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2013.12.11

なんでフランスの本はフランス国外で読まれないのか?

 なんでフランスの本はフランス国外で読まれないのか? さて。普通、そんなものじゃないのとも思うが、フランスとしてみると、なぜかと思うことはあるのかもしれない。とはいえ、そもそもこのニュース、私が見たのは、BBCであった(参照)。読んでみると、それなりに、ふーんと思える話である。適当に話をつまんでみる。
 フランス作家は、近代国家ならどこでも有名なものである。ボルテール、デュマ、ユーゴ、フローベールやプルーストなど。文学が好きなら馴染み深い。これらは第二次世界大戦前。それどころか第一次世界大戦前。その後はどうかというと、ちょっとお寒い状態が続いていると言われると、まあ、そうかな。僕なんかの世代だと、サルトルやカミュなんかの小説は読んだものだったが。
 近年ではどうかというと、フランス作家の作品は、英語圏では比較的売れていないらしい。なぜなんだ?
 しかも、当のフランス人は英語圏などから翻訳される本を好んで読んでいるらしい。小説なんかだとざっと半分くらい英米圏の翻訳物。例えば何を? この記事には書いてないが、BBC記事中の写真に写っているのは「 フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」だったりする。あのなあ。
 「ミシェル・ウエルベック」は例外としてとあるが、どのくらいフランス人作家の本が英米圏で読まれているだろうか。2008年のノーベル文学受賞の「ジャン・マリー・ル・クレジオ」さえ英米圏ではあまり知られていないとのこと。日本ではというと、それなりに知っている人はいる。僕は知っているけどね。
 こうしたフランスの出版事情の理由の一つとして記事で上がっているのは、翻訳代理店がフランス作家を拾ってくれないということだ。そうかもしれない。ということで、今年のアカデミー・フランセーズの小説賞作家、クリストフ・オノデビオという人が上げられているのだが、英米圏からは無視されているらしい。ほかにMarie Darrieussecq、Nelly Alard、 Philippe Labroとかいう作家も記事に上げられているが、聞いたこともないなあ。フランスのベストセラーならまず間違いなく英米圏では翻訳されないともある。翻訳自体にコストがかかるというのもあるというのだが、どうなんだろうか。

cover
恋人はゴースト
 『恋人はゴースト』という米国映画の原作はフランス人作家マーク・レヴィで有名な部類だが、それでもあまり関心が持たれているとも言えないようだ。ちなみに、アマゾンで見たら、英訳本はいくつかあった。邦訳はわからなかった。なさそう。この映画は見ておきたいな。
 こうした状況にフランスの知識人で苛立つ人もいるらしい。特にいらっとさせるのは、もしかしたら、フランス作品自体、つまんないんじゃないのかという疑念だ。あるいは、おフランスなエリート感が逆に嫌われているのではないのか。フランスはアマゾンに抵抗して(参照)、書店文化などを保護しているせいもあって、そうしたのが逆に過保護に働いて文化的な魅力を弱めているのかもしれない。例えば、フランスの書籍は手にとってもカバーデザインはそっけない。ジャンルも英米圏ほど幅広くもない。ノンフィクションだと知的過ぎてしまう。文学でもヌーボー・ロマンとか文学過ぎて、等身大のフランス人の生活を反映していない。ただ、そのあたりは現在のフランス人作家も留意してはいるらしいということで記事は締められている。
 かえりみて日本はどうかというと、よく言われるように日本の作家の作品も海外では読まれないが、村上春樹のようなビッグネームはある。よしもとばななも読まれているような話題も耳にするがどうなんだろうか。一昔前なら、谷崎潤一郎とかは読まれていたようでもあった。よく知らない。
 日本の場合、フランスのこうした状況と違って、英米圏の作品が圧倒的ということはないように思う。SFやミステリーなんかだと状況は違うのかもしれないが、英米圏の作品で日本人で好まれるのは、ダン・ブラウンやジェフリー・アーチャーとかふと思うがどうなんだろ。ケン・フォレットの『大聖堂』などは作品としてはけっこう読まれたか。
 ざっと思うのは、日本というのは、文化的に大衆的に洗練されていて、自然に出版の世界でもガラパゴス化しちゃうというのはあるんだろう。その点、フランスなんかだと、自国の知識人の伝統と大衆のグローバル化の二極になってしまうのかもしれない。
 
 

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コメント

フランスは、平和だと、ぜんぜんダメって感じじゃないかな。フランス人がハングリーになれば、すごいのだろうけど、基本、個人の快楽の充実になってしまって。西のフランス、東の中国、どっちもどっちでしょ。フランスの人口がたしか、5千万で、韓国が五千万だったかな。この点でも似てるんじゃないかな。で、フランスは、高級ワインと高級チョコを外国に売って、それで、外国の最高の芸術を買えばいいってなってるんじゃないかな。フランスの財産には興味があるけど、今いるフランス人にはまったく興味がない、フランスに集まってくる外国人には興味があるけど、こちらも、なんか最近だと中国人と韓国人が多いみたいだし。日本からもいっているみたいだけど、すげーつらい思いするみたいだし。とくに、フランス女は、とても怖いとのこと。

関係ないけど、経口補水ダイエットって、流行らないかなぁ。なんか肌がつやつやしだしてきている。とくに年寄りはとくにそうだけど、乾いてしまっているんだと思う。女性も。甘いものはとくべつ乾くみたいだし。その点、修行僧のお粥は塩も入っていて、ある意味、経口補水だろうね。ひきこもりの人も、乾いているから、外出するとさらに乾くから外出できなくなるのかもね。ま、経口補水は売り上げが上がってるみたいだし、やっぱり日本人全体も乾いているのかも。あと、自分が乾いているかは飲んでみて、まずくなければ、乾いているとおもっていいんじゃないかな。経済後進国でも広がっているというし、今一番、興味深いな。

投稿: | 2013.12.11 22:46

フランスの思想家の本を読むことは読むけれど、フーコーとかドゥルーズとか、たしかにわかりにくいですね。特に言葉遣いが。

アメリカの思想家のほうが、視点がピンぼけしていないかもね。

投稿: enneagram | 2013.12.13 06:25

えーと図書館で仕事してます。しかし読む暇はなくて書架の配分バランス観点でしか追い付きません(苦笑)。
フランス文学はおそらく「娯楽小説」が少ないんだと思います。いや本国では出てるのかもしれませんが、日本の仏文翻訳家が心惹かれるものがないのかも。M.デュラスも50点くらいは買ってますけど、仏文て私小説っぽいのが多いんですかね。国際ブックフェアでもフランス文化省あたりが営業かけてる気配はあんまりしてません。河出書房新社と白水社も仏文は気がないのか……? 語学は商売になるけど文学売れないから、とか。

投稿: anego | 2013.12.17 23:36

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