消費税増税決定に至るまでの大手紙の報道は、大手紙報道の飛ばしの仕組みを考える上でよい事例を出してくれていた。ただ、事例はどちらかというと退屈なもので、エントリーに書くまでもないかと思っていたが、大手紙報道を安易に鵜呑みにしてしまう人も見かけたので、簡単に振り返っておくのもよいかもしれない。
最初にこの方向で出て来たのは私の知る限り、朝日新聞だったがここでは、ここでは慎重に増税を決断したという報道にはなっていない。9月10日「安倍首相、増税指標クリアと判断 GDP上方修正で」(参照)
安倍晋三首相は9日、来年4月に消費税率を8%に引き上げるための経済指標面での環境は整った、と判断した。内閣府がこの日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)の2次速報値が大幅に上方修正されたためだ。安倍政権は増税した場合に景気が腰折れするのを防ぐため、経済対策の本格検討に入る。首相は好調な指標に自信を深めており、経済対策の規模や中身を見極めたうえで、10月1日にも増税の可否を最終判断する方針だ。
内閣府は9日、GDP2次速報値で物価変動の影響などを除く実質成長率が年率換算で前の1~3月期よりプラス3・8%になったと発表。名目成長率はプラス3・7%とした。企業の設備投資が上向いたり景気対策で公共事業が増えたりしたため、実質2・6%、名目2・9%成長だった1次速報値から大幅に上方修正された。
昨年8月に成立した消費増税法は「経済状況の好転」を増税の前提とし、その目安を「名目3%、実質2%の成長」と規定したが、2次速報値はいずれも上回った。雇用や消費などの指標も1年前に比べてほとんどが上向いている。
この時点での朝日新聞記事は「10月1日にも増税の可否を最終判断する方針」としていて、それ以前の増税の意向や決断をむしろ否定する記事はなっているものの、「安倍晋三首相は9日、来年4月に消費税率を8%に引き上げるための経済指標面での環境は整った、と判断した」という「判断」のソースは私は確認できなかった。
技術的に言えばこの時点以前に政府ではコアコアCPIに着目していたので(
参照)、その点に触れていない以下の分析には恣意的な解釈の影がある。
昨年8月に成立した消費増税法は「経済状況の好転」を増税の前提とし、その目安を「名目3%、実質2%の成長」と規定したが、2次速報値はいずれも上回った。雇用や消費などの指標も1年前に比べてほとんどが上向いている。
問題のブレークは読売新聞12日「消費税率、来年4月に8%…首相が意向固める」(
参照・魚拓)であり、非常に興味深い文体で書かれている。一面トップでもあった。
安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。
増税が上向いてきた景気の腰折れにつながることを防ぐため、3%の増税分のうち約2%分に相当する5兆円規模の経済対策を合わせて実施する考えだ。経済対策は、2013年度補正予算案と14年度予算案の一体的な編成や、減税を柱とする税制改正で対応する。
首相は、10月1日に日本銀行が発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)を分析した上で最終判断し、直後に記者会見を行い、増税に踏みきる理由や経済対策などを表明する方向で調整している。
消費税は、1%の税率引き上げで2・7兆円の税収増となると見込まれる。複数の政府筋によると、首相は、3%の引き上げで約8兆円の負担を国民に求めた場合、回復基調にある景気が失速しかねないと懸念している。このため約2%分を経済対策で国民に事実上還元することで、景気への影響を1%引き上げと同程度に抑えることにした。
記事もよく読めば「10月1日に日本銀行が発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)を分析した上で最終判断し」とあり、最終的な判断がこの時点でまだであることがわかるが、問題は「安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた」のソースが不明な点にある。記事からはソースの言及がない。
この点については同日午前の「内閣官房長官記者会見」(
参照)で、そうした意向を首相が公式に発表したことが明確にされた。その時点で、では、読売新聞のこの記事の出所がどこなのかが疑問の対象になる。読売新聞の独断で書かれたとも考えられる。
合わせて読売新聞同日「消費増税「2%」分実質還元…首相、苦肉の判断」(
参照・魚拓)では、「5兆円規模の経済対策を合わせて実施する考え」を首相に帰している。
安倍首相は、消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げる一方、5兆円規模の経済対策を行うことで、増税による景気への悪影響を最小限にとどめたい考えだ。
「経済再生と財政再建の両立」を政権の基本方針に掲げた首相にとって、苦肉の判断だ。
消費税を14年4月に8%とし、15年10月に10%とする増税は、昨年8月の社会保障・税一体改革関連法成立で決まった。当時野党だった自民党は成立に協力したが、昨年12月に就任した首相は「増税は、回復し始めた景気に冷や水を浴びせかねない」(周辺)と考え、最終判断を保留してきた。
財務省は「増税を見送れば、財政再建に後ろ向きと取られ、国債価格の下落などで信用低下を招く」と首相に予定通りの増税実施を進言してきた。増税を見送る場合、10月召集予定の臨時国会での関連法改正が必要となる。自民党内でも増税を容認する声が広がっており、首相は「方針転換は困難」と判断した。
ただ、首相は、3%の引き上げを「あまりにも大幅過ぎる」とみて、2%相当の経済対策を実施する案を考え出した。社会保障・税一体改革関連法は、消費税をすべて社会保障財源に充てると明記しており、政府は、経済対策に充てる財源を別途確保する方針だ。
読売新聞記事は「安倍首相は、消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げる一方、5兆円規模の経済対策を行うことで、増税による景気への悪影響を最小限にとどめたい考えだ」としているが、同官房長官記者会見で「具体的な数字は全く出ておりません」として首相側の思惑としては否定され、かつ、その数字が「規模や中身については、これから甘利大臣と麻生大臣を中心に詰めていく」内容であることから、この二つの読売記事の出所は、「甘利大臣と麻生大臣」の系列からであることがうかがわれる。
むしろ興味深いのは、文脈からわかるように、官房長官は「首相意向」とする記事の出所が「甘利大臣と麻生大臣」の系列からであることを示唆していると受け止めてもよく、政府内での亀裂を物語っているように読めることだ。もしこの亀裂の示唆を避けるのであれば、官房長官は言及を控えただろう。
読売新聞の動向で興味深いのは、その12日ほど前になる8月31日の社説「消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ」(
参照・魚拓)では、消費税の見送りを社として主張していたことだ。8月末までは読売新聞は消費税増税先延ばし論に与していた。
◆デフレからの脱却を最優先に
日本経済の最重要課題は、デフレからの脱却である。消費税率引き上げで、ようやく上向いてきた景気を腰折れさせてしまえば元も子もない。
政府は、2014年4月に予定される消費税率の8%への引き上げは見送るべきだ。景気の本格回復を実現したうえで、15年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択と言えよう。
消費増税を巡って、有識者らから幅広く意見を聴く政府の集中点検会合が開かれている。
◆成長と財政再建両立を
安倍首相が今秋の決断へ、「最終的に私の責任で決める。会合の結果報告を受け、様々な経済指標を踏まえて適切に判断したい」と述べているのは妥当だ。
日本は、15年間もデフレが継続し、巨額の財政赤字を抱える。景気低迷がさらに長期化すれば国力の低下が進みかねない。
デフレを克服し、経済成長と財政再建の両立をいかに図るか。日本に求められているのは、この難題に取り組む方策である。
読売新聞は年々増える社会保障費の財源を確保し、中期的に財政健全化を図るべきだとの立場から、消費増税の必要性を主張してきた。考えは変わらない。
有識者らの多くは、来春に予定通り引き上げるよう主張したが、問題は、来春が増税するのに適切な時期かどうかだ。
今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で2・6%増にとどまった。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果が見え始めてきたものの、民需主導の自律的回復というにはほど遠い。
懸念されるのは、成長に伴って賃金が上昇し、雇用も拡大するというアベノミクスの好循環が実現していないことだ。
来年4月は、春闘による賃上げや新卒採用の拡大などが見込まれる重要な時期である。好循環への動きに冷水を浴びせたくない。
もちろん、消費増税だけで財政は再建できない。増税で景気が失速すれば、法人税や所得税などの税収も期待したほどは増えない恐れがある。それではかえって財政健全化が遠のくだろう。
政府は今秋、成長戦略として投資減税などの追加策を打ち出す方針だが、そうした政策効果が表れるまでには時間がかかる。
◆15年の10%を目指せ
8%への引き上げに固執した結果、景気が落ち込み、10%への引き上げを実現できなくなれば、本末転倒である。
他方、消費増税を先送りした場合には、日本国債の信認が損なわれ、長期金利が上昇すると懸念する声が出ている。
重要なのは、不安を払拭する政府の強いメッセージである。8%見送りはデフレ脱却を最優先した結果であり、財政再建の決意はいささかも揺るがないと表明し、内外の理解を求めてもらいたい。
増税先送りに伴う消費税収分をカバーする財政資金の確保も課題になる。まず緊急性の低い歳出は削減し、併せて、あらゆる政策を検討する必要がある。
利子が付かない代わりに、国債の額面分に相続税を課さない無利子非課税国債を発行し、家計に眠る貯蓄を有効活用することは政策メニューの一つだ。
広く集めた資金を社会保障や防災・減災対策などに重点配分することが考えられる。
◆軽減税率を新聞にも
15年10月に消費税率を10%に引き上げる際は、国民負担の軽減が不可欠だ。税率を低く抑える軽減税率を導入し、コメ、みそなどの食料品や、民主主義を支える公共財である新聞を対象とし、5%の税率を維持すべきだ。
消費税率を1%ずつ段階的に引き上げる案では、中小企業などの事務負担が増大し、価格転嫁しにくくなるため、賛成できない。
消費増税の判断にあたっては、世界経済への警戒も怠れない。
シリア情勢が緊迫化し、米国による軍事行動が取り沙汰される。すでに原油価格が高騰し、円高・株安傾向も続いている。原発再稼働の見通しが立たない中、燃料高に伴い、電気料金のさらなる値上げも予想されよう。
米国が異例の量的緩和策を縮小する「出口戦略」や、中国の金融リスクも波乱要因と言える。
1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際、深刻な金融不安に加え、アジア通貨危機が重なり、景気が急減速したことが苦い教訓である。
内外情勢を十分に見極め、日本再生のチャンスを逃さない決断が政府に求められている。
消費税延期を主張する8月31日の社説から、首相の確認を取らずに消費税増税の意向が定まったとする一面記事が出る9月12日までの間に、読売新聞に何があったのか? 理詰めで考えれば、この間に経済状況が好転したということだが、常識的に考えて、この社説の趣旨を転換するほどの状況変化はない。
また、やや陰謀論めくが過去の渡辺恒雄の動向からすると、この間に、彼と政府あるいは財務省など官僚との間に政治的な接触があったのではないかとも疑われる。あまりこの点に深入りしたくはないが、この時期の渡辺恒雄の動向を洗うと、9月10日の首相動静(
参照)に興味深い記述がある。
【午前】11時48分、官邸。49分、報道各社のインタビュー。
【午後】0時4分、無料通話アプリ「LINE(ライン)」の森川亮社長らベンチャー企業経営者と昼食。自民党の塩崎恭久衆院議員同席。55分、麻生副総理兼財務相、甘利経済再生相、菅官房長官。2時4分、閣議。27分、2020年夏季五輪の東京招致に関する閣僚会議。43分、APECビジネス諮問委員会日本委員の亀崎英敏三菱商事常勤顧問らから提言書受け取り。鈴木裕之野村ホールディングス取締役に委員の辞令交付。3時2分、外務省の斎木事務次官、平松総合外交政策局長。57分、自民党の高市政調会長。5時7分、北村内閣情報官、下平内閣衛星情報センター所長。14分、下平氏出る。35分、北村氏出る。6時、ロシアのプーチン大統領と電話協議。38分、東京・丸の内のパレスホテル東京。日本料理店「和田倉」で渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長ら報道関係者と食事。9時36分、東京・富ケ谷の自宅。
普通に考えれば、この日、9月10日の夕食で渡辺恒雄が首相と会食して、首相の消費税増税の意向を確認したということになるだろう。しかし、12日の官房長官談話はわざわざそれを公式に否定しているし、またそれが仮に表面的であるなら「甘利大臣と麻生大臣」系のリークの示唆は控えただろう。いずれにせよ、この渡辺恒雄との会食に何かあっただろうことまでは推測してよいだろう。
読売新聞の該当記事で堰を切ったように、共同・時事でも同種の報道が続く。内容および形式は基本的に読売新聞記事を踏襲していて新味はないが、この追従的な日本の報道の仕組みは興味深い。
同日共同「消費税率、来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」(
参照)より。
安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。政府は、増税による景気腰折れを防ぐため、税率上げ幅3%のうち2%分に当たる5兆円規模の経済対策をまとめる方向で本格検討に入った。首相は10月1日に増税方針と経済対策を表明し、財政再建とデフレ脱却を両立させる姿勢を示す構えだ。
景気関連の指標が軒並み改善し、消費税増税法の付則で税率上げの条件となっている「経済状況の好転」がほぼ確認されたと判断した。国の財政悪化が深刻化し、社会保障の財源確保が急務となっており、政府、与党内で増税容認の意見が多いことも考慮した。
同日時事より「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え-安倍首相、来月1日にも表明」(
参照)より。
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。各種経済指標が堅調なことから、増税の環境は整ったと判断した。増税による景気の失速を避けるため、5兆円規模の経済対策を合わせて実施する方針だ。
増税の是非を判断するに当たり、首相は4~6月期の国内総生産(GDP)改定値を最重視していた。9日発表のGDP改定値は、名目で年率換算3.7%増、実質で3.8%増となり、消費増税関連法付則18条に増税の目安として明記された経済成長率(名目3%、実質2%)を上回った。
11日発表の7~9月期の大企業全産業の景況判断指数や、8月の国内企業物価指数も改善。首相は10月1日に発表される完全失業率や日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を確認した上で、同日中にも記者会見して増税を表明する。
記事形式として興味深いのは同日遅れて後続した毎日新聞記事「消費税:来年4月8%…首相、10月1日に表明へ」(
参照)である。同日の官房長官記者会見を引用しながら、増税の意向が定まっていない点などについてこの報道は意図的に無視している。
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率について消費増税法に基づき、予定通り来年4月に8%に引き上げる方針を固めた。増税による景気の失速を避けるため、3%の増税分のうち、2%分に相当する5兆円規模となる大型の経済対策を合わせて実施する方向で調整している。首相は10月1日に日銀が発表する企業短期経済観測調査(短観)を確認した上で、同日中に記者会見し、増税方針と経済対策を同時に表明する方針だ。
◇経済対策、5兆円財源カギ
安倍政権の経済政策「アベノミクス」により、各種経済指標は好転している。判断指標となった4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、改定値で年率3.8%増。増税の目安とされた経済成長率「名目3%、実質2%」を上回った。2020年夏季五輪の東京招致の成功という「第四の矢」の後押しも受け、首相は増税の意向を固めた。
首相は10日、首相官邸に麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相らを集め、経済対策の中身を今月中に取りまとめるよう指示した。その際、示した文書では「消費税率の引き上げにより、景気を腰折れさせるようなことがあってはならない」と明記。政府高官は「消費税率を引き上げても、景気がよくないと財政再建につながらない」と述べ、経済対策の重要性を訴える。
菅義偉官房長官は12日の記者会見で、消費増税に伴う経済対策について「消費税を引き上げる場合は経済への影響もあるため十分な対策が必要だ」と強調。記者団から「経済対策の規模も消費増税の判断の一つになるか」と問われると、「もちろんそうだ」と述べ、大規模な対策が不可欠との認識を示した。
14年4月と15年10月の消費税率引き上げを定めた消費増税法は、民主党政権下の12年8月に成立した。すでに定められた増税について、首相は8月末に6日間かけて「集中点検会合」を開き、有識者ら60人に改めて増税の「是非」を問うてきた。7割の出席者が予定通り14年4月の税率引き上げに賛成を表明した。
首相が増税実行に熟慮を重ねてきたのは、アベノミクスでせっかく上向いてきた景気への影響を懸念したからだ。財政再建を優先する財務省への反発もあり、首相は経済政策の中身を見極める方針。10月の臨時国会も「成長戦略実行国会」と位置付け、6月に発表した「日本再興戦略」に基づく産業競争力強化法案の早期成立を目指す。
毎日新聞記事と同種の傾向は、東京新聞「消費税 来年4月8% 首相決断 社会保障目的どこへ」(
参照)でも見られた。ただし、官房長官記者会見を毎日新聞よりも冷静にふまえ「消費税率引き上げは正式決定していないとしつつも」と限定した。
安倍晋三首相は十二日、二○一四年四月から予定通り消費税率を5%から8%に引き上げる方針を決めた。最近の各種経済指標が堅調だとして、増税の環境はほぼ整ったと判断した。増税に伴う景気の落ち込みを避けるため、五兆円規模の経済対策を合わせて実施する方向。ただ、五兆円は消費税2%分に相当し、社会保障に充てるはずの増税の目的が大きく損なわれる。
首相が増税の是非を判断するのに重視したのは、四~六月期の国内総生産(GDP)改定値。九日発表の改定値は、名目で年率換算3・7%増、実質で3・8%増。消費税増税法の付則で税率引き上げの目安となっている経済成長率(名目3%、実質2%)を上回った。
政府・与党で予定通り増税を容認する意見が大勢を占めていることも考慮した。また、二〇二〇年東京五輪の開催が決まったことで、一定の経済効果が見込めることも判断材料となった。
首相は十月一日に発表される完全失業率や日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を確認した上で、同日中にも増税方針と経済対策を表明する方針。
ただ、消費税増税に伴う低所得者対策はまだ決まっていない。
政府・与党は食料品などの生活必需品に関し、税率を低くする軽減税率を導入する準備が整っていないとして、現金を配る「簡素な給付措置」を実施する方針だが、具体的な内容は未定だ。
政府は八月下旬、有識者から意見を聞き、消費税増税を実施した場合の景気への影響を検証する「集中点検会合」を開催。増税を容認する有識者からも、低所得者対策の充実などを求める意見が相次いだ。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十二日午前の記者会見で、消費税率引き上げは正式決定していないとしつつも、増税に伴う経済対策について「規模や中身を麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相で詰めている」と説明。正式決定後には、首相が自ら記者会見して発表することを明らかにした。
振り返ってみると、大手紙報道は異常な事態だった。
だが、私自身はというと、けっこう醒めて眺めていたし、きっかけでもなければブログに書く気もなかった。もともと、この安倍内閣は麻生太郎副総理兼財務相が実質、石原伸晃を立てようとした自民党内で権力クーデターのようにして作り上げたものだった。その背景には、デフレ政策を堅持する民主党政権への、財務省側の危機感を反映したものだったと思うからだ。
こうした私の考えを「随分見苦しいw」と言う人もいる。
私は、本当に思うのだ、「随分見苦しいw」と。だから、こんなことは書かないで、こっそり、日本のメディアと権力の構造について微笑みつつ絶望していたらよかったかな、と。いや、金融緩和はよかったじゃないか、それが消費税の増税のためであったとしても、と。