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2013.09.23

そういえば、ラジオ体操というのがあったな

 筋トレや有酸素運動のついでにストレッチもしている。だが、ストレッチが身体によいのか確信が持てないでいる。
 先日、クランチがよくないという話を書いた。書いてからやっぱり書かないほうがよかったかと悔やんだ。ストレッチもしないほうがよいという話題が欧米にあるが、これも書かないほうがよいかもしれない。どうだろうか。私が知らないだけで、日本でもすでに常識化しているのだろうか。ちなみにサッカーをしてた学生に聞いたら、ストレッチではなく、「ブラジル体操」してたとのこと。
 少し触れておくと、2002年に「英国医学誌」に掲載された研究に「運動前後のストレッチがもたらす筋肉痛とケガのリスクへの影響」(参照)があり、結論は引用先を見てもわかるように、筋肉痛の軽減にもならないし、ケガの予防にもならない、ということだった。その後の研究もある(参照)。複数の研究からも概ね否定的(参照参照PDF)。
 ストレッチはしないほうがいいのか。この話題を扱った以前のニューヨーク・タイムズの記事(参照参照)では、静的なストレッチではなく、動的なストレッチがよいのではないか、という方向に話を向けていた。そのわりにその主張もそれほど実証的ではない。最近の研究では、動的ストレッチでも筋肉の力の弱化をもたらしそうである(参照)。

cover
Full-Body Flexibility
 一般的な指針としてはどうなのだろうかと、網羅的にストレッチ技法が書かれていることで定評がありそうな「身体全体の柔軟性(Full-Body Flexibility)」(参照・Kindle)を読んでみた。結論からいうと、前のほうでかなりしっかりと運動前の静的ストレッチはやめなさいという議論があった。もちろん、ストレッチは運動のパフォーマンスやケガ軽減だけが目的ではないが、デメリットの部分もかなり明確に書かれているものだなと思った。実際、掲載されているストレッチのレパートリーも動的ストレッチが少なくない。どうも、米国では現代ではストレッチというと、動的ストレッチのほうが主流になっている印象がこの本から受け取れる。
 でだ。その動的ストレッチを見ていて思ったのだ。これって、日本のラジオ体操じゃないのか? ラジオ体操は、動的ストレッチだったのか。
 30代のころ、ヨガやフェルデンクライスに凝った話は自著『考える生き方』(参照)にも書いたが、他に、野口体操とかも少しやっていた。実際に野口三千三先生に教わったこともある。野口先生の本も読んだし、関連の本なども読んだが、その野口体操は、いわゆる体操――つまりその代表的なのがラジオ体操なのだが――を批判して形成されたものだった。逆に、ラジオ体操については、ミュラー体操を起点に出来たものだった。
 ミュラー体操を、解説したミュラー(Jørgen Peter Müller)自身による、1904年の著作「我が手法(My System)」は、当時、欧米で大ブームとなり、フランツ・カフカもその心酔者だった。
 ミュラー体操はロンドンをベースに教習され、英米圏に影響を与えたらしい。当然日本にも影響を与えたと思われる。が、同書が日本語に翻訳されていたかはよくわからない。なお、ラジオ体操の具体的な直接起源はよく知られているように、米国メトロポリタン生命保険会社が保険業のために考案して、1925年に広告放送とした「運動をしましょう(Setting up exercise)」である。
 ちょっと調べたらミュラーの翻訳書はパブリックドメインになっていた(参照)。驚いたことにオリジナルのミュラー体操を60年継続している人もいるようだった。実際にミュラー体操を見ると、ラジオ体操よりもピラティスに似ている印象がある。ユージン・サンドウを含め、この時代の古典ギリシア志向の身体訓練観は興味深い。

 話題が反れてしまったが、ようするに、動的ストレッチとしてラジオ体操を見直してもいいんじゃないのかと思って、ITMSから「ラジオ体操」の音源を買って、久しぶりにラジオ体操をやってみた。
 驚いたことに、覚えている。第2もできる。で、もうひとつ驚いたことに、できるとはいっても正確なやりかたなのか、まったく自信がない。きちんとラジオ体操というのを学んだことないのだ、気がつくと。

cover
DVD付き
もっとスゴイ!
大人のラジオ体操
 では、きちんとしたラジオ体操の解説書とかDVDでもあるだろうかと探すと、あった。あるもんだなあ。「DVD付き もっとスゴイ! 大人のラジオ体操 決定版」(参照)である。読んでみると、自分が大きく勘違いしている部分はなかったが、細かい点では、けっこう、へえと思えることはあった。なにより、この本、最初からラジオ体操を動的ストレッチとして位置づけていたのである。それぞれ個別の体操の分析まで載っている。
 というわけで、でもないが、ラジオ体操もすることにした。第2を合わせて6分半。大した手間かからないし、場所とらないし、「身体全体の柔軟性」の本にも書いてあったが、それなりにきっちりすると、適当に心拍も上がる。
 それにしても、ラジオ体操かあ。いろいろ身体技法とか関心もってきたけど、まさか、こんなところに行き着くとはなあ。河童もラジオ体操しろよぉ。
 
 

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「筋トレ」カテゴリの記事

コメント

え~、ストレッチダメなんすか~?
先日、51歳で筋トレ成功してますって報告させていただきましたが。
いや確かにね。ストレッチはうまく行ってないんです。
頑張っても痛いだけというか。
だんだん柔らかくなってきたなぁみたいな感覚、持ちにくいんですよね。
筋肉は有無をいわさずついてくるからアレなんだけど。
ラジオ体操のレベルではなく、もうちょっと頑張りたいんだけどなあ。
現状維持でもいいから頑張らないと、筋力だけアップして硬くなっていったらケガに行き着くのが当たり前に思えますもんね。

投稿: mithrandir | 2013.09.23 23:26

ラジオ体操って、もともとアメリカの保険会社がすすめたんでしょ? 金儲けのために・・・。

工場で働いていたときは、毎日やっていたけど、効果はあるけど、結局、そういう風に自然になって、生活の一部にならないと、うまくいかないと思う。あと、気温との関係も深そうだね。つまり、夏の朝はベストなんだと思う。これから冬になると、やる気にならないと思う。

正座もストレッチだけど、やりすぎれば、壊れるよね。こちらも、日常的に、ちょっとするクセ、猫が背伸びするようにやれればいいんじゃね。

結局、意図すればするほど、運動は、毒かもね。プロのスポーツ選手だって、引退すると、ほとんどしないし、しているのはマラソン選手で、あれは、ハッキリいってランニングハイの中毒でしょ、笑。

とにかく、日常生活の自然な基礎的運動量です! こういう意味では、木造2階建ての階段で、洗濯干しが2階で、毎日洗濯とか。実際、知り合いのおばあさんで、子供が2階に同居で、2階にほとんど上がらなくなったら、どんどん体力が落ち、椅子での生活が主になったら、逆にヒザが痛み・・・。あと聞いた話だと、親の具合が悪くなる前にバリヤフリーにしたら、体力が落ちてしまってとんでもないことになったとか・・・。

投稿: | 2013.09.24 07:29

ラジオ体操指導士という資格があって、秋野暢子さんがとったそうです。
ラジオ体操をちゃんと出来る人って案外少なくて、
「手足の運動」でかかとをあげない人が多いんだとか。
みんなの前に立つので左右を逆に覚えないといけないとか、大変なんだそうです。

投稿: てんてけ | 2013.09.24 09:29

有酸素系スポーツが好きで筋トレはほとんどやらない口です。クランチがNGなのは知りませんでしたがストレッチに関しては結構前から知っていたつもり。このエントリーでちょっと誤解を生みやすいのではと思うのが、クランチと違ってストレッチそのものは悪者ではなく、推奨されるエクササイズだけど、それをウォームアップやクールダウンとして行うのがNGってことでしょう? 
水泳でもジョギングでも、アップ&ダウンはその運動で行えばよい。泳ぐ前に準備運動はしない。ゆっくり泳ぎながら温める。でも日本の現場を見る限り、かなり優秀なコーチでもそういう指導はしてないね。まずはプールサイドでアキレス腱や大腿を伸ばすストレッチをみんなで車座になってやってる。かなり念入りに。指導のプロがストレッチのことについて耳にしてないはずがないんです。彼らは結局自分の経験などから自分なりに答えを出しているのだと思います(訊いてみたことないけど)。
ストレッチ信者は多く、ストレッチは有害、といきなり切り出すと拒否反応を示して聞く耳持たない人が多いので、有害説もあるらしい、という言い方をして疑問を持つきっかけを作るようにしています。でも実際、僕はまだこの最終的な答えはハッキリとは出てないんじゃないかとも思っています。

ラジオ体操は、日本人はかなり染みついていて当たり前のように思っていますね。そして、多くはこれを準備体操だと思っている。
これが動的ストレッチということは無意識ながらみんな理解しているんじゃないかな。それゆえ「ストレッチ=準備運動」という発想はごく自然に定着し、抜け出せないのではないか。ラジオ体操の功罪なのではと。
ラジオ体操を準備運動としてとらえるなら、教科書通りに正確にやるよりむしろイイカゲンに身体を動かして、あくまで心拍や血流を少し上げるための軽い運動としてやるのがちょうどいいのではと思います。つまりこれを動的ストレッチに持っていかないってことです。

投稿: アスラー | 2013.09.24 23:33

2012年の年初から起床時に手指が曲がらなくなりました。最初右側だけだったのでリウマチ疑いでMRI検査、その疑いは晴れましたが、担当医から筋弛緩剤1月分処方されて、きっちり服用しました。しかし全く改善されないので、「先生、これって軽い抗欝剤じゃないんですか? 全然効きません」というとそれ以上処方されず、経過観察になりました。 そのうち両方の指が起床から30分ほどは全く曲がらず、ドアノブが片手で握れなくて両手をぱあにして回していました。夏が過ぎ、昨年の10月頃からでしょうか、どうせ6時過ぎには起床するので、30分ほどは使い物にならない両手を温めようとNHK TVに合わせて朝の体操を始めました。するとお正月を過ぎた頃から起床時の何ともいえない体のつらさが軽減してきました。アイフォンにNHKラジオを入れて12時と3時の体操を職場でもできるだけするようにしたところ、1年を経て起床時の手指曲がらない問題は解消しました。また起床時の体が重くてどうしようもないつらさもいつしかなくなっていました。

投稿: September | 2013.09.26 12:30

体柔らかくないと
空手出来ないですよ

投稿: 名無し | 2014.03.25 00:41

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