« [書評]舛添要一の6カ国語勉強法 - 体験に裏づけられた上達への近道(舛添要一) | トップページ | 日本国憲法にもあるコントロール(control)という言葉の意味合い »

2014.02.04

[書評]世の中への扉 よくわかる政治(舛添要一)

 舛添要一さんが近年、政治についてどう考えているのかと思って、いくつか著作を読んでみた。ネットではいろいろ彼について反原発派からネガコメが飛び交っているので、『舛添のどうなる日本?どうする日本!―国民で考えるエネルギー問題』(参照)という本も読んでみた。2001年の本である。どうだったか。
 普通。エネルギー政策について関心ある人なら普通に思うことが普通にまとまっているだけだった。つまり、私が読んだ限りでは特に原発推進派ということではかった。地球環境に配慮しつつ先進国のエネルギーミックス論から日本はこの時点で原発で三分の一のベース電源を作っているという事実を基本的に了解しているというもので、ドイツの例なども引き、反原発であれば、国民にそのコストの了解があればよいだろうとも述べていた。
 考えてみたら、舛添さんにまとまった反原発な発言があったら、すぐにでもネガコメの格好の餌にされてただろう。
 あと、しいて言うと2001年はそうだったけど、2014年の今年から見ると、さすがにこのエネルギー論は古い。そのあたりを現在の舛添さんがどう考えているかは、それとは別に関心はもった。というか、基本、脱原発と言っているみたいだが、その内実は段階的に自然エネルギーの比率を増していくということなのだろう。

cover
世の中への扉
よくわかる政治
 でだ、『世の中への扉 よくわかる政治』という本を見つけた。
 これ、子供向けの本でした。舛添さんが、子供にどう日本の政治を語るのだろうかと思って読んでみた。まあ、凡庸なことが書いてあるんだろうなあ、子供向けだしと思ったら、ちょっと、びっくりこいた。
 そのまえに時代を確認しておきたい。2010年8月23日に刊行された本である。鳩山由紀夫内閣が2009年9月16日から2010年6月8日。それから、菅直人第1次改造内閣が2010年9月17日から2011年。つまり、鳩山さんが降りて、菅さんが立つまでのあの奇妙な空白の時期に出た本であり、基本、鳩山時代に書かれた本である。
 びっくりこいたのは、彼が日本の政治で何が大切としているである。第六章で「今、知っておきたい八つの問題」として順序付けられている。
 一番目は、「一、政治とお金――お金のかからない政治を目指して」ということで、ありがちといえばありがち。ちょうど鳩山さんが政治献金問題ですったもんだしていた時期でもあったし。
 びっくりこいたのは二番目である。
 「二、景気をよくする――デフレよりもインフレ」。そう、アベノミクスをこの時点で先駆的に取り上げていたのだった。しかも、これを子供向けの本に書いていたのだった。僕はびっくりしましたよ。やるなあ、舛添さん。

 ヨーロッパなどでは、インフレターゲットとよばれる政策を行ってデフレをふせぐことに成功しています。これは、一年に二パーセント前後のゆるやかなインフレを起こして経済の安定成長をはかるものです。日本も一刻も早くインフレターゲットを取り入れて、デフレをとめる必要があると私は考えています。

 そう書いてある。子ども向けに。
 舛添さんが、インタゲを支持していたのは知っていたけど、子供向けの本にこんなにきちんと書いているとまでは思わなかった。大人ですら、理解できずに、変なこと言っている人がいまだにいるというのに。
 ついでなんで三番目だが、「少子高齢化のゆくえ――子どもを育てやすい社会に」としている。

 民主党政権は、二〇〇九年の衆議院選挙のマニフェストの目玉に子ども手当を出すことをかかげました。子どもひとりにつき月額二万六千円のお金をくばるという政策です(当初言っていた二〇一一年からの満額支給は断念されました)。
 私は厚生労働大臣として、保育所を増やすことに取り組んできました。なぜ子どもの数が減ってきたか調べると、子育てが大変であること、教育費がかかりすぎること、家がせまくて子どもを育てられないことなどが理由に挙げられています。(後略)

 関連して。

 大臣をやっていたときも、帰れる日はなるべく早く家に帰り、子どもといっしょにご飯を食べたりお風呂に入ったりしました。
 というのも、私は厚生労働大臣として「ワーク・オブ・バランス」という新しい生き方をしようとみんなによびかけていたからです。これは、仕事(ワーク)と家庭生活(ライフ)をバランスよく両立しようというもので、日本人の働きすぎをあらため、女性が社会に出やすくする政策です。ところが、厚生労働省の仕事はあまりにも多くて、職員がなかなか家に帰れません。そこで、私は職員にいつも口ぐせのように「なるべく早く家に帰るように、できたら、家族といっしょにご飯をたべなさい」「三度のメシをしっかり食べ、土日はしっかり休みなさい」と言ってきました。大臣が役所にいると、職員も帰りづらいので、私自身も帰れる日はなるべく早く帰りました。

 で、「四、失業する人を減らすために」が続く。

 なぜ失業者がたくさん出ているかというと、経済がよくないからです。日本のもっとも大きな問題は、十年以上にわたって不景気の状況が続いていることです。経済を早くよくしてもらいたいという国民の願いから政権交代も起こりましたが、民主党政権になって現状は今までよりももっと悪くなってしまっています。


 失業を減らすためには日本の経済を立てなおすしか方法はありません。国は、経済成長させるための政策を行っていく必要があるのです。

 ついでなんで以下、項目だけ挙げると、「五、観光問題は三つのEのバランス」「六、沖縄の米軍基地と日米関係」「七、教育は百年の大計」「八、福祉を豊にすれば働ける人も増えて景気がよくなる」。
 大半は同意できる。もちろん、ちょっと違うかなと思うところや、逃げちゃったなと思えるところもある。
 それにしても、これだけの見識を子どもにわかる言葉で語れる政治家だったのか、舛添さんは、という思いは新たにした。
 ついでにいうと、僕が今度の都知事選挙で舛添さんを支持しているのは、ポリタスにも寄稿したけど(参照)、示威的な投票ではなく現実的な投票を好むからで、それほど積極的に舛添さんを支持しているわけではない。76歳の爺さんはやめてくれよと思うくらいだ。消去法だね。
 だが、この本読んでみて、もうちょっと積極的に舛添さんを支持したい気持ちはなった。たとえば、政治家に何が一番必要だろうか?

 政治家にいちばん必要なのは、読書です。日本という船の舵をとるのが政治家の仕事ですが、私たちが経験できることは限られています。どちらの方向に進むか判断する材料を増やすには、やっぱり本を読むことが欠かせません。ぜひ、古今東西の歴史と古典の本をたくさん読んでください。

 また。

 そして、英語はもちろん、大学に入ってからでも、二つめ、三つめの言語を勉強してほしいのです。完璧である必要はありませんし、ネイティブのような発音ができなくても気にすることはありません。お互いの考えを伝えあうことができればよいのです。
 語学を勉強することは新しい世界への扉を開くことです。

 このあたりは、けっこう舛添さんの持論なわけね。
 しかし、率直にいうと、舛添さんも65歳。
 私は政治家も社会の一般労働者と同じように働くべきだと考えるので、政治家を引退されたほうがよいと思う。都知事選にも出ないほうがよかったんじゃないのとは思う。
 
 

|

« [書評]舛添要一の6カ国語勉強法 - 体験に裏づけられた上達への近道(舛添要一) | トップページ | 日本国憲法にもあるコントロール(control)という言葉の意味合い »

「書評」カテゴリの記事

コメント

ゴーストライターが優秀だった!
以上!

てオチだったら嫌だな。

投稿: さと? | 2014.02.04 19:41

いつも興味深く拝見しております。

なるべく早く言えに帰るように、
→なるべく早く家に帰るように、

五、感興問題は三つのE
→五、観光問題は三つのE

投稿: mmm | 2014.02.11 15:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/657/59070580

この記事へのトラックバック一覧です: [書評]世の中への扉 よくわかる政治(舛添要一):

« [書評]舛添要一の6カ国語勉強法 - 体験に裏づけられた上達への近道(舛添要一) | トップページ | 日本国憲法にもあるコントロール(control)という言葉の意味合い »