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2013.04.06

再びフィナンシャルタイムズによる黒田日銀総裁評価とアベノミクスの道標

 2日に「フィナンシャルタイムズによる黒田日銀総裁評価とアベノミクスの道標」(参照)のエントリーを書いた。3月29日付けのフィナンシャルタイムズ社説から日銀の動向の指針が簡素に表現されていたからである。実際、その後の日銀の動向を見ていると、ほぼフィナンシャルタイムズ社説の指摘通りになった。
 よってフィナンシャルタイムズとしてはさらに加えるべきこともないだろうと見ていたら、4日付けでまた同じ話題「Japan embraces monetary change(日本は金融政策変更を容認した)」(参照)が出て、今回の日銀決定の評価とさらに現状の課題をまとめていた。
 とりわけ新知見といったものはないが、国内報道を見ているよりも、すっきりとまとまっているのでこれも簡単に紹介しておきたい。私の見落としかもしれないが、前回のフィナンシャルタイムズ社説の邦訳を見かけなかった。これも邦訳されない可能性があるかもしれないという懸念もある。
 まず、フィナンシャルタイムズは黒田日銀総裁が率いる日銀の決定を支持している、というか、前回同様、それ以外に道はないでしょうということだ。


True, even this large-scale stimulus may have no effect, or worse, have adverse consequences. The truth is that there was no alternative.

なるほど、この大規模な刺激さえ効果がまったくないか、より悪化して、逆効果を生むかもしれない。だが、選択肢がまったくなかったことも真実なのだ。


 黒田日銀の決定は、やりすぎたのだろうか。フィナンシャルタイムズはそうでもないと見ている。

Mr Kuroda could have been even bolder, for example targeting foreign assets.

黒田氏は、外債購入なども視野に入れ、もっと大胆でもよかった。


 とはいえ、黒田日銀がもう一段踏み込めなかった理由をフィナンシャルタイムズは二点推測している。

  1. 海外が日銀に円安操作の懸念を持つこと
  2. 新日銀支持がまだ盤石ではないこと

 行政府の側としては、これに歩調を合わせてて、成長戦略を採るべきということもフィナンシャルタイムズは付け加えている。
 目新しい意見ではないが、毎度のフィナンシャルタイムズの主張を確認しておくのもよいだろう。行政府がすべきことして。

This means putting together a credible plan of medium-term fiscal consolidation. Domestic investors have so far purchased the bulk of public debt but there is no guarantee they will continue to do so in the future. The government should also pass structural reforms to boost trend growth. The remedy, which includes raising women’s participation in the workforce and encouraging immigration, has been known for years. Just as with bolder monetary policy, now is the time to act.

行政の役割は、中期財政再建を信用できる計画にまとめることだ。日本国内の投資家はこれまで公債の大半を購入してきたが、彼らが将来にわたりそうし続ける保証はまったくない。成長傾向を推進するために政府は構造改革にも着手すべきだ。対応策は何年も語られてきたように、女性の就労推進や移民の促進が含まれる。大胆な金融政策と同様、行政が行動するのは、今でしょ。


 「Now is the time to act」の意訳にはちょっと洒落を入れていたが、どうもフィナンシャルタイムズの社説子は、案外日本のCMとか見ているんじゃないかな。
 それにしても、「Now is the time to act!」って英語のフレーズ、日本でも流行りそうな感じがするな。

 Now is the time to act!


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