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2013.04.01

北朝鮮が最大級の軍事機密を公開した

 北朝鮮が米国を標的とした攻撃態勢に入るなか、その最大の軍事機密が、威嚇的な意図もあってか、国際的に公開された。その軍事的な意味合いについて簡単に考察を加えておきたい。まず状況の整理をしておこう。
 国内でもすでに一昨日のNHK「北朝鮮 「米攻撃できる状態で待機指示」]
参照)で報道されているが、米軍が韓国軍との合同軍事演習でB2ステルス爆撃機を投入したことを受け、北朝鮮では3月29日未明、朝鮮人民軍の作戦会議が緊急招集された。北朝鮮の国営通信によると、会議で金正恩第一書記は「米国をミサイルで攻撃できる状態で待機するよう指示した」。
 報道で注目すべき点は、通常、軍事機密と見られる具体的な敵国への攻撃の手法までもが公開されたことだ。明白に米国本土が目標となっている。


 この中でキム第1書記は、アメリカ本土と、ハワイ、グアムなどの太平洋地域や韓国にあるアメリカ軍基地を、「いつでもミサイルで攻撃できる状態で待機するよう指示した」として、攻撃に関する準備計画に署名したということです。国営通信が公開した写真の1枚には、弾道ミサイルが飛行するルートを示したとみられる地図が写っており、そこには「アメリカ本土攻撃計画」と書かれています。
 北朝鮮が、軍の最高司令部で開いた作戦会議の様子を明らかにしたのはこれが初めてとみられ、アメリカを重ねて威嚇するねらいがありそうです。

 29日未明の朝鮮人民軍の作戦会議の写真については、共同通信「戦力情報、誤って公開? 北朝鮮、正恩氏の背景に」(参照)でも取り上げられている。
 朝鮮人民軍の作戦会議の写真からは、米国本土を狙う大陸間弾道ミサイルによる攻撃ルートを示す地図に加え、朝鮮人民軍の戦力一覧が見て取れる。
 この件について韓国では、朝鮮中央通信が写真配信の際、チェックのミスで秘密情報が公開されたのか、何らかの意図を持って公表されたのか、あるいは発表を三日急いだのか、といった各種の議論が展開されている。


29日未明、朝鮮人民軍作戦会議を緊急招集した金正恩第一書記(中央)。背景には米国本土を狙う大陸間弾道ミサイルによる攻撃ルートが写っている(朝鮮中央通信)

 NHK報道「北朝鮮 作戦会議の公開は心理戦か」(参照)では、韓国国防省は「ミサイル発射の動きがあるかどうか集中的に監視している」としつつも、北朝鮮の作戦会議写真の公開は心理戦の側面が強いという見方を示している。


 韓国国防省のキム・ミンソク報道官は、29日、記者会見で、キム第1書記が開いたという緊急の作戦会議について、北朝鮮が今月26日に「戦略ロケット部隊」などを「第1号戦闘勤務態勢」に置くと発表したことに続く措置だという見方を示しました。
 そして「アメリカの情報当局と連携して、北朝鮮でスカッド、ノドン、ムスダンなどの中長距離ミサイルが発射される動きがあるかどうか集中的に監視している」と述べ、警戒を強めていることを明らかにしました。
 そのうえで、報道官は「通常、軍の作戦は秘密にするのが原則であり、作戦を指示したと公開するのは心理戦の側面がかなり強いだろう」と指摘しました。

 北朝鮮による心理戦が含まれているとの見方は妥当だろう。
 しかしそのことと、すでに公開されている軍事情報の評価とは異なるものであり、国家の防衛上、公開された軍事情報の解明は必要になる。米国ではニューヨーカー誌などもこの問題の全体をまとめている(参照)。
 特に、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルの攻撃目的とされた米国では、各種報道で具体的に、北朝鮮からのミサイル攻撃ルートの地図を元にして防衛議論が展開されている。別の共同記事「北ミサイル、攻撃目標はテキサスか」(参照)は、北朝鮮が米国を狙う複数の攻撃ルートについての話題を伝えている。

 北朝鮮の攻撃目標はテキサスか-。米メディアは29日、朝鮮人民軍の作戦会議とされる写真の分析から、北朝鮮が米南部テキサス州を攻撃の標的の一つにしているのではないかとの臆測を伝えた。
 朝鮮中央通信が同日配信した写真の背景に「米本土攻撃計画」とされた図があり、これに米国の地図を重ねると、首都ワシントンなどに加え、テキサス州の州都オースティン付近を狙っているように見えるという。

 該当の情報はすでに公開されているので、ブログでも議論が可能である。具体的に、北朝鮮が米国本土を狙う大陸間弾道ミサイルの攻撃ルートについて検討してみよう。まず該当部分を拡大してみよう。

 一見すると問題のない直線的な飛行ルートに思えるかもしれないが、この直線ルートに北朝鮮軍部の最大の秘密情報が隠されていると言ってよい。
 そう推測できるのは、北朝鮮以外に大陸間弾道ミサイルを保有する国において通常のミサイルであれば、最短距離を直進するにも関わらず、北朝鮮のミサイルには明らかな独自性が見て取れるからである。仮に通常の大陸間弾道ミサイルが北朝鮮から米国に向けて発射された場合を想定すると、地球は球体であるため、以下のように北極圏に近いルートを通る。

 この最短距離となる直線ルートを日常よく利用されるメルカトル図法のような平面地図で表現すると、次のように上向きの大きな弧を描くことになる。

 球体上の直線は、平面的に表現した世界地図上では弧を描くことになるのだが、北朝鮮作戦会議で公開された地図上の大陸間弾道ミサイルのルートを見るとわかるように、垂直線で描かれ、上向きの円弧を描く最短ルートは通っていないことがわかる。直線のルートを示す写真を再掲しよう。

 北朝鮮が公開している大陸間弾道ミサイルのルートを取るためには、ミサイルは最短距離のルートから南の方向に歪んだ円弧となって迂回して飛行しなければならない。
 つまり、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルには、メルカトル図法のような平面に表現された世界地図上で直線に飛ぶように、南向きの円弧による迂回ルートを取る、特殊な飛行補正機能が装備されているのだろう。
 ここで疑問が起きる。なぜ、北朝鮮軍部はそこまでして、丸い地球を平板な世界と見なしているのだろうか。世界をフラットにしたいという願いでもを持っているからだろうか。共産主義による公平理念の世界地図上表現だろうか。
 米国内でも、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルによる奇っ怪な迂回ルートについて、いくつかの議論がある。ごく一部ではあるが、「もしかして北朝鮮軍部は、地球が丸いという事実をそもそも受け付けないのではないか」という極論もある(参照)。
 北朝鮮のミサイルは、大平洋地域の米軍基地も目標にしており、当然、韓国や日本もそこに加わる。北朝鮮が日本内の米軍基地を狙う場合は、近隣国でもあるので、特殊技術による迂回飛行装置が装備されているかについては、現状ではわからないし、これまでの軍事演習の実態からも想定できない。おそらく日本国内の米軍基地がミサイルで狙われる場合は、円弧の補正が狂い、あらぬ所に着弾する可能性もあるだろう。
 最後に、特殊な迂回ルートを取って飛行する北朝鮮のミサイル攻撃について、ブログを通して日本市民の些細な願いを付け加えたい。

 北朝鮮の世界観は、もっと丸くなってほしい。四角四面に世界を捉えることはやめてもらいたい。
 
 

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コメント

そういえば エイプリルフールでしたね 今日は。

投稿: kansatsusha | 2013.04.01 21:30

エイプリル・フールの話題かとも思いましたがけっこう現実的でした。対向して走り合い、先に逃げた方が負けだというチキンゲームの必勝法はガイキチを装うことだとか。例えば、ハンドルを引き抜いて目を吊り上げたらみんなすぐに下ります。と言うくらいに、普通に教育を受けていたら誰でも分かることを阻却している振りは仰るように将にプリテンドと言うべきでしょう。しかし、こういうことが何万分の1の確率で実際に起こってしまうんでしょうね。皆が皆、final弁当さんのようにこの世界を見通している訳ではありませんから。ども。

投稿: たまむし | 2013.04.02 00:08

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