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2012.12.08

子どもがないと寿命が短くなるらしい

 一昨日、子どもない夫婦は寿命が短くなるらしいというニュースをBBCで見かけて(参照)、そんなものかなと思った。そのうち日本でもこのニュースが話題になるかなと見ていたが、まだ自分の見渡す範囲にはない。では、ブログのネタに拾っておきましょうか。
 この手の話題はネタ元の信頼度が重要なので、なによりもそのあたりを洗ってみると、BMJ「疫学と地域医療誌」だった(参照)。かなり信頼できそうなので、話題を追ってみる。
 研究は、1994年から2005年の間、デンマークで体外受精(IVF)を試みた2万1276の子供のない夫婦を対象に、子どもをもつことができた人とできなかった人を比較した。
 生まれた子どもは、1万5149人。死んだ人は、女性が96人、男性が220人。結果だが、子どもを持てなかった女性の早死が四倍高かった。男性は二倍ほどである。
 若くして死ぬということより、寿命が短くなると解釈してよさそうだ。
 子ども持った人たちのほうが、疾病や事故が少なかったと言える。
 研究の枠組みからわかるように、これはあくまで、体外受精までして子どもが欲しかったけど、もてなかった人に限定されている。不妊治療はしたけど体外受精はしなかったという人は対象にはなっていない。
 研究の枠組みからして当然とも言えるのだが、因果関係は示唆されていない。子どもをもたないと寿命が短くなる、というような話では全然ない。
 ざっくり言うとどうか。
 子どもが得られた人のほうが健康であったとは言えそうだ。
 逆に体外受精に失敗した人は精神的にダメージがあったと考えることもできるかもしれないが、いずれにせよ、その手の解釈は根本的に間違っているのかもしれない。
 精神疾患発症率の観点からみると、子どもをもった人々とそうでなかった人々には差は出て来ない。が、養子をもらった夫婦の場合の精神疾患は半減したようだ。
 どういう形であれ、子どもをもつことは精神の安定に貢献しているとは言えそうだ。
 個人的な印象でいうと、子どものない夫婦の場合のほうが行動範囲が広がるので、その分、病気とか掛かりやすかったり事故に遭いやすいというだけのことではないかと疑った。しかし、そう言うためには、行動範囲を因子とした別の研究も必要になるだろう。
 
 

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コメント

動物の生存には栄養と運動と衛生環境が必要ですが、人間の生存には更に心の栄養が必要そうですね。逆に赤ちゃんで言えば、栄養や衛生環境に問題がなくっても誰からも関心を持たれないとすぐに氏んでしまうそーです。いわんや大人をや!

投稿: たまむし | 2012.12.09 22:30

これは個人的に、子どもができると健康に留意するようになる人が多い、という考えで腑に落ちます。
私自身、独身時代はがむしゃらに働いて飲んで食って人生を楽しむだけでしたが、
子どもができてから、「自分が健康を損なうと子どもたちが路頭に迷う」という単純な事実を肌で感じ、運動をしたり野菜を食べたり酒を控えたりするようになりました。

精神の安定というのも明らかで、以前は常に感じていた、心の真ん中の虚しさを、いつの間にかめったに自覚しなくなっています。なくなったわけではないのですが。
生き物としての自然な営みをおくるようになったというか。自然の歯車に組み込まれたというか。

投稿: ホムーラン | 2012.12.10 10:16

面白いデータですね。
ただ、ちょっと分析がざっくりし過ぎていて、どう解釈すべきか困りますね。最低限、「疾病」「自殺」「事故」の3つくらいは分けた数字が欲しいです。

例えば、「事故」に大きな差がある場合、出産後の休職・退職などで外出機会が急減し、事故率も急減するという当たり前の話かも知れません。(死亡率の差が女性で顕著という点からも、実際は案外そんなものかも知れません)。また、「疾病」に差がある場合は、その内容・原因についてさらに詳しく見る必要がありますね。

いづれにせよ、自分が捉えたいように捉えるには都合のよいデータですが、事実の検証や対策を考えようとするぶんには全く不足です。このまま垂れ流しても、大体どんな解釈がされるかは目に見えているので、百害あって一利なしかも知れませんね。

投稿: S | 2012.12.11 17:06

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