2012年、今年よく聞いた曲
2012年も今日でおしまい。今年は夏の暑さが長いわりに、あるいはそのせいか、一年は短かったなという感じがした。今年やったこと、思ったこと、お薦めの本とか、ま、そういう話はさておき、今年よく聞いた曲というかアルバムを5つほど。それほど、お薦めの曲というほどではないですよ、ちょっと趣味が人と違いすぎているし。
桜流し
しばらくヒッキーの曲も聴けないだろうと思っていたので出ててびっくり。最初聞いたときは、『誰かの願いが叶うころ』みたいな、御詠歌みたいな曲だなと思ったが、母譲り、祖母譲りの声が大人になってきたせいか、ものすごい迫力。サウンドの造りもすごかった。
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ポール・カーターのインストルメントもよかった。特にエンディングはたまらん。
たまたまYabisiさんという人のカバーを聞いたが、これがけっこうツボだった。ヒッキーの縮緬ビブラートの部分が自己流にアレンジしていて、ちょっと欧風。そのわりに、アジア的な色気がぐっと。
Moments
『Moments』(参照)は、Paul Hughesという人の曲。ジャンルは、クラシックなのだろうか。変な曲です。こんな変な音楽というのは聞いたことがありません。なんだこの変な曲は、なんだ、なんだ、といううちに、すっぽりに魅了されて、今年は飽きもせずなんども聞いていた。
![]() Moments |
他にエレクトリック的に仕上げた"The Lord`s Prayer"(参照)もはまった。これも高音域に変な音がいろいろ入っている。たまらない。
カバーの、アンリ・ルソー的な絵も本人によるらしい。
Laudate omnes gentes
今年はテゼをよく聴いた。そのなかで聞きやすいお薦めはというと、"Laudate omnes gentes"(参照)かな。
![]() Laudate omnes gentes |
Feather on the Breath of God
実は、というほどでもないが、ブログには結局書けなかったが、今年は、ヒルデガルドについていろいろ読んでいた。しかし、どうにもわからない。ヒルデガルドが巨大すぎるというのもあるのだが、魅了するわりにその確信がつかめない。
![]() Feather on the Breath of God |
そうしたなか、ヒルデガルドを見失っていくとき、この曲をよく聴いていた。曲はダイレクトに精神に語りかけるし、そのリアリティが"Scivias"に等しいのではないかとも思う。
いうまでもないことだけど、このアルバム『Feather on the Breath of God』(参照)はものすごい名盤と言ってよいかと思うので、なにかの機会があれば是非、ご試聴を。
VIVA! 6×7
『VIVA! 6×7』(参照)2004年のユーミンのアルバム。私は、沖縄生活の時、あれだけ好きだったユーミンを聴いていない。なにか『TEARS AND REASONS 』あたりで終わったような気がしていた。それでも2006年の『A GIRL IN SUMMER』(参照)からまた聴くようになり、最近は自分にとっての空白だったころのアルバムを求めて聴くようになった。やはりピンと来ないものは多い。
![]() VIVA! 6X7 |
「灯りをさがして」は、ざっと聴くととくになんの変哲もない曲のようだが、これは、彼女の旦那への愛の告白なのではないか。キャンティの思い出から、旦那との出会い、そして……というなかで、老いていく一人の女の愛情なのではないのか。
Without you
ひとりで歩いていた。
いつのまにかきっとあなたは先で待ってると
分岐点も見ず
人は耐えきれない痛みを与えられはしないの
あなたの笑顔が向けられないならつらすぎるかもしれない
それでも私は思い出をたよりに灯りを探すの
そういう読みは違うのかもしれない。が、彼女は内面に、石女というわけでもないが、固い石のような苦しみを抱えていたのではないか。あるいは、ある時期からユーミンカンパニーを食わせるための細腕繁盛記というか。
私は、ユーミンが10代のころからずっと聴いてきた。それは多少、愛のような感情も交じるのだが、そうした多少なり愛した女が老いに向かっていく心を顕したとき、どう受け止めてよいのかよくわからないなと思った。
※ ※
来年は、もしかすると、ブログに関連してちょっとしたサプライズをお届けできるかもしれません(できないかも)。
あ、それと、cakesに連載している書評の『めぞん一刻』編(参照)が、お正月期間には無料になるらしい。未読のかたは、よろしかったら、その際、ご一読を。その後もこの書評シリーズは、ここまでリキ入れるかよ的に入れてます。
では、みなさん、よいお年を。
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コメント
めぞん一刻の書評無料で嫁るんだー。
わーいヾ(^▽^)ノ
お年玉でめぞん一刻全巻買うぞ!古本で。
投稿: illuminations | 2012.12.31 11:30
宇多田ヒカル、好きなんですか!?4・5曲目位から私は好きになりました。
あと、ルソー好きなんです。(ventさんは特に好きという訳ではないみたいですが)「蛇使いの女」の月がとても綺麗です。
アルバム聞いてみたいです。
投稿: | 2012.12.31 20:15
『2012年、よく聴かれた曲』。ぶっちぎりでAKB。女の子をランキングして、胸チラ、水着、中にはアダルト・ビデオに出演して、握手会のチケット付きでCDを販売している。それで、ぶっちぎりの販売数。レコード大賞を受賞。でも、誰も「おめでとう」とは言わない。人間をランキングして、商売をする時代。しかも未成年を。そりゃピチピチしているから、可愛いし、応援したくなる。もう「何でもアリ」。カネと権力に日本人は弱いんですよ。もはや信仰の対象は、カミではなく、カネ。どんなに稼いでも、墓場には持っていけないのに。とにかく、徹底的に日本の伝統文化を自虐的に破壊したから、今の日本人は何を信じて良いのか分からない。だから、カネにしがみつく。金を稼いでいれば、何となく「生きている実感」が感じられるから。でも、しょせんは虚しい。自分と他人を比較して、優越感に浸ることで自分の価値を見いだすレベルの国民性だから。日本人は中国人をバカにしているけど、もはやエリート中国人のほうが東大・京大を凌いでいるよ。カネ、カネ、カネ。音楽ですら、売れた者が勝つ時代。昔は、売れる売れないに関係なく、歌手は「歌うことが本当に楽しい」という時代だったけど、もはや歌もビジネスの時代だから。イヤホン付けて、大音量で難聴になり、携帯の小さな文字で近視になり、悪貨が良貨を駆逐する時代。補聴器の産業はウハウハですがな。そのうち、音楽業界と補聴器業界の大合併が起こるでしょう。まあ、その時、もはや我々は、何が本当に良い曲なのか、もう見抜ける『耳』を失ってしまうけれど。日本人の若者は、間違いなく「難聴」を患う。いーの、いーの。今が楽しきゃいーんだから。耳を失い、視力を失い、味覚も失い、何よりアタマがバカときている。これはもう、世界的に自慢すべき国宝級の性癖でしょうな。携帯の登場で会話が苦手。敬語が使えない。匿名掲示板の中では、尊大に振る舞える。秋葉原の「アニメ・フィギュア」天国を見ていると、日本の未来は絶望的だなと感じます。フィギュアが悪いとは思わないけど、エロ・フィギュアばっかりだもん。良い歳の大人が、AKB劇場で大絶叫している。握手会がテレビの生放送へ。そういう国の未来は?歌を味わうのではなく、「みんなが買うから、あたしも買う」。とにかく、ブームに流されて、やたらに冷めやすい国民性。水着アイドルの、握手会、選抜ランキング商法が今の日本を象徴している。その先にあるものは?
投稿: 大東亜 | 2013.01.01 03:37
ユーミンについて、共感はあっても、体系的な話をされないのを不思議に思います。楽典の基礎知識はお持ちなのに。
いずれ、ユーミンとマイケル・ジャクソンの、松任谷正隆とクインシー・ジョーンズの、比較研究も現れるかもしれません。現状は、そこまでは文化水準が高度にはなっていないようですが。
投稿: enneagram | 2013.01.08 08:47