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2013.12.09

[書評]20時間ですばやく何でも学ぶ方法(ジョン・コーフマン)

 人はふと、なにか新しいことを学びたいと思うものだ。外国語とかプログラムとか楽器とか。では、習得するまでにどのくらい時間がかかるだろうか。20時間でなんとかなるとしたら、ちょっといい話ではないだろうか。1日1時間やれば1か月以内でなんとかなるはずだ。

cover
The First 20 Hours
  この話は、先日の記事(参照)でも言及した「20時間ですばやく何でも学ぶ方法(ジョン・コーフマン)」(参照)にある。実際に読んでみた。まだ翻訳は出てないのではないかと思う。原題は「The First 20 Hours: How to Learn Anything ... Fast」である。
 TEDでも話題になっていた(参照)。

 TEDでは、その手法を4つくらいに絞っていたが、オリジナル本を読んでみると、10に分けていた。意訳を添えておく。


  1. やるなら好きなこと。Choose a lovable project.
  2. 一度に一つに集中。Focus your energy on one skill at a time.
  3. どこまでやるかを決めておく。Define your target performance level.
  4. スキルは分けて習得。Deconstruct the skill into subskills.
  5. 道具を用意する。Obtain critical tools.
  6. 邪魔を除く。Eliminate barriers to practice.
  7. 練習時間を取る。Make dedicated time for practice.
  8. 素早く自己評価する。Create fast feedback loops.
  9. 練習時間は時計を置いて計る。Practice by the clock in short bursts.
  10. たくさんいそいでやる。Emphasize quantity and speed.

 書籍では、この10の原則が第1章で詳しく説明されている。どれも、なるほどなと呻らさせるものはあった。
 興味深いのは、以上の原則は、技術(スキル)であって、学習(ラーニング)とは分けてそれには第2章で別の10の原則が上げられていた。
 カーフマンはこれらを「高速スキル獲得」として見ていた。メタ学習の原理になる。同じような原理を自分も考えていたので、いろいろ参考になる面もあったし、自分ならちょっとこう考えるかということもあった。
 実証的なものとはいえず、カーフマンの経験談が多い。が、それも面白い。とにかく20時間齧り付けという取り組みは重要なようだ。何かの習得を始めると心理的な障壁が大きいからだとしている。
 具体的にカーフマンがそのメソッドで習得したのは、ヨガ、プログラミング、タッチタイピング、囲碁、ウクレレ、ウインドサーフの6つのスキルで、それらが第4章以降、1章ずつ当てられて、本は終わる。
 率直に言うと、これらのスキルは私の場合、ウインドサーフ以外は習得しているので、説明がわかりやすい反面、多少退屈にも思えた。ウインドサーフは20代にほんの少しやったが洋上で風に流されるくらい終わった。
 面白かったのは、タッチタイピングである。私は普通にタッチタイピングができるし、米人でできない人もよく見かけたので、そんな話かなと思ったら、違った。では毎度のドヴォラークかなというとそうでもない。Colemak(参照)である。つまり、コーフマンは従来のQWERTYのタッチタイプからColemakに変えたわけである。最初はけっこうきつそうだが、習得後の話を読むと、ああ、これはちょっとうらやましいなと思った。私もタッチタイプは変更したいと思っていたのだ。が、ISOのキーボードですら国内で買うのが面倒になりやめた。いまでは、情けない、JISを使っている。そういえば最近親指シフトの話を聞かないが、どうなったのだろうか。
 全体として、本書の大半を占める個別のスキルの話にあまり魅力がないのと、原則論が主観で終わっているのが残念だった。個別スキルについては具体的な話だから、そこから一般原則への示唆はあるだろうが、私としては、任意の習得対象の教材をどのように構成するかというほうに関心がある。
cover
はじめての
インストラクショナルデザイン
 一般にはこの分野はインストラクショナルデザイン(instructional design)と呼ばれ、当初はスキナー派の考えが主流になって、ADDIEモデル――(Analysis)、設計(Design)、開発(Develop)、実施(Implement)、評価(Evaluate)――となっているのだが、モデルというには当たり前過ぎて実際には使い物にならないように思われる。古典的な「インストラクショナルデザインの原理」(参照)も読んだが自分にはあまり実践的ではなかった。
 こうしたメタ学習の理論だが、実際にはそういうメタ性というのは存在しないのかもしれないとも疑っている。本書でカーフマンも語学について言及しているが、語学なども独自の教授法があるが、決め手はなさそうに思える。
 
 

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コメント

最近の親指シフトの話題としては入力専用マシン・ポメラに搭載されたものがあります。

投稿: madi | 2013.12.09 23:07

とくに、アメリカは、こういう風な手段研究の本があって、よくもま、こんなくだらないことも考えるなぁってところまで書いてあるのが味噌。日本はない。あるとしたら、翻訳まで、で、売れた本だけか。

ただ、自分はどういう風に学習して、どこにオリジナリティがあるかを見つめなおす必要はあると思う。実に、独創的に教わっていなくて、同じ教授法の中で忍耐強く努力しただけの差しかないってことが多々のはず。ようは、身につけばどういう風でもいいのに。

プログラミングも、マイコンとか呼ばれ始めた頃の人の学習方法は聞くだけでも面白かった。今は、みんな同じだから、ネットで読んでいてもつまらない。ひどいと、ソースを整形しましょうってだけみたいな。

結局は、自分なりに遠回りでも、自分に身につけたものは強いね。日本は、なぜかしらないけど、近道ばかりやるから、結局は仇になる。

なんか、もと官房長官とかいう人が、いかに情報がもれているかとか嘆いたらしいけど、さて、法律違反で逮捕されたのかしら、全部とか。秘密を守るスキルを身に付けるための苦労苦心があって法律になっているなら、鉄壁だろうとは思うけどね。

投稿: | 2013.12.10 09:39

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