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2014.06.28

3日で覚えるドイツ語、そんなことが可能なのか実験してみた

 ブログにも書いてきたが、昨年から今年にかけて、1日平均で1時間くらいの語学学習を、フランス語を120日間、そして中国語を120日間、どちらも英語を通してピンズラー(Pimsleur)方式で学んだ。所定のコースを終えてみて、率直なところどちらもまだまだ初心者といったレベルだが、それなりに学んだかなという実感はあった。辞書を引きながらなら、それなりにいろいろ読んだり書いたりもできるようになった。発音にもそれほどは困難を覚えない。

cover
Learn German
with Paul Noble
(Collins Easy Learning)
 さて、ドイツ語。今回は、ポール・ノーブル(Paul Noble)の方法で学んでみた。
 「みた」と過去形で書いたのは、所定の講座を三日で終えたからだ。つまり、三日で覚えるドイツ語、である。そんなことが可能なのか?
 その前にポール・ノーブルのドイツ語コースの構成だが、約1時間のCDが12枚でできている。他にDVDも1枚あるがこの手法の宣伝といったもので語学にはさほど関係ない。76ページのほどの教本もついているが、CD内容の復習用になっていて、ピンズラー方式のフランス語の添付冊子のように、正書法で書かれた文章の読み方の教材ではない。
 全体で、ざっと12時間のレッスンになる。比較としてピンズラー方式の場合は、1日のレッスンはどれも30分で、各段階(フェーズ)は30日になっている。フランス語や中国語の場合は、第4段階まであり、最終的には日常会話に近い速度で内容もけっこう高度になる。中国語のフェーズ4では、深圳でソーラーパネルの商談をするといった内容にもなっていた。
 ポール・ノーブルのドイツ語コースを開始する前は、ピンズラー方式の時間で換算するとどうか考えていた。このポール・ノーブルの講座は30分で見ると、ピンズラーの24回分に相当するかなと思った。そこで、だいたいフェーズ1に相当するのではないかとも思った。結論からいうと、かなり違う。
 また、ピンズラー方式の場合は、毎日30分きちんとこなしていけばあるレベルに達するようにできている。実感すると、フェーズ1でも15日を過ぎるとけっこうきつく感じられる。この方式を開発したピンズラー博士は心理学者でもあり、一般的な人間の記憶力を想定してできているのだが、逆にいればそれなりにきちんと向き合って単語や文法を記憶していかなくてはならない。
 ポール・ノーブルのこのコースでは、冒頭で、記憶を負担に思わないでください。リラックスして進めてください。あなたが記憶できるかは教えている私の責任です、というかなりすごいことを言っている。ほんまかいなという感じで始めた。まったく未知の言語を学ぶのに、そんなことが可能なのか?
 これが驚くべきことに、ほぼ可能だったと言ってよい。ポール・ノーブルに心理学の知見があるのかわからないが、かなり独自の手法を使って記憶を定着させようとしている。
 さらに初めてすぐにわかったのだが、英語を通してドイツ語を学んでいるのだけど、最初から「グリムの法則」を効果的に使っている。もちろん、グリムの法則という名前は出て来ない。この法則については、ウィキペディアかなんかに解説があるだろうとざっとみると、ちょっこと解説があった。
 どういうことかというと、英語からドイツ語を魔法のように作り出してしまうのである。もともと、アングロ・サクソン語はドイツ語の一種なので、英語のそういう部分を上手に抜き出して、グリムの法則を適用していくと、英語が魔法のようにそのままドイツ語に変わっていく。
 もちろん、このことはドイツ語学習者はある程度知っていることだが、これがコース全体に適応されているので、ほとんど新規に覚える単語がない。しかも、ポール・ノーブルもピンズラーのようにオーラルなんで、音声から教えるから、音に意識すると、グリムの法則が直観的にわかりやすい。英語の"do"からドイツ語の"tun"を引き出したときは、おもわず、あっ!と驚いた。そんなことわかっている人にはわかっているのだろうが。ほかに、「ああ、やられた」感があったのは、"yesterday"から"gestern"を導いたところ。
 こうした手法は、ミシェル・トーマスが使っていたのを知っていたので、その影響だろうとすぐにわかった。実際、ポール・ノーブルは、自身がピンズラーとミシェル・トーマスの双方からの影響を受けていることを述べている。
 いずれにせよ、こうした独自の工夫のおかげで、ほとんど記憶の負担がない。逆に言えば、それだけ単語が少ないので、コース終了後のレベルは高いとは言えない。ピンズラーは言語の学習でもっとも難しいのは単語だとし、そこに配慮してコースが作られているが、ポール・ノーブルは、文法というものを重視し、初学者のために作り替えている。つまり、それがコースの基本コンセプトになっている。なにか。
 ポール・ノーブルは、英語話者がドイツ語を学習するときに、もっとも重要な文法部分の直観を与えることだ。それ以外の文法面はほとんど説明していないし、英語の能力でカバーされると見ているようだ。
 そういうことなのでコースは実際には、人称代名詞と動詞の活用、時制の基本、そして、名詞の性と格変化だけにしぼられている。しかも難しい内容には立ち入らず、本質がわかるように説明している。そのあたりは、芸術的といえるほど見事な説明だった。
 ポール・ノーブルのこのコースでは、学習一回にどの程度の分量を進めたらよいかについて規定はない。ピンズラー方式のような時間割的な指針はない。内容は10分以内のパーツで構成されているので、理解できなかったら前に戻ってくださいとだけある。
 逆に言えば、困難を感じなければ、どんどん進めてよいということで、久しぶりに寝るのも忘れてとまでいかないが、休息は入れたけど、基本ぶっ通しで全レッスンを進めてみた。三日で無理なく可能だった。だいたい、三日で終わると思う。正確にいうと、最後の1時間分は復習なので、明日か明後日にやるつもりでいる。少し忘れたから復習するほうがたぶん、学習効果が高いだろうから。
 これでドイツ語が習得できた感はないが、あとはしこしこDuolingoとか、あるいはNHKの教材を使えば、ある程度の段階のドイツ語は習得できるだろうなという確実感はもった。
 発音については、教材では、ネイティブの比較的若い女性を使っている。発音がかなり滑らかで、自分が思っていたドイツ語の音と随分違う印象をもった。特に、R音については、フランス語のR音に近くてよいようだ。あとシュワ音もわかった。発音の訓練はないが、12時間くらいぶっ通しで、やっているとそれなりにドイツ語の音声の感覚はつかめた。
 
 

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コメント

おお、次は、ハングルかな。ハングル誕生の秘話みたいなドラマでは、あのハングル文字を覚えてしまえば、どんどんしゃべれるらしいし、あの文字を学習するのも簡単らしい。それと、まったくハングルがしゃべれなかった在日の人が、ライブ放送でいっていたけど、あのハングル文字を覚えてしまえばいいともいっていたので、2つ証拠がそろったので、ほぼ、そうなんじゃないかと思う。ま、タイ語もおもしろうそうだけで。

投稿: | 2014.06.29 07:56

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