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2013.05.18

日本は人種差別の少ない社会を構成しているという調査結果

 15日だったがワシントンポストに、人種差別の度合いを世界地図に表示した記事が掲載され、話題になっていた。「世界でもっとも人種的な許容度の高い国と低い国を示した興味深い地図」(参照)という記事だ。読んだ人が一応に、おやっと思うらしく、タブロイド紙のメールは「君はびっくりするよ」とサブタイトルを付けていた(参照)。
 びっくりするだろうか。一目見ると、びっくりするのではないか。こんな感じだ。青色と赤色の二極からグラデーションになっていて、青色が濃いほど人種差別は少ない社会であり、赤色が濃いほど人種差別が多い社会という色分けである。

 誰もが自国を見る。日本はどうかなと見ると、基本、青い。つまり、人種差別の少ない社会だというのだ。
 日本の西に赤色の国があるなと見ると、韓国である。中国は中間的。台湾も青色国で日本より人種差別が少ない。フィリピンも赤色になっている。このあたりで、ちょっと誰もが首をかしげる。
 欧州はどうかと見ると、英国が人種差別の少ない社会を持ち、フランスが韓国と同じくらい人種差別の多い社会となっている。
 全体で見ると、インドが真っ赤なのにも驚く。
 なんなのこれ? と、誰もが思う。苦笑する人もいる。なので、話題になった。
 どういう基準で人種差別が少ない社会と見ているかが気になる。どうか。
 これは色の凡例にもあるが、「ご近所に別の人種の人がいてもかまわないですか?」という質問に対する回答を集計したものだ。青色国では、「別の人種の人が近所で暮らしても別にかまいませんよ」という回答者が多い国で、赤色国では、「近所に別の人種の人がいるのはいやだな」という回答者が多い国だ。
 疑問が起きる。二つ。ご近所の異人種生活を許容することが人種差別の過多の判定基準になるのか。また、その回答をそのまま正直に受け取っていいのか。
 最初の疑問については、むしろ、そういう風に問いかけたほうが生活実感に沿っているのではないかと考えたのが今回の調査者たちの創案だった。
 二つ目の疑問、回答を真に受けていいのか。規範性を共有している国家の国民、つまり、人種差別はいけないというのを建前にしている国家の国民と、正直に語っただけという国民の差かもしれない。どう考えたらよいか。
 この疑問は該当のワシントンポストの記事でもいろいろ言及され、さらに納まりがつかずさらに考察の記事(参照)まで書かれた。こうした議論が気になる人はオリジナルを参照するとよいだろう。
 私の考えでは、概ねこの地図の色分けで受け止めていいように思った。公的に問われたときその社会の市民が許容すると答える以上のことを求めるのは現実には難しいからだし、その規範性はそれなりに許容に沿っていると思われるからだ。
 というわけで、それなりにこの色分けの意義を認めたうえで、ではこれはどういうことなんだろうという考察が元の記事で展開されている。ざっくり簡単にまとめてみる。
 まず、ラテン系の国は人種の許容度が高い。またコモンウェルス(大英帝国の名残)でも許容度が高い。例外はヴェネズエラだが、ナショナリズムを高揚した反動だろう。
 他人種への許容度が低い国の理由は意外とよくわからない。インドや香港、ヨルダンなどだ。
 欧州はいろいろだが、フランスの許容度が低いのは注目される。中東は概ね許容度が低い。
 韓国の許容度の低さは異例だ。一般的に経済が発展すると他人種に許容になるものだが韓国は例外である。研究者は、韓国の国家血統主義が特異なため(racial-national identity as unique)としている。また、韓国への東南アジアからの流入が多いことと、日本と対立しつづけていることが挙げられている。
 パキスタンの許容度の高さは異例だ。韓国とは逆に経済の進展が低いのに許容度が高い。理由の考察は含まれていない。
 以上といったところ。概ね、歴史や国家主義の背景が多いように思える。
 いずれにせよ、日本は日本のネットで騒がれているほど、社会学的な調査の一例からは人種差別国としては目立っていない。普通に健全に発展した先進国のように見える。
 私の生活実感からしてもそう思う。
 先日連休のおりいろいろ出かけた際、中国語や韓国語、タイ語、フィリピン語などの会話を聞くことあったが、以前と比べると、おやっと気がつくと、耳に入るくらいだった。それほど目立たないのである。おそらく日本に暮らしているこれらの人々は、行動規範としては日本人と同じだからだろう。日本人のように暮らすことに慣れたのだろう。
 
 

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コメント

韓国のバラエティー番組で、タレントと外人労働者たちが旅行するというのが面白かった。とくに、最初に韓国人の社長が何人もでてきたのだけど、いい人のように感じられたし、それは、社長自身が、海外で肉体労働者として働いて、その後、会社を起こしているからだと思うけどね。苦労をわかちあっているみたいで。

結局、都市経済をささえるために、韓国人がしたくない仕事が増える一方で、また、韓国人を雇用していてはなりたたないのだろうね。ま、雇う側はできる限り親身になってせっするけど、現実は賃金格差があるだろうし、その安い値段では韓国人は働けないだろうしって、問題にもなっていそうだね。

ま、日本が移民を受け入れるなんてやったら、突然、韓国以上に人種差別しそうだけどねー。でも、ま、ほんと、外国人が多くなっているよねー。たぶん、都内じゃなくて、周辺に広がるように増えているんだろうけど。で、一番、よくわかるのは、一人で歩いていない。かならず仲間と休日は歩いている。日本人は、平日はバラバラに歩いていて、休日の繁華街なら家族とあるいてはいるけど、あと、若い人たちは、恋人同士みたいなのも少し増えだしたかなぁ。ただ、ジジーは目立つ、せめて、なんかせっせと買えよ、笑。

投稿: | 2013.05.18 16:42

素人の浅知恵ですけど、フランスは前大統領サルコジ氏の政策の影響がまだ残っているから、とか・・・。

投稿:   | 2013.05.18 20:06

人種によるって回答が大半の人が本音だと思うんだが
それって要は人種差別意識が高いってことだなー

投稿: | 2013.05.18 20:36

韓国人や中国人も、普通の日本人が暮らしてるような地域では、ゴミのポイ捨てや痰吐きなんかもしないね。

投稿: | 2013.05.18 22:01

>「公的に問われたときその社会の市民が許容すると答える以上のことを求めるのは現実には難しいからだし、その規範性はそれなりに許容に沿っていると思われるからだ。」

各国の独立時、その国の国民が許容するか否かに係わりなく他民族国家を選択せざるを得なかった例は多々存在します。(例えば北アイルランド・バスク・クルドなど)

この地図に対して一定の評価はしたいとは思いますが、しかし、各国それぞれに事情、特に血統主義と出生地主義、または移民を受け入れているか否かを考えずに色分けするのは問題だと思います。この数字から国ごとの人種差別の程度をスケール化するのは意味がありません。

例として、finalventさんの感じた点に対して国ごとの事情を指摘したいと思います。

a.韓国は極端な血統主義です。当然としか言い様がありません。
b.パキスタンの場合。実はパキスタンは西アジアで唯一「出生地主義」を国民の要件としています。
これは、パキスタンという国が、WW2後のインド独立時に地元に住んでいた人間+インド全土から逃れてきたイスラム教徒によって成立したためです。
c.逆の意味で興味深いのがインドです。インドは多民族国家のように見えて実際には「インド人」としてのナショナルアイデンティティは非常に強固です。
d.その他に目立つのが、他地域に比べ(てはいけないとも思うのですが)て、アジア圏、特にASEAN諸国の数字が低いのに注意。個人的な感想としてはアジア血統主義+家制度がこの数字に表れていると思います。

投稿: F.Nakajima | 2013.05.19 13:04

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