

「エーデルワイス」という歌の秘密というか、僕は知らなかったなというか

 ピンズラー方式のドイツ語学習は第一段階を終えて第二段階に入ったらつまづいた。文法が理屈として理解できても、あの枠構造が感覚的にしっくりこない。
 ドイツ語の発音はフランス語や中国語にくらべればはるかに楽なのにナチュラルスピードの会話になると聞き取りにくい。英国英語と似た感じがして混乱するからだろうか。まあ、いいけど。
 で、つまづいて、このところ、ようやく、少し進み出した。というか、枠構造に馴染んできた。
 思ったのだけど、気楽にドイツ語を学ぶつもりでいたが、やっぱ、ある程度没頭というか、語学というのはモーティヴェーションを上げないと難しいんじゃないか。
 そうこうして関連知識とかに関心をもっていくうち、そうだ、「エーデルワイス」だと思ったのである。
 「エーデルワイス」。歌のほうである。「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくるあの歌である。
 あれ、元歌はドイツ語じゃないの。ドイツ語で歌えたらいいんじゃないのと、"Edelweiß"で検索したら、すぐにドイツ語の歌が見つかった。

 ああ、なんかドイツ語の歌っていいじゃないかと聞いていたのだが、微妙な違和感が湧く。まあ、湧くよな。この女性、たぶんオーストリア人かドイツ人なんだろうと思うけど、このめいっぱいツーリスティックな感じなのは、ちょっと違和感がある。まあ、ある、と。
 お目当ての詩のほうだが、これに付いている。


Edelweiß, Edelweiß,
Du grüßt mich jeden Morgen,
Seh ich dich, Freue ich mich,
Und vergess meine Sorgen

 あれ?
 "Du grüßt mich jeden Morgen, "は、"You greet me every morning."でいいよな。
 で、"Seh ich dich, Freue ich mich, "は、"I see you, I please myself"かな。あれ?
 "Und vergess meine Sorgen."は、"And forget my worries."かな。あれ?
 あれ? というのは、英語と違うなということ。英語はこう。

Edelweiss, Edelweiss
Every morning you greet me
Small and white,
clean and bright
You look happy to meet me.

 なんで英訳が違うんだ? (後述するけど、その疑問自体が違っていた。)
 もうちょっとドイツ語を見ていく。縮約が多いのと私のドイツ語学習ではまだよくわからないので適当だけど。

Schmücke die Heimat
nach Schnee und Eis,
Blüh'n soll'n deine Sterne.
Edelweiß, Edelweiß,
Ach, ich hab' dich so gerne.

(I decorate the homeland
on snow and ice
Your stars will bloom.
Edelweiss, Edelweiss.
Oh, I like you so happily.)


 英語の歌だとご存じのとおり、こう。

Blossom of snow
may you bloom and grow,
Bloom and grow forever.
Edelweiss, Edelweiss
Bless my homeland forever.

 うーむ、この違いはなんだろ。と、当然思う。
 そして、英語の"Bless my homeland forever."という、なんだか、愛国心みたいのが強調されているのは、「サウンド・オブ・ミュージック」という映画にあわせた演出だろうなと。そして、ドイツ語の歌がもっと長いから、これはドイツ語の歌があって、米国語訳では愛国的に作り直したのだろうとか……思う。
 がっちょーん。
 どうも逆らしい。
 このを歌の詩を書いたのは、米国人オスカー・ハマースタイン2世。しかも、これが絶筆(参照)。つまり、「サウンド・オブ・ミュージック」のために作った歌だから、英語の歌詞がオリジナル。調べていくと、メロディも米国人リチャード・ロジャース。しかも二人ともユダヤ系ですね。なんだか、すごく納得。
 じゃあ、あのドイツ語歌詞の歌、あれはなんなの?
 ということだが、当然、メロディーに併せて、ドイツ人が付けたということでしょう。「レリゴー」が「ありのままでぇ」となるのと同じ。ただ、どうも独訳者は不明っぽい。
 さらに調べてみると、About.comには(参照)、この歌はオーストリアではあまり知られていないとあり、どうも米人観光客向けに盛り上げる歌らしい。というのがどうも最初の動画の意味っぽい。
 ということに関連して、英語の"Bless my homeland forever."も、これがオリジナルなわけで、どうやらこのせいで米国人には、勝手にこの歌がオーストリアの国歌だと思う人も多いらしい。たしかに、映画だとそんな雰囲気。国歌ではなくても、国歌に準じる愛唱歌かも思いがちだけど、そうですらない。
 いやあ、なんかすごい複雑な気分なんですけど。
 ちなみにオーストリアの国歌はこれ。いちおうモーツアルト作と言われている。

 これが制定されたのは1946年だから、その前、「サウンド・オブ・ミュージック」の物語の時代となると、あれです。「神よ、皇帝フランツを守り給え」。

 メロディはドイツ国歌と同じ、まあ、聞けばわかる。
 ご存じの通り、現在のドイツでは三番だけが公式。
 ネットを見てたら、一番と二番を付けたのがあった。三番で画面の国旗が変わるのがちょっと洒落ている。

 いずれにせよ、これらの歌は米国的な「サウンド・オブ・ミュージック」では、使えないだろうなと実感する。
 このあたりの文化変化というのは、どことなく日本も他人事じゃないよね感もある。
 
 

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コメント

そもそもミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」そのものがアメリカ発ですから。その元のトラップ・ファミリー物語も彼らがアメリカへ亡命しファミリー楽団として活躍してから映画化されたとか。
約30年前にザルツブルグに行きましたが、映画のロケ地めぐりのツアーバスがあったくらいで歌は全く巷には流れてませんでしたね。

投稿: じなし293 | 2014.08.13 21:27

はじめまして。

>この歌はオーストリアではあまり知られていないとあり

これは意外でした。「サウンド・オヴ・ミュージック」は世界中で大ヒットしたのかと思ってましたけれども、まあたしかに古い映画で私も子供の頃テレビで見ましたね。ドレミの歌も、あの映画だったですよね。
ただ、ストーリーが基本反ナチじゃなかったでしたか。あの家族が亡命するのはナチスのせいだったから。トラップ一家の話は高校の時の英語の教科書にも載っていましたね、アンネの日記といっしょに。

投稿: nessko | 2014.08.13 23:41

ドイツ語はかじった程度でしたが、友人に専門のやつがいて、プロシャがドイツ統一するまではイタリア同様小さい国に別れていたので方言がすごい、と言ってました。
ザルツブルグ周辺でローカル電車に乗ったとき、現地の中年の御婦人方のしゃべりがとてものんびりしていて、相槌?で「ヨー、ヨー」と言ってたのを覚えてます。挨拶もほとんど「グリュースコット」でしたね。

ミュージカルと言えば、もともとはドイツ系アメリカ人が始めたという説もあります。オペレッタからの発展?とか。
マック・ザ・ナイフという曲があります。フランク・シナトラも歌ってたかもですが、昔ラジオでドイツ語版を聞いたときは同じ歌とは思えないほどゴツゴツした歌い方でした。

投稿: じなし293 | 2014.08.14 02:02

関連してこのようなご指摘を頂いたことがあります。
http://suisse.exblog.jp/956852/

投稿: no hay banda | 2014.08.14 23:20

wikiペディアのサウンドオブミュージックの豆知識が面白いね。ドイツ人にとって、日本人が見るハリウッドの忍者芸者映画みたいなものでしょ。

日本の政治の場合、そういう文化的誤解をそのまま暴走させてるのがなんとも。というか、誤解をしたままにして誤魔化すところがあって。外国は、カンカンになるか、あきれるかのどちらかしかない。で、都合が悪くなると、蓋をしたり、気分的に潰して満足する。とくに、ネットでは、潰すのが名誉なのか快楽なのか、どっかの市の政治家が変だと、徹底して潰すのだけど、それで、その政治家がいなくなったとしても、そこの市民は幸せになるわけじゃない。アメリカも徹底的にイラクを潰したけど、その後始末も下手糞でもやり続けてるでしょ。日本のネットの場合は、潰すだけ。なんかね、ヨソモノは潰すってのが根強くあって淋しいあるね。嫌いなやつとうまく共存できないために、大損すぎる。

投稿: | 2014.08.16 07:50

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