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2013.02.19

[書籍]本を書きました。『考える生き方』(finalvent著)

 冗談みたいなんですが、ええと、本を書きました。『考える生き方』(参照)。アマゾンを見ると、明後日、2月21日に発売となっています。

cover
考える生き方
 自分のところには数日前に見本が来て、「ああ、本になったんだ」と感慨深かったのだけど、いま発売日を確認したら、もう明後日なんだと驚いた次第です。
 内容は、あれです、ネットで嫌われる「自分語り」というやつです。
 なので、ネットでするのもなにかなと本にした……というほどではないのですが、いろいろ考えたのですが、ネットで書くより、本で書いたほうが読んでもらえるような気がしたというのはあります。
 有料プラットフォームcakesで書いている「新しい古典を読む」の書評を続けていても思ったのだけど、cakesもネットではあるけど、有料なので読みたいという人が読むことになります。すると、読む人の数は減ってしまうし、簡単な一言コメントみたいなものも少なくなりますが、その分、深く読まれているという手応えがあり、メディアの違いというものを考えさせられました。
 自分語りをするなら、あまり迷惑にならないように、読みたい人がいたらそこに届けたいという思いが募りました。正直にいうと、その内容のほうを届けたいというのはあります。副題が「空しさを希望に変えるために」となっているけど、そういうあたりです。
 自分語りが嫌われるのは、上から目線というのか、なんかえげつない儲け話や安直な成功への道、これならモテる、みたいなものが多いからではないかなと思います。違うかな。で、私の本はというと、このブログでもいっぱい罵倒コメントをいただくように、私なんて大した人間ではありません。社会的にも成功していません。というか、失敗者です。なので、人生を語ると、つい酔っ払ったおっさんの愚痴というか、負け惜しみみたいな熱が入ってしまいがちで、実際、そうなっちゃたんじゃないかないかという懸念はあります。
 ただ、失敗した人生というか、いろいろ自分なりに頑張ってみたけど、たいしたことなかったなあ、という人生は、ごく普通の人生ではないか、そういう意味で、普通の人生をそれなりに55歳まで過ごした人の思いの、ごく一例みたいな本があってもよいんじゃないかと思いました。
 自分も若い頃、立派な人の本も読んだけど、「この人、ダメで終わったなあ」という爺さんの意見もいろいろ聞いて、意外というか、実際そっちの側の人生を歩んだせいもあり、まあ、参考になることがあったなという思いもありました。
 自分語りで、普通の人が、何が語れるというのでしょう。アレクサンドル・デュマだったか、正確な言葉ではないけど、「人生を振り返ってみると、思い出すのは、結婚した、子どもが生まれた、親が死んだという4つくらいのことだ」というのがあります。それが普通の人の人生だ、というわけでもないでしょうし、おい、それのどこが4つだよ3つじゃないかよ、というのもあるでしょうが、それはさておき、だいたいの人の、成功もしない普通の人が普通に生きても直面する出来事というのがあり、自分が思ったのは、そういうのって成功者というか社会的に華々しい人だとうまく浮かび上がってこないか、浮かんでも妙にドラマチックだったりして、人生の本質的な部分で、なんか違うよなあ、と思ってもいました。実際、自分が書いてみてどうだったかというと、まあ、こんなものになりましたという感じです。
 本であれ、自分語りみたいなものを書こうかと思ったのは、昨年の春ごろだったか、「ああ、今年は55歳になるんだ。一時代前なら定年退職の年だなあ」と思い、「自分の人生なんだったかなあ」と思って、まとめてみたい気がしたのと、10年近くブログ書いてきたけど、そういう部分は自分では書かないできたし、そのわりにジグソーパズルの断片のようには書いてきたので、解答というわけではないけど、ブログでは書かなかったことの側の話をブログの外でまとめて書いてみたい気もしてました。
 「ブログでは書かなかったこと」というタイトルでもよいかなとかも思いましたが、原稿時点で読んだ方から、これって「考える生き方」ですよねということで、この書名になりました。生きるのがつらくて、どうしようもなくて、できたことといえば、考えるくらいなものだし、人間つきつめると、考えることしかできない。まあ、信じるということをしたり、正義を求めて元気になる人もいるみたいなので、それぞれかもしれないけど、自分についていえば、ひたすら考え、学び続けたなという実感はあります。
 表紙が、なかなかすごいです。これ、表紙です。こんなのあり?というものです。デザイナーさんが考えてこうしたもので、自分でも面白いなと思いました。


『考える生き方』(finalvent著)の表紙
これが表紙なんですよ。

 ブロガーで本を書く人も少なくないし、すっかり著作家さんになってしまう人もいます。自分はというと、そういう目論みはないです。少なくとも、現時点ではぐったりして書けない状態ですが、ただ、チャンスとかあったら、書きたいことがないわけでもないので、もしかすると書くかもしれません。cakesの書評ももう少し続けて、ある程度、何かを達成した感じがあるまで続けたいと思っています。ブログを辞めるつもりもありません。まあ、あってもなくてもよいのがブログのいいところです。
 そういえば、自分語りなんて、ネタが自分なんだから、ほいほいと書けるかと思っていたら、全然違いました。自分のことを思い出して書けばいいじゃないかと思っていたら、じりじりと苦痛になってきて、途中、もうだめ、こんな本書けない、と音を上げてしまいました。
 その時点で、本にするという計画が進行していたので、関係されたかたにご迷惑かけたなあ、ごめんなさい状態でした。ちょうどそのころcakesのパーティがあって、それまでほとんど、ブロガーとして人に会うことは避けていたのだけど、まあ、自分を知る人もいないし、こそっと隅っこでネット業界の人の横顔で見てようかなと思ったら、まあ、なんか想定していない人にあって、なんか旧知の間柄みたいな感じで、そういえば、昔パソ通のオフ会ってこんな感じだったかなと思い出し、ま、いろいろあって、気分を新たに執筆再開。
 それもするすると行かなかったけど、なんとか本になりました。書きすぎて削った話もあります。書けばいいってもんじゃないですよね。
 自分なりに思うと、するすると書かなくて良かったとは思っています。
 そんじゃーね。
 
 

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コメント

きのう御著書が届いて、さきほど読みおえました。
Twitterでは感想が書ききれないので、はじめてこちらにコメントさせていただきます。
 
finalventさんの視野の広さ、考察の深さに感銘を受け、どうしたらあのような思考ができるのだろうとつねづね思っていたこともあって、ああ、そうか、と気づくこと、考えさせられること、勉強になったことが多く、読ませていただいてよかったです。(同時に、not for meという感想を抱く人がいる、というのもうなずけました。でも、自分語りのエッセイというものは、本来、そういうものなのかもしれませんね)
 
いろいろ書きたいことはあるのですが、ひとつだけ。finalventさんがご自分の人生をどう考えていらっしゃろうと、わたしからすれば、生物学的にいって、かなり成功した部類なのだろうな、と思います。だって4人のお子さんに恵まれ、ご自分の遺伝子を立派に残していらっしゃるんですから。
 
(わたしはついに子どもに恵まれませんでした。夫との免疫の相性が悪すぎるのが原因で、流産のくり返し。本来、ヒトにはそういう配偶者を避ける本能のようなものが備わっているらしいですが、それが自分には働かなかった。その意味では、生物として敗者なんだろうな、と思います。でも、だからといって、自分の人生に意味がないわけではない、と思いたい。たとえ、このまま業界の隅っこで、だれがやっても同じかもしれない仕事を細々と続けていようと、その仕事すらできなくなろうと)

ともあれ、「考える」ということにおいて、finalventさんはブログやtwitterや御著書で道を示しつづけてくださっていますし、これからも、できるだけ長くそうあってほしいです。

投稿: nanasi90 | 2013.02.24 17:39

nanasi90さんへ。読んでくれてありがとう。ご示唆れていることは自分なりに考えていました。うまく表現できてない部分でもありました。

投稿: finalvent | 2013.02.24 18:22

はじめまして。ブログは常々愛読しておりましたが、ご著書拝読。finalventさんの大学/大学院の少し後輩で、聖書学(ヘブライ語聖書のほう)で学位を取った者です。私より遥かに才能あるfinalventさんが学部で専攻を変え、また結局大学院を離れられた経緯を読み、此岸の巡り合わせの不条理さに思いを馳せました。日本における「聖書学」のありようのしんどさから、結局は私も逃げたことをしみじみ思い返しました。ヘブライ語聖書における言葉遊びは多くの研究がありますが、イエスの言葉のアラム語再構成にもとづくfinalventさんの研究、読んでみたかったです。

投稿: levyyamamori | 2013.02.26 13:47

さすがに先生は、文章が上手だと思いました。

著書を読んで、ますます先生が好きになりました。

子福者なのだから、幸運で幸福な生涯ですよ。

「極東ブログ」の成功の原因と理由は、野心を持たなかったことにあるのかもしれません。

投稿: enneagram | 2013.03.05 07:40

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