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2013.10.08

政府から聞こえてくる、10%消費税増税を巡る奇妙な不調和

 8%消費税増税が決まったらとたんに10%消費税増税の話題が出て来た。しかも、政府内に今後の経済の低迷を睨んで政局に関連した不調和がありそうだ。情報が積み重なって錯綜する以前に、気になった時点の動向もメモしておきたい。
 今朝、奇っ怪なニュースが流れた。産経新聞「消費税率10%引き上げ判断、来年末前倒しで調整」(参照)である。消費税増税10%を決定する時期についての話題である。ソースに注目したい。


 消費税増税法で平成27年10月に予定される消費税率8%から10%への引き上げに関し、政府が実施の判断時期を当初想定していた同年4月から、27年度税制改正を取りまとめる26年末に4カ月程度前倒しすることで調整を進めていることが7日、分かった。
 政府高官は7日、10%に引き上げるかどうかを判断する時期について「来年中に判断することになるだろう」と述べた。別の高官は「増税判断の前倒しに備えて26、27年の経済成長が維持できるよう大規模な経済対策を今回取りまとめた」と指摘した。
 10%増税の是非を判断する時期は、8%への引き上げを決断したときと同様、景気動向を踏まえて6カ月前の27年4月とされていた。ただ、各年度の予算は、税収見込みを決定した上で赤字国債規模などを計算し、前年の12月末に閣議決定するのが通例だ。軽減税率の導入も税制大綱に盛り込む方が混乱が少ないとみて、判断時期を前倒しする必要があると判断した。27年4月には統一地方選が行われるため、政治の混乱を回避する狙いもある。
 安倍晋三首相はデフレ脱却を最優先課題に掲げており、10%への税率引き上げを決断する場合は成長軌道を確保できる見通しが立つことを条件にする考えだ。まずは8%増税後の成長軌道を確保するため、規制緩和や国家戦略特区などの経済対策をさらに加速させることができるかが試金石となる。

 消費税10%への増税を決定するのは平成27年4月であったが、これが変更されて平成26年12月になる、というのだが、そのソースが二人の匿名の政府高官である。
 産経新聞とその二人の高官との繋がりがあるのだろうが、形の上では匿名からのリーク情報であり、飛ばしの可能性もある。
 匿名高官リークにまつわる奇っ怪さに加えて、消費税10%増税の話題が、8%増税が決まって、その後の動向を検討する間も待たずに、ほいっと出てくることも奇っ怪である。
 さらに奇っ怪なのは、文脈で読む限り、安倍晋三首相の意思に反していることだ。首相は「成長軌道を確保できる見通しが立つことを条件にする考え」なので、れいによって、この匿名高官らは公式な安倍首相の立場を否定している。首相の内心をリークしているのか、謀略的な動向なのか。
 二人の政府高官リークの内容も見ていこう。この二人が消費税増税10%決定時期を半年早めるとする理由は、27年4月に予定されている統一地方選挙を避けるためであるというのだ。ようするに、消費税問題を選挙の争点マターとするのを避けるといういうことだ。
 この産経新聞の奇っ怪な報道はなんなのだろうかと思っていたら、間を置かす関連ニュースが正午のNHKで流れた。「麻生氏 消費税10%判断は来年末に」(参照)。

 麻生副総理兼財務大臣は、法律で再来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、予算案の編成などを考慮すれば、引き上げるかどうかの判断は、来年の年末までに決めるのが望ましいという考えを示しました。
 消費税率引き上げ法は、税率を来年4月に8%にしたあと、再来年10月には、10%に引き上げると定めています。
 これについて、麻生副総理兼財務大臣は、閣議のあとの記者会見で「消費税の引き上げが必要なのは、毎年1兆円ずつ増える社会保障費の歳出をきちんとした形でみんなで分担しあうということだ」と述べ、社会保障費を賄うため、法律に定められたとおり、再来年10月には消費税率を10%に引き上げる必要があるという認識を示しました。
 そのうえで、麻生副総理は、「消費税率が10%に引き上げられる再来年度の予算編成は、来年の12月末には終わるので、12月までには決めてもらわなければ、予算編成が難しくなる」と述べ、予算案の編成などを考慮すれば、消費税率を10%に引き上げるかどうかの判断は、来年の年末までに決めるのが望ましいという考えを示しました。
 
法律の規定にしたがって判断する
菅官房長官は閣議のあとの会見で「さまざまな方がいろいろ発言しているが、法律の規定にしたがって適宜適切に判断していくというのが政府の基本的な考え方だ。安倍総理大臣も『判断時期を含めて適切に判断したい』と記者会見で述べており、それがすべてだろう」と述べました。

 先の産経新聞がリークした二人の政府高官と同じ内容を、麻生副総理兼財務大臣が、閣議のあとの記者会見で述べたのである。「消費税率が10%に引き上げられる再来年度の予算編成は、来年の12月末には終わるので、12月までには決めてもらわなければ、予算編成が難しくなる」ということである。
 時系列に誤解があるかもしれないが、二人の政府高官による、消費税10%増税のリークがあったのちに、麻生副総理兼財務大臣が同じことを述べたことになる。
 まず端的に疑問なのは、この二人の政府高官と麻生副総理兼財務大臣の関係はどうなっているのか、ということだ。麻生大臣の思惑なり内心を二人の政府高官がリークしたのか、二人の政府高官が振り付けしたことを麻生大臣にダメ押しさせたのか、それとも、麻生大臣にそう語らせるように追い込んだということなのか。
 このNHKニュースでも奇っ怪なのは、またしても、安倍首相の思惑とはずれていることだ。菅官房長官は閣議のあとの会見で、彼は「さまざまな方がいろいろ発言しているが、法律の規定にしたがって適宜適切に判断していくというのが政府の基本的な考え方だ。」と述べている。文脈から普通に考えて、二人の政府高官や麻生大臣の発言は、政府の基本的な考え方に反するしていることを示唆している。これが公式見解である。麻生大臣の発言がなければ産経新聞の匿名リーク記事は飛ばしも疑われただろう。
 同種のニュースは日経新聞でも流れた。「財務相、消費税率10%上げ判断「14年末までに」」(参照)である。ここでは二人の政府高官は出て来ず、形の上では、麻生大臣の言明は政府の公式見解ではないことが暗示されている。

 麻生太郎財務相は8日午前の記者会見で、消費税率の10%への引き上げの判断をする時期について「(来年)12月までにはやらないと予算編成が難しくなる」と語った。政府は2015年10月に消費税率を10%に上げる予定だが、最終判断の時期については明らかにしていなかった。
 消費税率の引き上げは、経済状況などを踏まえて最終判断することが法律で決まっており、政府がいつ判断するかが焦点になっていた。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「法律の規定に従って適宜適切に判断する」と述べるにとどめた。
 麻生財務相は「(判断は15年)4月1日でもよいという人がいるが、予算のことを忘れているのではないか」と指摘。来年末に最終判断するのかとの記者団の質問に「事務的に言えば、12月までには決めてもらわないと予算編成が極めて複雑なものになる」と述べた。
 来年12月末までに引き上げを決めれば、政府は新しい消費税率を前提に15年度予算案を編成できる。消費税率の引き上げに伴う景気の下振れなどにも、予算や税制改正などの措置であらかじめ対応できるようになる。
 政府が来年末までに税率引き上げを判断するとすれば、来年後半の経済情勢が極めて重要になる。政府はすでに来年4月の消費税率8%上げに備えた経済対策を決めているが、次の判断を見据えた追加の対策が課題になる可能性もある。

 日経新聞記事からは麻生大臣の思惑は読みやすい。この点で、先の産経新聞のリーク記事とは趣きが異なる。
 ある程度踏み込んで読み取れば、「消費税率の引き上げに伴う景気の下振れなどにも、予算や税制改正などの措置であらかじめ対応できるようになる」ということから、8%増税によって生じる景気の下振れを懸念してのことである。
 さらに踏み込めば、それが、統一地方選挙でその問題が自民党に波及するのをできるだけ防御するということである。
 安倍政権の維持というよりも、自民党維持の政局と財務省の駆け引きが、安倍首相抜きで始まったという印象もあるし、消費税増税による日本経済の落ち込みを今から織り込んでいるんじゃないか、という印象もある、きちんと。
 

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コメント

どうでも良いじゃないですか、増税なんて。もうじき日本は滅びるんだから、かつて大日本帝国が滅びて、日本国になったように。いずれにしても、たかが数人の拉致被害者を、武力で解決できない国なんぞ、国家とは言えないし、はやく滅んじまえよ、と言いたい。増税、大賛成。馴れ合い民族なんぞ、滅んじまえ。

投稿: 日本人 | 2013.10.08 17:51

>これが変更されて平成26年4月になる、というのだが

という箇所ですが、正しくは
「これが変更されて平成26年12月になる、というのだが」
の誤記かと思います。

既にお気づきでしたらすみません。

投稿: summercontrail(略して左近) | 2013.10.09 21:02

老人どもが無責任に自虐感傷に浸っていい気分になってるのは本当に見苦しい
そもそも増税する至ったのは老人どもの医療費を1割にした結果恥ずかしげもなく毎日病院に遊びに行く老人ども増えたから
だらだら
飽食で肥太り膝を痛めたりお化粧代わりの筋トレで腰を痛めたりしてはニヤニヤして病院通い
そんで
語るは日本は滅んだですか?いい気なもんですね
あなた達が病院とかで遊び呆けたお金は若者達が苦しい生活から払う消費税なんですがね

投稿: | 2013.10.11 18:55

summercontrailさん、ご指摘ありがとうございました。訂正しました。

投稿: finalvent | 2013.10.13 21:02

安倍さんは、小泉さんと違って、更迭しそうもないから、まわりはやりたい放題なんじゃないかな。

一票の格差をなおすつもりも、議員定数の数を減らすつもりも、公務員の待遇、環境をコストカットするつもりも、公共工事のカットも、権力の利益は一切温存して、増える福祉費用を消費税でするっていいつつ、国民が消費税に敏感になれば、国債に回すってだけで、とんでもないことだね。オリンピックまでに、戻らないんじゃないかな。それこそ、オリンピックのとき、国民は高い消費税を背負って、観光で来る外国人は消費税は免税とかなって、これは、国民も怒るでしょ。

投稿: | 2013.10.14 10:40

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