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2013.10.09

[書評]魔法びんでゆでるだけ おいしい豆のおかず(牛尾理恵)

 豆を食事に取り入れたいと日頃から思っている。理由は、というと、たんぱく質摂取にできるだけ肉食は避けたいなあという心情もあるが、豆は上手に料理するとおいしいからというのもある。
 若い頃、一時期マクロバイオティックスをやっていて、その豆料理などもよく作った。そこでひよこ豆(ガルバンゾー )の使い方も覚えた。
 で、問題は、というか、問題でもないけど、豆の下ごしらえに手間がかかることだ。豆にもいろいろあるが、たいていは乾物なので、長時間かけて水で戻して、しかも長時間煮る。手がかかる。

cover
魔法びんでゆでるだけ
おいしい豆のおかず
失敗知らず・手間いらず
体にいい毎日の
おかずと作りおきのおかず
 話がいきなりずっこけるが、近年、豆を食べるのに手のかからない方法も増えた。缶詰やパックなどで茹で済みの豆が購入しやすくなったことだ。あと、冷凍品。なかでもグリンピースの冷凍品がけっこうおいしい。カッテージパイを作るとき、ポテトだけだと重たいなあと常々思っていたが、以前英国人仕込みのを食べたら、どっさりグリンピースが付いていて、これはいいと思って、以降、カッテージパイには冷凍グリンピースをどっさり付けている。値段も手頃。さらに話がずれるが、最近の冷凍食品ってとてもおいしい。
 とはいえ、基本は乾物の豆だろ。ということで、なんとか簡易にならないものかというので、この本、『魔法びんでゆでるだけ おいしい豆のおかず(牛尾理恵)』(参照)に手を出した。なんか簡単にできそうである。
 正直に言うと、ちょっと違うのだ。
 実は簡易な魔法瓶で豆を茹でるということは前から知っていた。なのに実践しなかった。理由は二つ。煮え具合の調節が難しいことと、豆には毒があることが多いからだ。
 この本でも、特に、豆の毒性について気になった。豆は基本、毒性があると考えてよい。ジャガイモなどのでんぷんも毒性と隣り合わせで、人類の農業というのは、けっこう植物の毒性と戦いでもあった。
 豆の毒性でなかでも気になるのは、インゲン豆の系統。以前、ヘンテコな健康番組のダイエット特集で、白インゲン豆を炒って食うという話があって、社会問題になったことがあった。厚労省から「白インゲン豆の摂取による健康被害事例について」(参照)というのも出た。
 そこでも書いてあるが「インゲン豆は通常の調理法(水に十分浸してから、沸騰状態で柔らかくなるまで十分に煮る)を行えば、食品安全上全く問題はない」ということで、伝統的な調理法なら、毒性の問題はない。
 問題は、魔法瓶でどうかなということだ。
 考えてもわかるように、魔法瓶だと、初期温度が沸騰状態でもあとはだんだん下がるだけなので、その下がり具合と毒性の消去がどうなっているのか、が問題なのだ。
 そこで、この本、どうか?
 読み落としがあるかもしれないが、少なくとも目立った部分に豆の毒性についての注意書きはなかった。しいていうと、保温性能が「2時間後、80度以上のもの」、保温効率が「1時間後、86度以上」とある。これで毒性が消去できるのか?
 先の厚労省の文書には「インゲン豆のレクチンは75℃での加熱では毒性が残るものの、沸騰状態で5~10分の加熱で壊れた等の報告があります。」とあり、同書の基準と対応の判断が難しい。
 困ったなと思っていた。どっかに情報はないかと探していると、豆類協会の「豆の基本的調理法に関する諸説を検証(その2)」(参照)に魔法瓶で豆を茹でる場合の毒性の研究が掲載されていた。結論から言うと、同研究での実験では、保熱性のよい魔法瓶で沸騰後3時間経過すると、毒性は「特段の問題はない」となるらしい。
 注意したいのは、この結論は、この研究の結果であって、総合的な指針とはならないことだ。実験に使った魔法瓶の状況が、この本の状況と完全に一致しているとも断言できない。
 でも、概ね、本書の指示どおりに使えば問題はなさそうだなという印象はもった。なかでも、この本の指針で面白いなと思ったのは、豆を入れて魔法瓶に入れるというのではなく、豆を最初沸騰した熱湯で洗う点だ。これで豆の温度が上がる。
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AL Colle
スロークッカー・タイマー付
煮込み名人 ASC-T22 ホワイト
 私としては実は、豆を茹でるのに魔法瓶は使わない。スロークッカーを使うのだが、それでも豆の毒性が消えるか不安だったので、白インゲン豆や同系の金時豆を使うときは、水でふやかして10分沸騰させてから使っていた。が、以上の経緯をみると、どうもそのままスロークッカーに入れて、6時間もすれば問題なさそうだなと思い、やってみると、まあ、問題ないです。もっとも、自分の使っているスロークッカーはAL Colle(参照)。なお、このスロークッカーベースの「スロークッカーでつくるはじめてレシピ」(参照)にも、白インゲン豆の調理が掲載されている。
 というわけで、秋になってちょっと冷え込むようになってから、朝食用にミネストラを夜に仕込むのだけど、くず野菜などに加えて、豆をぽいぽいっと放り込むことにした。朝になるとええ塩梅にやわらかく煮えていておいしい。
cover
ガルバンゾー 200g
 ところでどんな豆。この本に出てくる豆は、大豆・青大豆・黒豆、きんとき豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、あずき・ささげ、の基本6種。それぞれに料理の例が示されている。率直に言って、あっと驚くようなレシピはなかったけど、それなりに面白い。たぶん、豆好きには参考になると思いますよ。
 
 

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コメント

豆腐料理が手軽で一番いいんじゃないかな。サプリ系プロティンの変わりに、きなこを低脂肪牛乳に混ぜて毎朝食べている。

少し、注目して、どうしようかなぁって、ちょっとゆであずきを食べてみた。缶の。糖分が強くて、カーっと暑くなったので、砂糖無しで使う方法かなぁと思いつつ、やっぱり手軽なのは、やっぱり豆腐系。あとは、冷凍の枝豆。豆って、大豆意外、たんぱく質少ないし・・・。まぁ、白米よりは多いだろうけど。

そうそう、漏水工事にきてくれた人が75歳。自分よりずっと体力はあるし、筋肉もしっかり。土を掘る仕事だからだろうけど。あとは、世の中のことを少々教わった。職人技も見られたし。もっと楽な仕事に切り替えるみたいなことをいっていたけど、結局、楽にすると、体力が落ちて戻らないから、なるべく今のままでいけるだけいった方がと。80歳ぐらいまでは続けられそうだったし。職人さん系の年寄りは話すと暖かい感じがするのがいいな。(一応、ずるいところもあるような、ないような、あはは)

投稿: | 2013.10.14 10:29

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受信: 2013.10.09 20:06

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