« 意外に知られていない米語発音・表現の現実そしてTPing | トップページ | シリア情勢、そのアイロニカルな現状 »

2013.06.12

このところの世界情勢など、だらっと呟いてみますね

 気分のせいもあるがあまり政治・経済や国際情勢のことをブログに書かなくなったような気がする。ツイッターではそのときおりのニュースや思いを発言しているけど、もう一つ踏み込んで文章を起こすとなると難しいなというのがある。でもま、そのあたりを思いつくままに少しブログにメモ書きしておこうかな。
 まず国内だが、安倍政権の現状はまずまずではないかと評価している。アベノミクス第三の矢には苦笑したが、しかたがない面もあるのだろう。あまり報道されていないようだが、安倍総理の活動時間(労働時間)は近年の総理になかでは長いらしく、難病を抱えているので無理はされないほうがよいのではないかと思えてならない。難病抱えた人生はつらいもんですよ。
 国内経済については、株価の乱高下があって、ここぞとばかりに面白い批判が出てくるが、概ね予想外のことはない。現状どういう状態にあり、今後はどうなるかについては、今週の日本版ニューズウィーク(参照)に寄稿しているピーター・タスカの「アベノミクス、始まりの終わり」を読むとすっきりとわかる。関心ある人は書店で立ち読みされたらよいのではないか。
 国際的な話題としては、英ガーディアン紙と米ワシントン・ポスト紙がスクープした話題だが、米政府が国家安全保障局(NSA)を使って個人情報を監視していることが沸騰している。噂話は以前からあり、上院で二月以降追求もされていたのだが、明確な形で突きつけられたことになる。さてオバマ政権はどうなるのかという点が興味深いには興味深いが、おそらく違法性はなく、では、監視をどう規制するかというと具体論になると難しいだろう。
 スクープの元になったのは、コンサルティング会社の契約社員としてNSAハワイ支部に4年勤務したセキュリティー担当者エドワード・スノーデン(Edward Snowden)で、AFP記事によると、(参照)「年俸20万ドル(約2000万円)とガールフレンド、順調なキャリア、家族に囲まれた「快適な生活」」を捨ててまで、「市民の名の下で何が行われ、また市民に対して何が行われているのかを公に知らせたいというのが、私の唯一の動機だ」と啖呵を切ったとのこと。そのあたりで、ネット(国外)での反応を見ているとすでに英雄視されている。
 AFP記事ではスノーデンをこう伝えている。


 米ノースカロライナ(North Carolina)州エリザベスシティー(Elizabeth City)で育ったスノーデン氏は、後にNSA本部のあるメリーランド(Maryland)州へ引っ越し、地元のコミュニティーカレッジでコンピューターを専攻した。成績は平凡で、高校の卒業資格に相当する単位は取得したものの卒業はしなかった。2003年に米軍に入隊し、特殊部隊で訓練を受けたが、訓練中の事故で両足を骨折し除隊した。
 NSAに関連する最初の仕事は、メリーランド大学(University of Maryland)構内にあるNSAの秘密施設の警備員で、その後、CIAで情報セキュリティー関連業務に従事。情報要員となる正式資格は欠いていたが、優れたIT技術によって昇格し、07年からはスイス・ジュネーブ(Geneva)にCIA要員として外交官資格で駐在する地位を与えられた。09年に民間で働くためCIAを離職。民間請負業者を通じ、在日米軍基地にあるNSAの施設で任務に就いた。

 形の上では、中卒ということであり、にも関わらず「すーぱーはかー」というのだから、「オレは中卒だ」とぶいぶい語る巨漢・中年ブロガー(娘二人と美人嫁あり)を連想しちゃうが(ちなみに弾子飼さんのことね、ちゃかしてごめんね)、スノーデンは29歳。イケダヤハト、27歳に近い。
 というか、そのあたりで、あああ、ってちょっと思うものがあるんだが、というあたりで、昨日のニューヨークタイムズのデイヴィッド・ブルックスのコラムがちょっと気になっていた(参照)。
 結論から言うと、『人生の科学: 「無意識」があなたの一生を決める』(参照)を書いたブルックスのことだから、こういうコラムになるしかないだろうなというのあるんだけど、ようするに、スノーデンには社会性がなく、それで米国の社会的な絆を壊してしまったという話だ。
 どこの保守ですか?という印象だが、ニューヨークタイムズってこういう保守性があるし、しかもリベラルという点では今回のガーディアンに比べるとウィキリークスでもそうだったが、権力にへたれるところがある。オバマ政権のダメさを今一つ押し切れずに、シリア問題をぐちゃぐちゃにしちゃうところもあるんだが、って、なんだか悪口みたいだが、対政府的にはワシントンポストのほうがきちんとリベラルじゃんということも多い。ま、でも、ブルックスがニューヨークタイムズの立場を代表しているわけでもないことは、ワシントンポストをクラウトハマーが代表しているわけでもないのと同じだが、と、無駄話になったちゃったな。
 ブルックスのコラムの出だしがすでに、日本のネットなら炎上もの。意訳をそえときます。

From what we know so far, Edward Snowden appears to be the ultimate unmediated man. Though obviously terrifically bright, he could not successfully work his way through the institution of high school. Then he failed to navigate his way through community college.

現状私たちが知る限りで言うなら、エドワード・スノーデンは社会と折り合っていくことができないことこの上ない人だ。恐ろしくほどの切れ者だとしても、高校をまともに卒業できない。職能学校でも落ちこぼれた。



Though thoughtful, morally engaged and deeply committed to his beliefs, he appears to be a product of one of the more unfortunate trends of the age: the atomization of society, the loosening of social bonds, the apparently growing share of young men in their 20s who are living technological existences in the fuzzy land between their childhood institutions and adult family commitments.

思慮深く、自分の信念に忠実であっても、彼は、この時代の不幸な潮流が生み出した人物のようだ。不幸というのは、人々がバラバラな社会のことだ。社会的な絆が失われている。現在増加しつつあるように見える彼ら20代は、幼児期の環境から成人後の社会参加でも曖昧な位置に置かれ、技術優先の生活を送っている。


 このあと、日本ならさらに炎上もんの、今時の若い者へのお説教が続くのだが、割愛。
 ブルックスのお説教は、スノーデンの正義感は認めても、じゃあ、我々の社会の絆はどうするねん、という、まあ、つまらないといえばつまらないオチで終わるのだが、実際のところ、今回の事態で、ではNSAは今後どうするのかというと、未来像がよく見えない。
 こうしたビッグブラザー政治への一種のごまかし、というか、殺人ロボットでばこばこ人を殺しちゃうとか、オバマ政権ってこんなのばっかりなんだけど、ではどうするのかという落としどころは見えない。というか、前回のブッシュ・ジュニアを正義感で叩きまくった人々のツケみたいな事態になってくる。
 ブッシュはアホだアホだと言われてきたけど、怜悧なオバマさんでないと正常に維持できない強権なんていうものは怖すぎるではないかというのが、本来のリベラルの感性だと思うのだけど、ね。
 なんか、この話題だけでエントリ書いたほうがよかったかな。次。
 欧州の水害はかなり深刻。経済的にもきつくなるだろうな。うーむ、言葉がないです。次。
 トルコ暴動だが、これ、NHKを見ているとオリンピック招致の話題を出しているときは事実上ずっと隠蔽していていて、その話題が切り替わったら、どどっと出してきたあたり、なんか日本のメディアって笑えるなあという感じだったが、さて、この暴動をどう見ますか。ジャーナリストの田中龍作さんはこうツイートしていた。




 現地から報道されているのは、さすがなあと思うが、遠巻きに見ていると、エルドアン首相の地盤は全然揺らいでないし、暴動は局所に限定されてるので、これで「人々の意思が世論」という動向はなさそう。
 では早晩沈静化するかというと、トルコはもうけっこう世俗化しちゃったので、エルドアンがなんとか穏健なイスラム文化に引き戻そうとしても、都市部ではもう無理。事態が政権打倒に結びつくことはなさそうだが、亀裂は残るだろう。
 他、気になっている話題は、ナイル川の水源問題。これ、日本では報道ないなあと思ったら、AFPに「エチオピアへの「妨害工作」、エジプト政治家らがテレビ中継知らずに議論」(参照)があった。
 しかし、これもAFPかあという感じ。AFPくらいしか日本語で読めるまともな海外情報ってないのが現状なんだよなあ。
 ハフポストも頑張って日本版を作るんじゃなくて、本家をそのまま和訳しているだけで、けっこう日本に有益なんだけどなあとか思う。
 てなところで。お昼過ぎちゃった。松屋で夏野菜カレー喰いに行こうっと。
 
 

|

« 意外に知られていない米語発音・表現の現実そしてTPing | トップページ | シリア情勢、そのアイロニカルな現状 »

「時事」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: このところの世界情勢など、だらっと呟いてみますね:

» 米検閲システム「プリズム」の暴露問題-落とし所が見つからない問題 [godmotherの料理レシピ日記]
 「アメリカ政府が米情報機関の国家安全保障局(NSA)を使ってネット上の個人情報にアクセスしている」ー先週、このような趣旨で、英ガーディアン紙と米ワシントン・ポスト紙が報じた時は、同社らのスクープかと... [続きを読む]

受信: 2013.06.13 06:13

« 意外に知られていない米語発音・表現の現実そしてTPing | トップページ | シリア情勢、そのアイロニカルな現状 »