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2013.03.23

花咲く小道で

 世の中には見てはならないものがある。例えば……おっと、それを語っていいのだろうか。語る分にはかまわないか。語ることと見ることは違うからな。例えば、花見客のおっさんが夜陰で……おっと、見るのはいけないが書くのはいいともいえない。いやいや、例なんかどうでもいいといえばいいんだ。とにかく世の中見てはいけないものがあると僕が、今日夕暮れの桜の小道を歩いていて思ったのには、ちょっとしたわけがある。
 一通でもないのに自動車がすれ違うのはちょっと無理だろうという、歩道もないような小道を歩いていると、なにやら向こうから、接近するのだった。あれがピンク色だったら、きっとカービーだと思っただろう。でも緑の色だった。緑の玉のような、それでも人間だったのだけど、ようするにけっこう太った感じの人だった。太っていようが本人の自由だと思うし、僕は目が悪いんで、より接近して見たら、それほど太っている人でもなかったのだけど、同時に、その人が女性だということに気がついた。その気づきというのか、ああ、いけない、見、見ちゃったと思ったのだった。
 見てはいけないものを見ちゃったんじゃないか、僕は。とっさに喉にくぅと詰まる感じがあった。で、見たもの。それは、何かって。簡単にいうと、おっぱいだった。乳房というのか、それも特大の乳だった。いや、もちろん、乳房がそのまま露出していたというのじゃない。緑のセーターのようなものに覆われてはいた。
 巨乳とあれを呼んでよいのだろうか。ちょっと違うような気がする。光景を思い出すたびに、モグラ叩きゲームのように頭をこづかれているような感じもするけど、なんというのだろう、あれはふたつ、大きな乳がぶら下がっているという感じだった。こう言うと、別にそれほど、どうっていうことないじゃないか、という感じにもなる。お相撲さんだってそんな感じだよ、とか。
 ちょっと違う。それは、明らかにブラをしてない感じだったのだ。とても馥郁と豊満で豊潤な何かが、雨に濡れた新緑の色のセーターの下に、そのままアジアの大自然のように広がっている、という感じだった。それは、もう、生の乳、百パーセントという圧倒的な存在感で僕を打ちのめした。それは地球の重力の本来的な力のありかたのように、ぶぶぶぶらーんと揺れていた。見ちゃいけなかったのにと愕然と思ったけど、遅かった。僕の目は数秒だったけど、ロックインされていた。
 本当にブラをしていなかったのかどうかは、今となっては確かめようもない。そもそもそんなこと確かめようものない。だけど、たぶん、ブラをしていなかった。なぜあれほどの巨乳がブラをしてなかったのだろうか。それから呆然と立ち尽くして、けっこう夕暮れの街は薄暗くなっていることに気がついて、それからまた桜の小道を歩きながら、巨大な豊満なあの乳のことを思っていたのだった。
 
 

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2013.03.21

シノドス・インタビュー on 『考える生き方』(finalvent著)

 アカデミックなオピニオン・ブログであるシノドス・ジャーナルに、先日したfinalvent著『考える生き方』(参照)の関連でしたインタビューのまとめが掲載されました(参照)。

 こうしたインタビューは初めてのことです。
 もうけっこう以前の話になりますが、『アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから』(参照)にもインタビュー形式で話が載っていますが、メールでの応答をまとめたもので、あのころは対面のインタビューも控えていました。
 すると匿名を強調するのではないか、あるいは本人はいるのかという疑問も聞くようになったので、一度だけ、本人は普通にいますよという意味もあり、finalvent名で例外的に2人のブロガーさんと会ったとこがあります。
 その程度でずっと過ごしていたのですが、大震災以降、なんとなく、finalventで出て来てもよいのではないかという考えになり、しかしそれでも特に何することもなかったのですが、この本とcakesの連載をきっかけにたまに、fianventで人に会うようにもなりました。
 インタビューの内容は、シノドスのサイトにまとめられているとおりなのですが、アカデミックベースのシノドスでもあり、また自分も学者を目指して挫折した人間なんで、本の内容より少し固い話になっています。
 インタビューでは、教養ということについて、「人生を豊かにする教養」と「知に到達する基礎力としての教養」を分けて話しています。
 この分け方は本を企画する一番の原点でした。いっそ、二分冊形式にしたらという企画の影響を引っ張っています。当初は、知のノウハウ的な話の本と、自分を例に市民の教養のありかたの本、という二面で考えていました。
 今回書かなかった本は、読書の仕方、情報の読み方、英語の学習の仕方といった、ハウツー的な面に特化したものです。しかし、いろいろ書いていく過程で、そういう、なんというのか、自分をあらかじめ識者っぽく立ててしまう本より、もっと率直に、いろいろ挫折して生きて来た自分の人生から、教養の関わりを書いたほうがよいのでないかとも考え、また実際の書く作業での挫折(ノウハウ本を書いていると嘘臭い感じがして行き詰まってしまったのですよ)などもあり、現在の本になり、教養に関しては、一章の話題にまとめました。
 このインタビューでは、二面が残り、インタビュアーが、経済学者の飯田泰之先生だったこともあり、経済学的な話題の例に偏っています。余談ですが、cakesのほうでもインタビューをする予定なのですが、そちらが実現できると、また違った方向になるかとは思います。
 よくあることですが、実際のインタビューの内容はこの倍くらいあって、せっかくのチャンスですから、私から飯田先生に経済学の基本的なことを伺うなどといった部分もありました。自分としてはけっこう勉強になったなという感じでした。経済学者の小野善康先生のリフレ観のお話なども興味深いところでした。
 また国際政治に関連して、ブッシュ政権下の外交を担ったコンドリーザ・ライスに関連して、「あの自伝、日本で出版されていないのですよ」と言ったところ、同席者から出てますよとインフォを貰うなどもあり、調べてみると、いわゆる自伝のほうは出てました。が、外交関連のほうはやはり出てないみたいです、などなど。
 知識のノウハウ的な内容の本は構想としては残ったままですが、書くかどうかわかりません。あと、思考法とも違うのですが、どのように考えるかという考えるための用語集みたいな本が書けたらいいかなと、最近は思っていますが、これも未定。あと今回の本の延長で、老年と死の問題などの本も、構想としては考えています。cakesの書評も書籍的にまとめるかもしれません。
 いや、これから本をいっぱい書こうという予告というわけではありません。なんとなく、書籍という枠組みで考えているというだけです。
 そこまで書籍に拘ることはないではありませんか、というのもあるかもしれませんが、今回の本で、やはり本の形式にしてよかったなというのはありますし、意外と伝えたいことを伝えたい人に届けるのは、書籍の形のほうがよいのではないかと思いを新たにした面があります。
 
 

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2013.03.19

キプロス金融危機の論点

 キプロスの財政危機は困った問題だなと思って見ていたが、予想もしていない速度で問題化した。あらためて世界の金融問題というのは難しいものだと思った。簡単に自分なりの整理をしておこう。
 その前に目先の問題である取り付け騒ぎに関連する預金の課税についての最近の状況だが、キプロス議会で否決になりそうだ。ロイター「キプロス議会、銀行課税案を否決の見通し」(参照)より。


[ニコシア 19日 ロイター] キプロスの議会は19日の採決で、預金への課税案を否決する可能性が高い。課税案が議会を通過しなければ、同国はデフォルト(債務不履行)と銀行セクターの崩壊へ近づく可能性がある。
 キプロス議会は1600GMT(日本時間20日午前1時)に開会する予定だが、どの政党も過半数を確保していない議会で、課税案が可決される可能性は低い。

 どのような帰結になるとしても、キプロスは小国なので、規模で見るかぎりは、世界全体に対しては大きな問題にはなりえない。
 ギリシャ系住民によるキプロス共和国の面積は9,250km2で四国の半分ほど、人口は86万人で世田谷区民ほどの小国家であり、国内総生産(GDP)はユーロ圏全体から見て0.2%である。債務残高も約170億ユーロ(約2兆円)で、5000億ユーロを超えるスペインやイタリアなどとは比較にならない。
 当面の問題だけ見れば、取り付け騒ぎを引き起こした信用の毀損で、他国も疑心暗鬼に捕らわれたことだ。
 問題の発端は、ブリュッセルの15日夕方開催された財務相会合にて、債務危機のキプロスに最大100億ユーロ(約1兆2500億円)の金融支援を実施する条件に、同国の銀行の預金者に対して、10万ユーロ超の預金からは9.9%、それ以下は6.75%の課徴金を1回に限って徴収するという異例の措置に踏み切るとしたところ、これで一気に取り付け騒ぎが起きたことだ(参照)。
 ユーロ圏では10万ユーロまでの預金は保証されるというのが制度理念だが、これが崩れたと見られれば、取り付けが起きても不思議ではない。
 事前に想像できなかったのかというと、構図としては想定されていた。日経に訳出された2月12日のフィナンシャルタイムズの記事「[FT]キプロス、支援計画で厳しい現実に直面」(参照)からもわかる。

 ユーロ圏で金融危機がなお進展していた2011年初め、あるドイツの金融当局者は最も懸念される今後の問題に思いを巡らせた。
■政治的に困難な支援計画
 やや意外なことに、その当局者は「キプロス」の名を挙げた。キプロスは小規模すぎてユーロ圏の安定を脅かすほどではないと考える向きもあるかもしれない。だが彼は「同国の銀行部門は肥大化しており、ギリシャ危機の影響が非常に大きい。解決すべき悪夢のような問題になり得る」と話した。
 キプロス島は南北に分断され、南部のキプロス共和国は欧州連合(EU)に加盟している。この島には依然としてドイツが目を光らせている。そして今、この悪夢のような問題が現実のものになっている。ユーロ圏財務相は、有効に機能し政治的に認められる支援計画をどのように策定するかという問題に取り組んでいる。支援計画は同国の債務返済能力を超えてはならず、同国をタックスヘイブン(租税回避地)として利用してきた外国人預金者に恩恵を与えることになってもいけないからだ。

 EU側の思惑としては、タックスヘイブンの対応もあった。ロシア・マネーにも関連している。

 銀行部門は特にロシアからの大規模な資金流入によりこの20年間で肥大化し、支援策は常に激しい政治的議論の的となっている。


 独与野党は、キプロスを通じた脱税やマネーロンダリングをやめさせる十分な保証がなければ支援策に賛成するつもりはないと表明している。


 ユーロ圏財務相は、問題を中期的に悪化させることなく、銀行部門をこれほどまでに肥大化させた無謀な行動を利することもないような支援策を策定しようと無駄な努力をしている。

 この時点ではしかし、今日の事態は想定されていなかった。

 ロシア国民であるかキプロス国民であるかを問わず、銀行の預金者に損失を負担させる案はキプロス政府には受け入れ難い。同国財務相は11日に「いかなる状況でも受け入れるつもりはない」と述べた。
 これに代わるのはシュタインブリュック氏が望む増税だろう。キプロスは「与えられる立場の者にえり好みは禁物」という厳しい現実を知りつつある。

 転機になったのは、その後、2月24日のキプロスの大統領選挙の決選投票で、親EU派大統領アナスタシアディス氏が、事前の予想に反して勝利したことだった。25日ロイター「キプロス大統領選の決選投票、保守系候補が反緊縮派候補破る」(参照)より。

 アナスタシアディス氏は支持者に対し、「欧州が味方に必要。われわれの約束を必ず維持し、達成する。キプロスは欧州に属している」とし、「キプロスに対する欧州内での信頼、国際的な信頼を取り戻すことを約束する」と述べた。
 金融市場はアナスタシアディス氏の勝利で、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による救済策の実施が迅速化すると期待している。

 これが裏目に出たかたちになったようにも見える。また、EU、特に、ドイツが結果論的に失敗したと批判できそうにも思える。が、問題はもう少し入り組んでいる。
 JBPressが翻訳した18日付けフィナンシャルタイムズ記事「ドイツで決められたキプロス預金者の運命」(参照)は、問題の焦点が銀行にあることがわかりやすい。

 ECBいわく、キプロス第2位の大手銀行ライキは、財務内容があまりにひどいため、もはや欧州中央銀行制度(ユーロシステム)の緊急流動性支援――経営が厳しいユーロ圏の銀行が日々の業務をこなすために必要とする低利の中央銀行融資――を受ける資格がないという。
 ECBの交渉責任者を務めるイェルク・アスムセン専務理事がもたらしたメッセージは、合意がまとまらなければ、ライキは破綻し、恐らくはキプロスの最大手銀行も道連れにすることになり、キプロス政府が同国の預金保険機構がカバーする口座の補償に300億ユーロの支払い義務を背負い込むことを意味した。
 キプロス政府には、そんなお金はなかった。そんなことになれば、キプロスに銀行口座を持つ人すべてが一文無しになる。

 国家の債務問題に見える問題に、銀行の債務問題が潜んでいた。
 ベイルイン(bail-in)の原則論(参照)からすれば、国家の債務と銀行の債務を切り離し、後者の銀行について、外資を含めてその債権者に損失を負わせるほうがよいだろう。
 今回の事態は取り付け騒ぎに目が向くが、銀行債権者への負担追求がキプロス政府にはできなかったということでもある。別の言い方をすれば、国家による補填の代替として、弱者を含めた預金者全体で肩代わりさせようとしたわけである。外資にも課税することで外資にも損失を与えるように見えながら、実際は、キプロスにおけるタックスヘイブンの仕組みを救済することになる。
 こうして見ると、今回の事態は取り付け騒ぎからユーロ危機再燃、あるいはドイツが無理難題をふっかけているといった枠組みではなく、EUのベイルイン規則が含む問題の顕在化という点で深刻なのではないか。
 
 

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