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2012.01.21

民主党政権、終わりの風景

 「民主党政権はもう終わりだ」と息荒立てて言うつもりはまったくない。普通に終わっていく風景を、日本の心である、わびさびの情感をもって見守っていくばかりである。見渡せば花も紅葉もなかりけり民主党政権秋の夕暮れ、また、駒とめて袖うちはらふ陰もなし民主党政権雪の夕暮れ。
 昨日、読みようによっては奇妙な報道があった。産経新聞「行政刷新会議廃止へ 新組織設立に向け次期国会で法案提出」(参照)である。表題を見ると、行政刷新会議が廃止されるということのようだ。鳴り物入りのパフォーマンスだった事業仕分けも廃止にされるらしい。


 政府は19日、平成21年の政権交代以降、民主党政権の“金看板”として事業仕分けなどを実施してきた「行政刷新会議」を廃止する方針を固めた。消費税増税に向け、公務員人件費の削減や国有資産の売却など同会議が取り扱わなかったテーマを中心に、行政改革全般に取り組むため組織の見直しが必要と判断した。増税議論の本格化を前に「行政構造改革実行本部」(仮称)を立ち上げ、政府自らが「身を切る」姿勢をアピールする。
 実行本部は首相をトップに関係閣僚らで構成。行政刷新会議を「発展的に解消」(民主党関係者)し、財源捻出効果の少なかった事業仕分けも廃止する。


 行政改革担当相を兼務する岡田克也副総理は会議後の記者会見で「特別会計と独法でできることは精いっぱいやった」と述べた。
 行政刷新会議はこれまで3回事業仕分けを実施したが、昨年12月に民主党内に同調査会が設置されたことで議論の中心が党に移り、存在意義が問われていた。

 ほんと? いやいや、産経新聞一流のフカシ記事でしょう。行政刷新会議ではなく、「行政刷新会議」と括弧を付けているあたりが、格好付けといった洒落である。
 実際はどうかというと、17日付けFNN「民主党の金看板「事業仕分け」が廃止との一部報道 藤村官房長官「事実に反する」」(参照)は岡田副総理による否定の声を伝えていた。

 行政刷新を担当している岡田副総理は午後3時すぎ、「行政刷新会議を廃止するということは、全く考えておりません」と述べた。

 洒落の解説をするのも無粋だが、産経新聞でフカシて産経系のフジの報道でオチを付けたということだろう。
 とはいえ、民主党マニフェストの看板でもあった「行政刷新会議」と「事業仕分け」が実質、ナンセンスに終わったことは否みがたい。

 政権交代の推進力となったマニフェストだが、その中で金看板だったものが「行政刷新会議」、そして「事業仕分け」だった。
 動画投稿サイト「YouTube」にアップロードされている野田首相の映像が、今、大きな話題になっている。

 

 

 この映像について、自民党の谷垣総裁は、「YouTubeを拝見しておりましたら、野田さんが2年半前の(総)選挙で演説しておられました。『マニフェストに書いてあることはやるんだ』と。『書いていないことはやらないんだ』と。それはいったい、どう国民に説明されるんだと」と述べた。
 話題となっている映像は、野田首相が「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは、命懸けで実行する。書いてないことは、やらないんです」と演説しているもの。
 この映像での発言に、みんなの党の渡辺代表も、「今、マニフェストに書いていないことを、平気でやろうとしています。増税法案であります。何寝ぼけたことを言っているんだと言いたいですね」と、17日に批判していた。
 こうした中、政府は20日の閣議で、現在102ある独立行政法人を統廃合するなどして、およそ4割の65法人に減らすなどとした基本方針を決定した。
 しかし、廃止とするのは、大阪の万博公園の管理を行っている日本万国博覧会記念機構など7法人だけ。

 数の上では統廃合が見えないわけではないが、民主党マニフェストにあった「独法・特会予算などから約6・1兆円の財源を捻出」という点で効果が見えなかったことは、岡田副総理も認めざるを得なかった。20日付け毎日新聞「行政刷新会議:歳出削減額示さず 独法、特会改革案了承」(参照)より。

 政府は19日の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)で、特別会計を従来の17から11に減らし、独立行政法人は102から65以下に約4割削減する案を了承した。24日召集の通常国会に関連法案を提出する。ただ、肝心の歳出削減効果は「計るのが難しい」(岡田克也副総理兼行政改革担当相)と示さずじまい。

 ざっくり言って、民主党マニフェストは予想通り(参照)無残な失敗に終わった。
 では、どうするかというあたりが民主党政権終わりの風景の情緒である。
 とっかかりは、「行政改革調査会」である。
 これ、なんだかわかりますか? 私にはわからない。民主党マニフェストにも無かった変な物。わかるのは、これができたのは昨年12月13日だったということ。1か月ほど前にこさえた物。これに政調役員会で当時の岡田克也前幹事長を長に据えた。思えばこの時点で、改造内閣、つ・ま・り、岡田政権の骨格が決められていた。
 改造内閣では、岡田副総理が「行政改革相」と「行政刷新相」を兼務することになった。さて、この二つの違いは何? 15日付け読売新聞記事「行革相と刷新相、政府内からも「違い分からず」」(参照)がこの疑問を扱っていた。

 二つのポストが併存するのは初めてだ。いずれも行政の見直しを担当するため、政府内からも「違いが分からない」との指摘が出ている。
 藤村官房長官は13日の記者会見で、「行政刷新相は内閣府の行政刷新会議の運営を通じて行政刷新を行う。行政改革相は内閣官房で行政の抜本的な見直しを行う」と述べ、二つのポストの違いは所管する組織の違いだと説明した。
 野田首相は消費税増税に向けた行革の徹底を最重要課題に位置付けており、「金看板の行政刷新をおろすわけにもいかず、併存させたのではないか」と見る向きもある。

 読売新聞の読みでは、民主党マニフェストにある「行政刷新会議」の看板を下ろさないための修辞ではないかということだった。
 確かにその流れで事態が進んでいるように見える。テレビ東京「行革強化へ新組織 刷新会議と総務省部局を統合」(参照)より。

 行政改革に取り組む体制を強化するため、政府に新組織を創設する方向で、民主党が調整していることがテレビ東京の取材で判明しました。政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合します。民主党関係者によりますと、党の行政改革調査会の会長だった岡田副総理の指示で、政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合し内閣府に新組織を置く案が、民主党で検討されているということです。総務省の一部局に留まっていた行政評価や監視の権限を強い勧告権を持つ内閣府に格上げすることで、政府全体で行革に取り組む体制を整える方針です。消費税の増税のイメージが先行する野田政権が無駄削減に取り組む姿勢を強調する狙いがあり、早ければ2月中の関連法案の提出を目指します。

 テレビ東京のトバシの可能性はあるが、これまでの流れからは「行政改革調査会の会長だった岡田副総理の指示で、政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合し内閣府に新組織を置く」ということになりそうだ。となれば、冒頭の産経記事はフカシとも言えず、行政刷新会議と事業仕分けはこれで名実ともに終了になる。
 さよなら行政刷新会議だが、これは政権交代後、閣議決定で設置されたものだった。法的な裏付けとしてこれを含む政治主導確立法案が鳩山内閣で提出されたが、鳩山氏の奮迅が第22回参院選挙の結果に結びつき、成立見込みがなくなり、昨年5月の衆議院本会議で撤回された。この時点で行政刷新会議はもうどうしようもない代物になっていた。
 
 

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2012.01.20

米国民の5人に1人は精神疾患者

 米国の米薬物乱用・精神衛生管理庁(Substance Abuse and Mental Health Service Association)が19日、2010年度について米国民の5人に1人は精神疾患経験者だったという報告書を出した(参照)。随分と精神疾患者が多いものだと見ることもできるが、今回の2010年度の調査はその前年の2009年から特段に変化したわけではないので、ニュース性に乏しいと言えないこともない。しかし、英語圏ではそれなりに話題にはなっていた。
 調査は連邦政府機関が対面(ただしパソコンで回答指定)で行ったもので、在宅者また保護施設内居住者6万8500人がランダムで選択された。別の言い方をすると、路上生活者、過酷な任務に就いている軍人、囚人、病人は除外されている。判定には、アメリカ精神医学会のDSM-IVが採用されている。
 調査結果を見て、興味深いのは、年齢構成と性差だった。

 年代別には18歳から25歳までが29.9%ともっとも高く、いわば青年の3人に1人は精神疾患を抱えていると言ってもいいほどだ。26歳から49歳は5人に1人というくらいだが、50歳以上では14.3%と少ない。7人に1人くらいになる。
 2002年から2010年を通して見ると、精神疾患者の外来患者数では全体では7%減少しているが、若者層では増加しているらしい(参照)。ふと連想したのは、レディー・ガガの音楽はこうした層に向けての治療的なメッセージを持っているのではないかということだった。
 性差では、女性が23%で男性16%となっている。女性に精神疾患者が多いとは言える。が、これは精神疾患者の数というより、診断可能な数ではないかという疑念も持った。また、増加率でみると男性が高い。
 深刻な精神疾患者の比率は、5%ということで、これは例年比では増加しているらしい(参照)。行政上の注目はこの深刻な精神疾患者の数だろう。世代で見ると、やはり若者が高く7.7%。対して50代以上では3.2%と少ない。

 人種的な統計もあり、2系以上で9.3%と高く、ネイティブ・アメリカンなどが8.5%、白人が5.2%、ヒスパニックが4.6%、黒人が4.4%、アジア系が2.6%、ネイティブ・ハワイアンなどが1.6%。印象としては、文化的な背景の影響はありそうだ。
 こうした研究は日本の厚労省でもやっているのだろうが、さっとは思いつかない。全体の印象としては、日本だと人口における精神疾患者の問題というのは、いかにも社会の病理から政治の問題という文脈が自動的に形成されがちだが、米国の場合、保険の文脈で税負担の文脈に置かれているようだ。
 
 

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2012.01.19

英語ネイティブがよくする発音の間違い

 英語を母語とするネイティブでも英語の発音で間違いをするものだ。間違いやすい100の例が、AlphaDictionary.com(参照)にある。
 日本人から見て、面白そうなものを拾って、適当に分類して、コメントしてみた。異論もあるかもしれないけど、興味深い例もあるのでは。


他の単語の連想で発音を間違う

× affidavid  ○ affidavit(供述書)
 "affidavit"はカタカナふうに発音すると「アフィデイビット」だが、米人は名前の"David"の連想で「アフィデイビッド」と言いがちになる。

× expecially  ○ especially
 "expect"の連想からの間違い。

× expresso  ○ espresso
 "express"の連想から。

× nuptual  ○ nuptial(結婚式)
 "perpetual"などの影響だろう。

× pronounciation  ○ pronunciation
 "pronoun"から連想した間違い。

× reoccur  ○ recur
 "occur"から連想した間違い。

× volumptuous  ○ voluptuous(肉感的な)
 "sumptuous"(豪華な)の連想か。


英語で発音しづらい音の並び

× Antartic  ○ Antarctic
 カタカナふうに発音すると「アンタークティック」の「ク」を米人は落とすやすいようだ。そのために、"an arc of ants (an ant arc)"「蟻の弧」を想起せよとまで勧めている。

× bidness  ○ business
 ビジネスを「ビドネス」みたいに言う米人がいるらしい。そう間違えるのは、"business"の"i"の音は発音しないから。なお、日本人には「ビジネス」は"busy"と連想して覚える人がいるせいか、「ビジネス」と発音する人がいるし、村上春樹の小説にもそんなのがあった。カタカナ風に書くと「ベズヌス」。

× nucular  ○ nuclear
 この発音間違いはけっこう多いらしい。"nuke"と略すのもそのせいかも。

× fillum  ○ film
 間違いは間違いだが、米人は"lm"の発音が苦手で、"fiwm"のように発音することがある。


発音順の入れ替え

× aks  ○ ask
 よくあるらしい。

× revelant  ○ relevant
 普通によくある言い間違い。


シラブルの間に曖昧母音を挟みたい

× athelete  ○ athlete
 "athlete"は2シラブルだが、3シラブルで言う米人がいるらしい。

× dialate  ○ dilate(拡張)
 この発音間違いが起きる理由は、「ダイ」といった後に米人ネイティブはもう1シラブル曖昧母音が欲しい気がするから。

× fisical  ○ fiscal
 曖昧母音を挟みたくなるらしい。

× masonary  ○ masonry
 これも途中に曖昧母音を入れたくなる例とされている。"missionary"の連想もあるのでは。

× ordinance  ○ ordnance(軍需品)
 途中に曖昧母音を挟みたくなる。

× triathalon  ○ triathlon
 曖昧母音を挟みたくなる例だが、"l"の流音に引かれて曖昧母音が付くのかも。


早口の言い方が定着した

× cannidate  ○ candidate
 これはたぶん口語では普通に"cannidate"と言っている。

× close  ○ clothes
 受験英語的な間違いだが、実際の会話では同じ発音になると思う。

× Febyuary  ○ February
 発音は前者のであっている!

× fedral  ○ federal
 アクセントのない母音は落ちるので実際の口語ではこうなる。

× parlament  ○ parliament
 発音から"i"を略した例なのだが、元ネタでは"i"を発音せよと言っている。ほんとか?

× plute  ○ pollute
 普通に早口から来た間違い。

× wadn't  ○ wasn't
 ろれつの問題。


似た母音に入れ替わる

× chomp at the bit  ○ champ at the bit(落ち着かない)
 間違いというより、これは方言的な発音ではないかな。

× stob(杭)  ○ stub(切り株)
 意味も発音も違う。口語では発音は同じなのでは。


単語を誤解している

× The Caucases  ○ The Caucasus
 「コーカサス家」のような思い込みで複数に聞こえてしまうのでしょう。

× bob wire  ○ barbed wire(有刺鉄線)
 "barbed wire"を勘違いしたもの。だが間違いとはいうものの辞書にも"bob wire"が載りそうな勢い。

× a blessing in the skies  ○ a blessing in disguise(不幸中の幸い)
 駄洒落にみたいになってしまった。

× card shark  ○ cardsharp(トランプ詐欺師)
 英語だと語末の無声音はほとんど消えるので、米人でもこういうふうに聞こえてしまうのではないか。それと、"shark"の連想もあるだろう。

× chester drawers  ○ chest of drawers
 日本人からすると不思議だが、"chester drawers"という表現も定着しつつある。

× doggy dog world  ○ dog-eat-dog world(食うか食われるかの世の中)
 元の意味が失われて別の連想からできた例。

× For all intensive purposes  ○ For all intents and purposes(いかなる点でも)
 若者言葉らしい。

× Laura Norder  ○ law and order
 これはむしろ知っておくべき駄洒落。フィナンシャルタイムズとかにも"Laura Norder"は出てくる。

× take for granite  ○ take for granted
 "granite"(花崗岩)の連想が働くのだろうか。


別の単語と取り違える

× Calvary(磔刑)  ○ cavalry(騎馬隊)
 なんとなく古代の話で似ている印象はある。

× prostrate(平伏する)  ○ prostate(前立腺の)
 "prostrate"が間違いなのではなく、"prostate"の意味で使われるのが間違い。

× silicone  ○ silicon
 間違いというより、別の単語。半導体は"silicon"、偽オッパイは"silicone"。

× suit  ○ suite
 日本人だと"suite"を「スイートルーム」として"sweet"と誤解されがち。


ラテン語・ギリシア語起源の単語は間違いやすい

× diptheria  ○ diphtheria
 phを「フ」と読むことに気がつかないと、"dip"と区切りたくなる。

× excetera  ○ et cetera
 ラテン語から来たとわからないとそう聞こえてしまう。

× foilage  ○ foliage
 ラテン系の外来語は米人には苦手という例か。

× hi-archy  ○ hierarchy
 ギリシア語源の感覚がないとこう聞こえる。

× in parenthesis  ○ in parentheses
 これは単数形と複数形の間違い。「括弧」に入れるのだから、始まりと終わりが必要になるので複数。

× mawv  ○ mauve
 外来語は難しいの例だが、"mawv"だと「モーブ」と発音しそう。

× mannaise  ○ mayonnaise
 外来語の誤解。


アクセント位置の間違い

× elec'toral  ○ e'lectoral
 アクセントを3シラブル目に置くのは間違い。英辞郎の発音例は間違いではないかな。

× mis'chievous  ○ 'mischievous
 "previous"や"devious"の連想らしい。

× res'pite  ○ 'respite(猶予)
 カタカナ風に書くだと「レスピット」


文法の誤解から

× drownd  ○ drown
 過去分詞のedを付けたい心理が働く。

× heighth  ○ height
 これは"width"などの連想からでしょう。

× interpretate  ○ interpret
 "interpretation"から動詞を想定した間違い。

× long-lived(リブド)  ○ long-lived(ライブド)
 字面から「リブド」のように読みやすい。

× nother  ○ other
 "an other" や "a nother"から出るらしい。

× pottable  ○ potable
 "capable of being potted"と誤解しまうらしい。

× perscription  ○ prescription
 接頭辞の混乱。

× preemptory  ○ peremptory
 接頭辞の混乱。

× prespire  ○ perspire
 接頭辞の混乱。

× ostensively  ○ ostensibly
 "ostensive"から連想された間違い。


その他

× Old-timer's disease  ○ Alzheimer's disease
 発音の間違いではなく、言い方の問題。年寄りの病気と言うな、ということ。

× off ten  ○ ofen
 元ネタに"ofen"とあったが、"often"のこと。"t"を発音するかしないか。

× upmost  ○ utmost
 誤解もあるだろうけど、発音もあまり差がないのでは。
 
 

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2012.01.18

イヤホン装着歩行者の交通事故

 アイポッドなど携帯音楽プレーヤーや音楽再生可能なスマートフォンは、基本的にだが、音楽を聴くときはイヤホンを使うようにできている。通勤電車内、イヤホンを耳にして、音楽あるいは語学教材を聴いている人もよく見かける。電車内ならそれほど危険性はないだろうが、イヤホンを耳にして歩いている人やジョギングしている人の場合、交通事故に遭う確率は高まるのではないだろうか。米国で調査したら、なるほど高まるという結果が出た……というニュースがあったのだが、この話、ちょっとややこしい。
 報道の一例はAFP「ヘッドホンつけた歩行者が被害に遭う交通事故、04年以降で3倍に 米研究」(参照)である。


 ヘッドホンをつけた歩行者が被害にあった交通事故の件数が、2004年から2011年にかけて米国で約3倍に増えたとの研究論文が17日、英専門誌「Injury Prevention」に掲載された。
 論文によると、この種の事故の件数は2004年には16件だったが、2011年には47件に増え、04~11年の期間中の合計は116件だった。事故の半数以上は列車にひかれる事故で、事故に遭った人の3分の2が30歳未満だった。

 ありそうな話ではあるなと思う。他のメディアでは、CNN「ヘッドホンした歩行者を巻き込む事故、7年で3倍に 米調査」(参照)とブルームバーグ「ヘッドホン装着の歩行者:重傷・死亡事故、6年で3倍に増加-米調査」(参照)があった。
 元ネタが同じなので報道の基本事実に相違はないのだが、CNNでは「7年」、ブルームバーグでは「6年」という奇妙な違いがないわけでもない(ブルームバーグのミスか)。
 さて私が気になったのは……その内容以前のところから、二点。
 一つは、この話題が国内報道で見当たらなかったことだ。なぜだろうか。おそらく、米国の交通事故事情と日本のそれとは違うから、日本で報道する価値はないと判断されたのではないか。
 とはいえ、事故の背景にある、イヤホン装着による不注意が引き起こす交通事故というのは、日本ではないわけもないだろう。日本で同種の調査をすれば同傾向の結果が出そうなもので、その際には、報道はされるだろう。日本のどこかの機関で調査しているのだろうか?
 内容以前に気になった、もう一点は、すでに意図して混ぜてこのエントリーも書いているのだが、この三報道(AFP、CNN、ブルームバーグ)はすべて「ヘッドホン」の話であって「イヤホン」ではないということだ。交通事故が増えるのは、「ヘッドホン」の装着であって、「イヤホン」の装着ではない、と言えるだろうか?
 これも記事内容からすれば、音楽によって外界の関心がそれること(inattentional blindness)が問題なので、してみると、ヘッドホンでもイヤホンでも同じだろう。
 そのあたり欧米での報道の扱いはどうか。
 ニュースに添えられた写真で見るとどうか。いわゆるヘッドホンの写真もあるが、イヤホンの写真もあり、社会問題としてはイヤホンも含めていると見てよさそうだ。


WSJ


Guardian


Time

 ロサンゼルスタイムズでは" headphones or earbuds"(参照)として、イヤホンについての注意喚起もあった。ちなみに、イヤホンは英語では"earbuds"とも言う。
 内容に関心を移す。
 この話題、欧米では注目されたと言えるのだが、実際のところ、調査結果の件数は多いとは言えない。100件程度の調査にしかなっていないので、この結果はそれほど重視すべき問題でもないとも言えるのかもしれない。
 事故に遭う人にも偏りが見られた。事故被害者の年齢の中央値は21歳で、男性が68%を占めた。十代に事故が多いともいえず、また30歳以降に多いわけでもない。
 20歳くらいを中心とした事故の傾向がある。その意味はなんだろうか? 想像が付かないわけでもない。ナイキとアイポッドという、まさにイヤホンを装着してジョギングを励行する商品などもあり、その世代がよく利用しているのだろう。ただ、全体像は現状では、はっきりとしない。
 仮に若い世代に多い事故だとして、日本の場合を想像すると、日本では社会問題は中高年の被害から注目される老人社会なので、こうした問題が社会に潜んでいても関心が向けられないかもしれない。今後日本は、報道は老人視点というバイアスが増えるのではないか。
 日本では歩行者のイヤホンはざっと見たところ社会問題になっていない。類似の身近な問題ではイヤホン装着の自転車が危ないというのがある。これは現状では、多数の都道府県で公安委員会規則で禁止されているはずだが、よく見かける。
 
 

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2012.01.17

清史を必要とする中国共産党王朝

 中国共産党が正史として清史を書くという。なんとも笑えない冗談のようでもあるが、冗談ではない。清朝が滅亡した1912年から期年を設定し、2003年から清史工程として推進されていた。今年終了するらしい。発表は来年であろう。
 いつの時代でもその時代の価値観に沿って歴史が書かれるのは、ごく当たり前のことに思われる。何が起きてもそれが重大事件であれば歴史として記されるようにも思われる。だが、中国の正史というのは現代人の考える歴史とは異なる、ある奇妙な物語である。一言で言うなら、中国における正史とは日本における天皇のようなイデオロギー的な幻想であり、ちょうど天皇と等価な存在だろう。
 史記を著した司馬遷以来、中国の正史は「正統」を明示するための論証の目的を持っている。その時代の皇帝が天命を受けたことの証明である。司馬遷の場合は武帝が皇帝であるという弁証でもあった。皇帝はひとりでなくては正統とは言えないので、皇帝自称者が三人いるといったことは正史には許されない。反面、皇帝の存在証明以外の事象についてはさほど重視されない。
 正史の原点となる史記は、神話的な古代を虚構しその時代の現代である漢の武帝までを通史として描いた。史記に続く正史・漢書は、しかし、高祖から武帝を経て王莽までのみの漢代を描いた。史記は通史であったが漢書は一王朝を記す断代史となり、以降、断代史の連鎖が正史となった。これには正史というものの本質に関わる理由がある。
 漢書のテーマは王莽という皇帝の弁証であった。その必要があったのである。というのも、王自身は新という新しい王朝を開いた。しかし、漢書を描いた班固は、それを漢の正統するために、また自身の出自の家系を高めるために、さらに彼の信奉する儒教理念のために、正史を必要とし、漢書が出現した。正統を主張するために正史が書かれるという、まさに中国正史の基本が確立した。以降、その時代の現在の皇帝の正統と存在証明が「正史を書く」という意味になり、中国を呪縛しつづけた。
 中国共産党にしてみると清史を書くことは中国共産党王朝が天命によって清朝継承した皇帝を頂く王朝であるということの宣言ということになる。
 日本には、勝てば官軍という考えがあるように、時の権勢者が自分の都合のいい歴史を書けばいいのではないかと自然に思うものだが、正統と儒教の縛りをもった理念は中国の正史に厳しい制約も課していて、この理念(正統)を現実を当てはめることが正史の課題となる。極言すれば事実を記載し歴史を書くのではなく、理念に合うように歴史を描かねばならない。それが当然無理を強いることは後漢書を継ぐ三国志から明白になっていった。
 三国志の扱う時代、魏呉蜀が存立したが、正史ではどれかを正統としなければならない。どうするか、建前上は正統であることの内的な弁証から導出するのだが、現実はそうもいかない。その時代の次の王朝である晋が正統であることから、バックトレース(後付け)して魏が正統になった。
 このため呉蜀には皇帝はいないことになるのだが、三国演義でも有名なように蜀の劉備は皇帝を称していたし、劉備は蜀ではなく正統の表明として漢を旗としていた。正史からはそれは認められないので蜀とされている。妥協して蜀漢ということもある。
 中国共産党王朝は三国志の時代と似た状態にある。他二王朝は日本と台湾である。日本について国連(連合国)のタガをはめて中国の王朝と対立をしないしくみができたし、いまなおその対立を懸念したキャンペーンはネットなどでも展開されているようだが、日本朝は清朝のように中国にとっては外来王朝でもあり、近しい問題でもない。問題となるのは台湾のほうであり中国国民党である。
 中国国民党が王朝を志向していたかについては、はっきりとはしない。もともと清史が話題になる発端は、袁世凱が皇帝即位の思惑をもってはじめた清史事業による。この清史は完成することなく清史稿と呼ばれている。清史稿は中国国民党の正統を証明するものでなかったが、国民党は清史稿を改訂した清史を1961年に刊行した。共産党王朝としては、国民党による清史の存在は許せないものでもあり、新しく清史を起こす必要が生じていた。
 しかし現在の台湾からすれば清史はもはや歴史の遺物でありただの時代錯誤である。共産党と国民党は長く二朝として争っていたが、台湾では今回の総統選挙つまり大統領選挙で国民党が民進党候補に勝利したように民進党という強い対立政党があり、国民党も台湾という民主主義国の一政党となった。中国共産党という王朝の対立者としては解体されている。そもそも総統とは大統領であり皇帝でない。(この偉業を達成したのが李登輝である)。
 もはや中国共産党王朝に対立する王朝など存在しないのだから、正史を書くことに中国共産党がリキまなくてもよさそうなものだが、それでも中国共産党王朝は民主主義国台湾を敵対する王朝だと見なしつづけている。昨今の中国国内の反米風潮や人権弾圧からは、民主主義そのものを共産党という王朝制度として対立するものと見ているようでもある。
 ようするに清史というのは中国共産党王朝が現実認識できない誇大妄想にも思えるのだが、この妄想にはもうひとつ理由がある。中国共産党王朝は清朝を継承していると主張したいのである。しかし、これがまたひどい妄想としか言えない。
 中国の正統の原理は、中国にとって外来王朝であるモンゴル王朝の支配によって根幹から崩れている。モンゴル王朝にとって中国はいわば植民地の一つにすぎない。モンゴル王朝には中国正史とはことなる正統のシステムもある。
 そして清朝はモンゴル側の王統を受け継いだ王朝であり、中国の正史に連なる王朝ではない。チベットもウイグルも清朝に服していたが、中国の王朝とは直接的な繋がりがない。このユーラシア側の王統と中国正史的な元・明・清という見せかけの系譜は異なる。
 どういうことなのか。
 中国共産党王朝はこの外来王朝による植民地支配だった歴史の問題を正史的に解消して、清朝つまりモンゴル系統のユーラシア王朝を中国として組み入れたい――つまり自身がモンゴル帝国となって再現したいという欲望を持っている――というのが、清史作成のもうひとつの意味である。
 当然、中国共産党王朝としては、チベットやウイグル同様、現在の中国東北部を含む満州(清朝の故地)も中国ということにしたいし、満州の地を歴史的に領土と主張するような他民族は許さないということになる。そこで現下特に危険視されるのが朝鮮民族である。
 中国共産党王朝にしてみると当面は朝鮮半島内に朝鮮民族が自国領土して収まっているなら問題はない。ソ連の傀儡国家である北朝鮮の安定によって、ソ連が定めたように都合よく鴨緑江と白頭山で満州側に出てこない状態なら問題ない(参照)。
 だが、韓国(南朝鮮)は、昨今、朝鮮民族はかつて渤海の時代に満州の大部を支配していたと主張しはじめている。
 これが北朝鮮という蓋の解体から統一朝鮮の成立に向かえば、満州域の主権問題に発展しかねないと中国共産党王朝は懸念しているのである。いうまでもなく、中国にしても朝鮮にしても領土の主権の問題は歴史の正統の問題だとはなから思い込んでいる、現代の国際法に馴染まない国である。
 この懸念を払拭したい中国共産党王朝としては、渤海は朝鮮民族の王朝ではなく唐の軍政機構であるとし、中国の地方政権であるという歴史を明示する必要があり、これを東北工作として推進していた。
 韓国は中国共産党王朝史観に猛烈に反対し、2000年以降、中国と歴史問題を激しく争うようになった。韓国側としては、渤海は朝鮮民族の王朝であるということにこだわりたいだろうし、渤海史を経て満州全体を清朝史に納めようとする中国共産党王朝の正史に警戒している(参照)。
 史実として、中国と韓国、どちらの言い分が妥当かというと、渤海の議論については現代史学から見れば中国の議論のほうが正しいようにも思われる。だが、その結果が清朝を継ぐ中国共産党王朝というのであればそれも奇妙な妄想的帰結である。
 いずれにせよ、中国正史の流れから見れば、中国共産党王朝が倒れたら別の王朝が中国共産党王朝の正史を記すのだろうし、統一朝鮮が生じれば、北朝鮮に接する中国とロシアの国境問題は「歴史認識」をめぐって紛糾するようになるだろう。
 
 

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2012.01.15

ファイナル・カルボナーラ

 「最近はレシピとか書かないんですか?」
 「なんか書いたほうがいい?」
 「そういうわけでもないんですけど」
 「カルボナーラとか?」
 「簡単ですか?」
 「簡単。ファイナル・カルボナーラ。食う?」

準備(二人前)
 ベーコン、37g(セブンイレブンの小パック)
 スパゲッティ、200g
 卵、2個
 バター、20g
 塩、適当
 パスタ茹で用鍋
 フライパン

 「こんだけ」
 「クリームは?」
 「使わない」

作り方

1 卵の黄身を取り分ける
 「できる?」
 「はい。最初にやるんですか?」
 「そう」

2 パスタの湯を沸かして塩を適量入れる
3 沸いたらパスタを茹でる
 「塩は塩気がつくくらい」
 「というと?」
 「塩水をなめる。それがパスタに付く塩味」
 「ゆで時間は?」
 「パスタの袋に書いてある分の数から1を引く」

4 ベーコンをフライパンで炒める
 「大きさは適当。弱火でパスタの茹で上がりに合わせる」
 「あ、写真ボケちゃった」

4 パスタが茹で上がったらフライパンに移してバターをあえる
 「フライパンは温めとく。弱火でいいけど。火を消して、あえる」

5 卵をのせて箸でかき回す

 「焼きそば作るみたいに混ぜる」

6 皿に盛って黒コショウふってできあがり
 「皿も温めとくといいよ」

 
 

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