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2013.09.06

[書評]10のパワー 週一回のゆっくりフィットネス革命(アダム・ジッカーマン)

 筋トレ本をいろいろ読んで、それなりに試している。今回は「10のパワー 週一回のゆっくりフィットネス革命(Power of 10: The Once - a - Week Slow Motion Fitness Revolution)」(参照・Kindle)という本。Kindleで英書。表題は試訳。
 たぶん、日本語翻訳はないんじゃないだろうか。実践的な筋トレ本なので、英語はそれほど難しくない。

cover
Power of 10
 内容はというと、いわゆるスロトレ。「いわゆる」と付けたのは、日本のスロトレだと、たとえばダンベルの上げに4秒と下ろしに4秒くらいだが、この本だと10秒。表題の「Power of 10」は通常は「10乗」という意味だが、ここでは、「10秒のスロトレで力を付ける」という洒落になっている。
 10秒ほどのスロトレは、スーパースローと分類されているらしい。本書にも言及があるが、考案したのは、ケン・ハチンズという人。彼はそのメソッドにSuperSlowと名前を付けて商標化している。さらに本書の受け売りだと、このタイプの筋トレを考案したもう一人が、筋トレ用機械・ノーチラスマシンの考案者アーサー・ジョーンズとのこと。合わせて、彼は「高強度運動(HIT)」というのも考案した。その定義だが、高い強度で筋不全になるまで筋トレして終わるということらしい。
 「らしい」というのは正確な定義がよくわからないからだ。というのも、「高強度運動」という言葉だけ取り上げると、酸素摂取量(VO2)で定義されることもあるからだ。こちらの場合は、ジョギングとか有酸素運動の概念で、筋トレのような無酸素運動ではない。
 いずれにせよ、この手のスーパースロー系のトレーニングの場合、ゆっくりと筋トレを行い、もう力が出ないという地点で終わり、ということのようだ。本書「10のパワー」でもそんな感じになっている。
 加えて、スローというわりには、セットでやらないので、基本12分から20分くらいとか短時間で終わる。しかも、週一の筋トレでいいらしい。そのあとは筋肉を休めておきなさいということだ。
 それで効くのか? 疑問に思ってやってみると、通常の「IRM70%で10回繰り返し3セット」という、いわゆる筋トレよりも効く感じはする。ということで、すでに何回か試してみた。
 やってみて、意外に抵抗があったのは、スーパースローよりも、筋トレは週一でいいというあたり。いわゆる筋トレ本だと、超回復は二、三日ということなので、そんなに休んでいていいのかなと逆に不安になった。現状の自分だと4日開けると、なんか不安になる。
 実際のところ、このあたりのトレーニング周期だが、本書もよく読むと、初心者は週二でよいともある。初心者の場合、筋肉がまだ十分に発達してないので、ちゃんとした負荷がかからないからではないかと思う。
 その他、この本の内容だが、疲労回復の期間に触れたが、これに食事の原則が筋トレに加わって、「三つの柱」が重要としている。とはいえ、食事法については、以前ライフ先生の筋トレ本にあったのとほとんど同じ内容なので、独自性はあまりない。
 本書のメソッドを試してみたと言ったが、最初読んだときは、なんかうさんくさいなこれ、という印象が強かったし、エアロビック運動(カーディオ)は不要というあたりも、そうかなという疑問は残った。他の本も読んでみたいとは思った。
cover
Body by Science
 そこで、この本の関連でお勧めされた「科学による身体 一週間に12分で効果の出る科学的プログラム(Body by Science : A Research Based Program to Get the Results You Want in 12 Minutes a Week)」(参照・Kindle)というのも読んでみた。まあ、表題からして、これもうさん臭いぞいう感じはした。が、いちおうそれなりに、主張のそれぞれに典拠がついていた。それでもリサーチベースというわりには、リサーチよりも、普通に医学書のコピペ的な内容が多く、クエン酸回路の説明とか科学的に間違っているわけでもないのだけど、いちいちそんな話は書かなくてもいいよのがこってり書いてあって、読みづらい。
 こちらの本の内容も、お勧めで出て来たことでも予想していたが、基本スーパースロートレーニングだった。その意味で、「10の力」と基本は同じ。ただ、「10の力」のようにかっちりとしたメソッドかはしてなく、筋トレプログラムにも幅をもたせている。
 というわけで、「科学による身体」を読んでから、再び、「10の力」に戻ると、当初読んだときの、いかがわしさよりも、筋トレの指導者がいいそうな実践的な指導が多いという印象に変わった。細かいところで経験的な原則とかも出て来て、意外とそのあたりがためになる。
 ところで、スーパースロー系の主張だと、有酸素運動は要らないとのことで、「科学による身体」などではいかにそれが効果がないかという研究が取り上げられているが、個別に見るとけっこう短期間の調査が多く、公平な評価になっているとは思えないし、実際、有酸素運動をすると、それなりに身体機能は改善する。ということで、自分のワークアウトでは筋トレだけというのはしないことにした。
 あと、核心部分であるはず内容も、疑問は残っている。二書それぞれ、筋不全を重視しているのだが、それが間違いとも言えないにせよ、筋肉の生理でいえば、スローな動きでトレーニング効果が出るのは、動きが厳密になるというよりも、力を加え続けている間、加圧トレーニング的な効果、つまり、化学的な刺激が生じているのだろうと思う。
 言い忘れたが、高強度運動というと、いかにも「高い強度」という印象があるが、スーパースローをやってみると、IRM40%くらいでも、がっつり筋肉に来る。一度にかける負荷は小さい。で、負荷が小さいということは、身体を壊しづらいということでもある。スジとか痛めにくい。
 「10の力」ではそのあたりの配慮もあって、なるほどなあと思った。ついでにいうと、若い時にマラソンとかしていると後年、足を痛めるよとの指摘もあった。私も、エリプティカルマシンという、有酸素運動の機械を使っていて思うのだが、地面とかトレッドミルだとランニング時に足に衝撃の負担かけているなというのがわかるようになる。走る系のアスリートだと、そういう負担に耐えるのも訓練のうちだろうが、私のように50歳過ぎた人間は向かないかもしれないような気がしている。
 話がだらだらとしてしまったが、マシンを使った筋トレを開始してだいたい3か月経った。結果はどうかというと、関連書籍にもあるように、その程度の期間ではさしたる効果は出ない。
 もともと肥満でもないし、メタボ腹でもないので、数値的にも効果は出にくいが、もうちょっとでBMIは20を切れそうだし、体脂肪は14%を切れそうな線は見えてきている。ただ、3か月やった実感からすると、意外とその線って遠いんだろうなとも思う。あと、腕にちょっと筋肉はついてきた感じはするし、ふくらはぎとかは運慶作仁王像みたいに割れている。大胸筋ぴくぴくとかも少しできるようになった。だからどうだというと、別にどうということでもないのだけど。
 

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コメント

日常的に骨に対する負荷がないと、筋肉はつき難いんじゃないかな。座ってる時間が長い、片足にしっかり体重が乗る歩く時間が少ない。あと、体重が軽いも、骨に負荷がかからない。その上で、重いもので、さらに骨に負荷をかけると、栄養面とプラスされて筋肉になる予感。ちなみに、骨への負荷が少ないまま60才をすぎると、歯を良く磨いていても、歯が抜けていく予感もある。

やっと、夜涼しくなってきたから、また、たんぱく質の量を少し増やしだした。どうなるだろうか。あと、冬前ぐらいからは、脂質を少し増やすつもりでいる。結局、トータルカロリーがオーバーしていなければ、内臓への負担はないとみたけど。オーバーしていれば、糖質なんかは、すい臓にしっかり負担はかかるわけだし。

投稿: | 2013.09.08 16:10

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