ばか正直では首相は務まらない
窮鼠猫を噛む。野田総理も追い詰められたら、戦中の大日本帝国みたいに特攻隊突撃か。エコノミストが言うように(参照)、つまり、英語でいうところのカミカゼ(kamikaze)をやってしまった(参照)。
kam‧i‧ka‧ze [only before noun]
1 kamikaze pilot: a pilot who deliberately crashes his plane on enemy camps, ships etc knowing he will be killed
2 used to describe someone who is willing to take risks, without caring about their safety:
kamikaze lorry driversカミカゼ
1 カミカゼ飛行士:自殺になることを知りながら、敵陣や敵艦に入念に自分の飛行機をぶつけてくる飛行士
2 自分たちの安全を考慮せずに、危険を冒す気でいる人についても言う
なぜ太平洋戦争末期みたいな神風特攻隊を野田総理は演じることができたかといえば、戦前の日本精神・特攻隊精神とまったく同じ精神構造だったからではないか。清廉潔白・正直なら何をしてもいいという二・二六青年将校みたいな人がこの国の頂点に立っていたのか。
嘘をつくつもりはありませんでした。えー、私は小学生の時に家に通知表をもって帰った時に、とても成績が下がっていたんで、親父に怒られると思いました。でも親父はなぜか頭をなでてくれたんです。5や4や3、そんなの気にしなくて、生活態度を書いた講評のところに「野田君は正直の上に馬鹿がつく」と書いてありました。それを見て親父は喜んでくれました。安倍総裁の教育論は傾聴に値するもがたくさんあります。歴史観、国家観から。私の教育論はそっからはじまるんです。偏差値や百点や五段階じゃなくて、数字にあらわせない大切なものがあるんだということを親父はおしえてくれました。だからもともと嘘をつくつもりはありません。「近いうちに解散をする」ということに是非先般の一〇月一九日党首会談をやったときにもお話しました。信じて下さい。残念ながら、「トラスト・ミー」という言葉が軽くなってしまったのか、信じていただいておりません。
私も日本人だから、涙ぐんで親父さんのことを思い出すという心情はわからないではない。だが、それは信頼できるわずかな人、妻や親友や息子や恩師、あるいは吉田茂のように愛人でもいい、ごくわずかな人にだけ見せるものだ。大国の総理が国会で見せるものではないし、そうすることがむしろ嘘になってしまうのだということが、正直とバカ正直の違いなのである。
野田さんの気持ちはわかる。誰もを信じたい、国民も信じたい。しかし、すべてを信じられるわけではない。だます人もいる。総理たる者、それでだまされて国家の命運をかけてもらっては困る。総理は信じたいという自分を美化した甘えで務まる仕事ではない。もっとも、「トラスト・ミー」とか軽く言ってのけて国を傾ける総理というのも困ったものだが、逆ブレして、お子ちゃま総理でよいわけはない。
窮鼠猫を噛む、でわかることは、野田総理が鼠であったことでもある。せめて、ジェリーくらいのふてぶてしいユーモアを持ってほしい。
しかし、まあ、やっちまったな、であり、もう済んだことでもある。
誰がここまで鼠を追い詰めたのか。猫は誰か。
安倍自民党総裁ではなく、民主党である。国民ことなど念頭にない党派政治の自己運動みたいなものである。13日NHK「民主幹事長“今解散すれば政権失う認識足りない”」(参照)より。
民主党の輿石幹事長は党の参議院常任役員会で、野田総理大臣が衆議院の年内解散に踏み切る方向で検討を進めていることについて、「今、解散すれば、間違いなく政権を失うという認識が足りないのではないか」と述べ、懸念を示しました。
この中で輿石幹事長は衆議院の解散・総選挙に関連し、「『TPP=環太平洋パートナーシップ協定の推進』だとか、『マニフェスト=政権公約を取りまとめる』などと言っていても、野党に転落したら、なかなか実現に向けて取り組むことはできない」と述べました。
そのうえで輿石氏は「今、解散すれば、間違いなく政権を失うという認識が足りないのではないか」と述べ、野田総理大臣が年内解散に踏み切る方向で検討を進めていることに、懸念を示しました。
また、民主党の一川参議院幹事長は記者会見で「国会の懸案は近々、解散があるというスケジュール感で処理されていない。衆議院の選挙制度改革がその最たるものであり、憲法違反の状態で解散に突入するのは分かりにくい話だ。今は、東日本大震災の復旧・復興に最優先で取り組む時であり、今解散すべきではない」と述べました。
しかし、一川参議院幹事長の語るところにも真実はある。「憲法違反の状態で解散に突入するのは分かりにくい話」というのはそのとおりだ。
で、どうなったか。これを野田総理は、自民党に丸投げしたのである。
党首討論で野田総理の気迫に自民党安倍総裁が怯んだとみる話も伝わっているが、私が見るかぎり、「そ、それを丸投げするか」という驚きだったのだろう。逆にいえば、安倍さんとして見れば、できるかぎり議員定数問題の泥を野田総理に被せたいつもりでもいたわけで、安倍さんらしい暢気な甘えでもあった。
野田総理にしてれば鼠のカミカゼ攻撃であるし、うるうると自己陶酔もしているし、自分なりの正直者の理路でもあったのだろうが、この筋書きを書いたのは、これまでの野田さんの対応を見ていれば彼ではないだろう。堪忍袋が切れるのをサポートしたのは誰か。これはその後の対応を見ていたら、おそらく岡田克也副総理だとわかる。ちゃんとベタな解説までしているのである(参照)
先ほど党首討論が終わりました。
特に、安倍自民党総裁と野田総理、あるいは山口公明党代表と野田総理のやり取りは、まさしく解散をめぐるやり取りで、総理が16日に解散することを明言される、歴史に残るやり取りになったと思います。
総理はまず、谷垣総裁との約束は守る。そういう意味で、解散するタイミングを伺ってこられた。そして、今回いよいよ決断をされたということです。
泥のなすりつけもきっちり解説。
それに対して総理から、もし定数削減がこの国会で出来ないということであれば、選挙の結果によってどこが与党でどこが野党か現時点では分からないわけですが、「次の国会できちっと定数削減を実現する約束をしてもらいたい」と言いました。
これに対しても非常に曖昧な答えだったわけですが、総理は「少なくとも国会議員の歳費2割削減だけは約束してもらいたい、一緒にやろう」と呼び掛けられました。ここも安倍さんの答えははっきりしませんでした。山口さんのほうは、「それはやる」と明確に答えられたと思います。
いずれにしても、総理としては様々なことを考え、例えば年明け解散などになると、我々が来年度の予算編成をしても、選挙の結果によってはもう一度予算編成をやり直すということになりかねません。それは景気にも経済にも悪影響を及ぼしかねないし、二度手間にもなる。そういったことを避けるためにも、このタイミングで解散する。それが国益・国民の利益にかなったことだと。こういうことだったと思います。
国と国民のことを考えた総理の思いがにじみ出たというか、いっぺんに外に出た。そういう迫力のあるやり取りだったと思います。
ようするに、小泉元総理の「自民党をぶっ壊す」と同じで、「民主党をぶっ壊す」ということでもあった。
政権与党でありながら党内理由で政治決断がなにもできない状態ではいけないという、原則主義の岡田さんの考えそうなことだし、そもそも、岡田さんが総裁だったころの民主党はこういう政党ではなかった。そうではない民主党が暴走したのだから、これをぶっ壊そうというのは、それはそれで正論でもあった。それに加えて、現状なら沈みゆく船から逃げる民主党議員に助成金を握らせずにすむという算段もあっただろう。
私は、こんなことすべきではなかったと思う。
議員定数問題についても、最高裁の判断では、「0増5減」でも違憲状態であり、ここで解散し、自民党に丸投げしても、なんら解決の糸口は見えない。
野田総理が戦うべき相手は、民主党だった。これまでも野田総理は民主党と戦ってきたのはわかる。つらい、そして孤独な戦いであったとも思う。しかしそれをやり抜くことが総理の仕事であっただろう。
もはや詮無いことだが、泥にまみれた本当のドジョウが見たかった。誰もが、滑稽なドジョウ掬いだと笑っても、嘘つきだのとわめいても、きちんと任期を全うしてみせてほしかった。
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コメント
野田ちゃんが首相の辛く孤独な仕事に堪えかね、にっちもさっちも行かなくなって遂に投げ出したと言う見方は、率直に言ってナイーブで的外れであるように思えます。
ジョン・ブルには自棄っぱちの行動としか映らないかも知れないけど、私には『総理の首を使って出来る仕事』をしようとしているように見える。
つまり「理想にバカ正直である」野田ちゃん岡田らは、お花畑な有象無象の寄せ集めである『現状の民主党』の勝利や存続を最優先の目的とはしていない。旧トロイカ勢力や旧社会党系に止めを刺し、その他有象無象を一掃し、かつ現政権メンバーを中心として、自民党のカウンターパート足り得るような、ある程度政見が統一された集団としての芽を残す可能性を最大化する最善の仕掛けをと考えた時、昨日のあれ以上の選択肢は無かったのだろうと思いますね。
違憲状態の是正は、建前上重要ですが、(まあ確かに良くないよね)程度の事で、別に国民が望む優先課題でも、先送りで問題が手がつけられなくなるような喫緊の課題でも無い。「はーい、改善するよう努力しておりまーす」てことで構わない。それらしいポーズさえしておけば、誰も得しない選挙やり直しにまではなるまいと誰もが思っている。
むしろ比例議席の削減や、議員歳費の削減も、鳩山菅や小沢を落とす
もしくは影響力を消すために言っているのではないでしょうかね。
野田ちゃんに任期満了までやって何を成し遂げて欲しかったのか、その場合の選挙後の枠組みをどう望み思い描いていたのか。
レイムダック政権の存続が、昨日の野田の仕掛けに比べて誰にとってどのようなメリットを持つ可能性があるものだったのか、finalventさんの考えがピンと来ないな。
投稿: | 2012.11.15 14:18
無名さんへ。
>レイムダック政権の存続が、昨日の野田の仕掛けに比
>べて誰にとってどのようなメリットを持つ可能性があ
>るものだったのか、finalventさんの考えがピンと来な
>いな。
とのことですが。
>違憲状態の是正は、建前上重要ですが、(まあ確かに
>良くないよね)程度の事で、別に国民が望む優先課題
>でも、先送りで問題が手がつけられなくなるような喫
>緊の課題でも無い。
そのあたりの認識がまったく異なるので、ピンと来ないというのはむしろ当然のことのように思いますよ。現状の違憲状態は、司法が議会を違法としてもまったくおかしくない異常事態だと考えています。つまり、この問題を国民に粘り強く説得して、自民党の外堀を埋めていくべきでした。
投稿: finalvent | 2012.11.15 18:35
自民党より酷い派閥争いで野田が討死したに過ぎない
さらに内容は
民主党内部の権力争いに破れたに過ぎないので野田の延命に意味などないよな~
結局は民主党支持してる人は無責任な幻想や悪意を押し付け合いそれが今は小沢や野田に変わっただけ
何も成長しない4年だったな
投稿: シーモンキン | 2012.11.15 18:38
野田さんが自分の勝利条件を「消費税増税」と考えているなら合理的な判断のようにも感じます。
自民党は必ず消費税を増税すると信じているなら、民主党が滅んで自民党が勝利するのも計算の内。
逆に、減税を主張する第3局が結集し、間違っても勝利するようなことがあれば敗北。と考えているなら極めて合理的な判断とも。
投稿: | 2012.11.15 18:51
民主党に夢なんか見るから、こうなるだけのこと。
馬鹿正直はいかんも何も、それをやってないからクソミソに叩かれるんでしょ。そもそも噓フェストにしても外交関係の破綻にしても、そうなるのなんか予見できたことなんだから最初っから言わなきゃいい。言うだけ言って人掻き集めて政権まで取ったなら、やると言ったことくらいはやればいい。そこで馬鹿正直をやってないのに、解散だの何だの、そういうところで馬鹿正直でもしょうがないですよ。
殆ど何も手を付けていないし、やらなきゃいいようなことばっかりやってる。挙げ句に本来すべきだった「正直さ」を発露したら支持者にまで叩かれるとか、最早なんにも言う事は無いんですけどね。
あと、弁当爺さんもそうだけど既存の政党のやることに文句垂れる万年野党な体質の人は与党のやる事に文句言ったら駄目ですよ。じゃあ聞くけどどうするの? どうしたいの? どうなるの? の部分なんかまったく考えなしで文句言うだけでしょ。そういう人の言う事一々聞いてあーでもこーでもやってるから迷走するんですよ。
そういうのは、見飽きましたわ。弁当爺さんも含めて。だから民主党は支持を(もう二度と回復しないレベルで)失ってんですよ。
投稿: のらねこ | 2012.11.16 00:26
finalventさんもヤキがまわった感じ。
岡田氏をいかに信頼していたとしても、岡田氏のいいなりでこうしたのではあるまい。
同じく、人気ブログの溜池通信のこの感想の方が真をついていると思う。
「ふと思うのですが、野田さんの頭の中にあったのは、解散の時期を逃して、最後は大敗への道を開いてしまった麻生首相の失敗だったのかもしれません。民主党の中の多数派は「解散の先送り」を望んでいたようですが、それではまさしく自民党末期と同じ道を歩んでいたことでしょう。まして衆参ダブルなどになろうものなら、おそらく二大政党の跡形がなくなるくらいまで負けていたことでしょう。野田さんの勇気は、この先何らかの形で報われるだろうと思います。」
投稿: yunusu2011 | 2012.11.16 00:31
finalventさんが言うように政権続投を頑張ったとして、議員定数問題の解決が進むかと考えると相当厳しく感じます。
3者協議において異なった提言を持ち、議員生命がかかっている事案での妥協ならばなおさら。
過去の例を鑑みれば任期一杯まで費やしても議席削減は「努力した」で終わるか、良くて今回の最大公約数である0増5減程度で無いでしょうか?
正直、衆参両議院にて違憲状態が頻発している状況で、今年の判決が特別意義を持つ理由は思い浮かびません。
投稿: sanpei | 2012.11.16 01:16
野田さんは悪くない。気骨を無くした日本人が悪いんですよ。国民の誰もが「今後の日本はますます悪くなる」と考えている。でも、識者を筆頭に、誰もが「誰かが何とかしてくれる」と考えている。その「誰か」は、日本人ではなく、アメリカという外国だから始末に悪い。拉致問題や憲法改正すら自分たちでやれないレベルの国民なんだから、野田さんを責める前に、昔の先人たちの気骨をもう一度取り戻せよ、と自戒を込めて主張したい。今の日本なら、誰が総理でも日本は良くならない。そもそも「日本の今後」の方向性を見失っているんだから。このままじゃ、靖国に眠る先人に申し訳できないよ。
投稿: 大東亜 | 2012.11.16 02:48
つーか、「議員定数問題の解決」なんて全然最優先課題じゃないよ?
外交・経済・年金・復興とまさに緊急かつ日本の根幹を揺るがす課題が山積みなのに、「議員定数問題の解決」をするために民主党政権が続くべきだと思うわけ?
馬鹿ですか? よほど暇な金持ちなの、アンタ?
投稿: | 2012.11.16 09:55
無名さんへ。
>つーか、「議員定数問題の解決」なんて全然最優先課題じゃな
>いよ?
>外交・経済・年金・復興とまさに緊急かつ日本の根幹を揺るがす
>課題が山積みなのに、「議員定数問題の解決」をするために民主
>党政権が続くべきだと思うわけ?
ええ、そう思います。
さらに加えれば、外交・経済・年金・復興にとってまず重要なのは政権の安定であり、次に専門家の知識を十分に活かせる土壌です。その意味で、不安定な政局を無責任に招くべきではありません。
>馬鹿ですか? よほど暇な金持ちなの、アンタ?
そうよく言われますが、「私」を問題にするより、テーマを問題に考えていきたいと思っています。
投稿: finalvent | 2012.11.16 10:18
yunusu2011さんへ。
>finalventさんもヤキがまわった感じ。
そうですか。もう少し事態の推移を見てから評価してくださってもよいように思いますが。
>同じく、人気ブログの溜池通信のこの感想の方が真をついてい
>ると思う。
yunusu2011さんご自身はどうお考えになりますか。
投稿: finalvent | 2012.11.16 10:20
のらねこさんへ。
>あと、弁当爺さんもそうだけど既存の政党のやること
>に文句垂れる万年野党な体質の人は与党のやる事に文
>句言ったら駄目ですよ。じゃあ聞くけどどうするの?
>どうしたいの? どうなるの? の部分なんかまった
>く考えなしで文句言うだけでしょ。そういう人の言う
>事一々聞いてあーでもこーでもやってるから迷走する
>んですよ。
いえ、まったくそんなことはないと思っていますよ。デフレ脱却を優先し、国政を安定させ、専門家の知識を必要とする政策を専門家を交えて政策に反映していけばよいと、縷々述べてきました。
> そういうのは、見飽きましたわ。弁当爺さんも含めて。
>だから民主党は支持を(もう二度と回復しないレベルで)
>失ってんですよ。
それは残念です。私は、政治をもっと肯定的に見ていきたいと思っています
投稿: finalvent | 2012.11.16 10:24
弁当さんが残念がるのは尤もだとも思うが、やはり基盤が安定しようが無い現・野田内閣では、谷垣氏との約束通り一旦民意を問うしかなかったと思う。時期的にも小沢氏法廷明けや細野氏擁立の動きもあるようだったし、そもそも与党民主系議員の離党による過半割れも時間の問題だった。
ただ弁当氏も言うように、今後の事を鑑みて政界を引退する訳でもないなら同情共感を誘うような自分語りは本当に余計だった。この間、余程総理の重責の孤独が応えたのだろう。小泉さんはその辺強かったなぁ。
政治家として器はともかく野田さんはそう悪くないと思えて支持するけど民主党は支持しないって層はどう行動すりゃ良いんだろうねぇ。公的な主義主張の実現を目指す政党政界再編に繋がれば良いんだけど、どうも何処が利権を取るか誰が蛇口を握るボスになるかばかりだと、無党派層は困るんですよね。
投稿: ト | 2012.11.16 15:15
「議員定数問題」の問題が実は経済を含むあらゆる国家運営の非効率をもたらしているという話は第三極政党所属代議士が語っているのを聞いたことがあります。
それはそうなんでしょうが、もう一段深い何かが問題のある制度を制度を是正できない原因だと思います。
それが何かは良く分かりません。「気骨」の問題と言ってしまっては答えとしては不十分な気もします。
「私」の問題に矮小化しますが、正直であることをほぼ無条件に肯定し意思決定している私としては「戦前の日本精神・特攻隊精神とまったく同じ精神構造だったからではないか。清廉潔白・正直なら何をしてもいいという二・二六青年将校みたいな人がこの国の頂点に立っていたのか。」という言葉はとても重いものでした。
ああ、ただ特攻精神や226実働部隊を率いた将校たちはバカ正直だったのではないと思います。
投稿: tako | 2012.11.16 16:45
山本七平氏の書かれた、仮面に対する責任という話を思い出しました。
投稿: | 2012.11.16 19:37
民主党の宿痾は根源的に選挙に勝って与党になるための集まりで有ったことに起因してるのかと。
いざ政府を運営する立場になったとき、迷走と呼ぶに相応しい機能不全に陥ったわけですから。
議員定数の削減を俎上に載せたのも、政治的信念や責務からではなく、あくまでいっときでも長く政権を保持し続けるための引き伸ばしでしかなく
コレがあるから解散できないのだと装ってたに過ぎないように思います
野田氏の解散宣言はこれ以上の引き伸ばしが、次の選挙で同じ負けるにしても民主党が存続できないレベルの敗北を招きかねないと見ての政治的判断でしょう。
その意味では時勢をよく読んだ解散だったように思います。
仮に衆院解散が年をまたぎ参議院と同時になっていたならば、野田氏がしたたかさと政治的有能さに突如目覚めこの議員定数の削減に成功していたとしても
より重要で難しい外交、経済対策などの無策により、今よりもさらに民主党への風あたりは強く、対する第三極の態勢は整い、反自民という民主党の売りですらも失われていたのではないかと思います。
投稿: ulys | 2012.11.16 20:30
【私は、政治をもっと肯定的に見ていきたいと思っています】
という、finalventさんの考え方に賛成です。
極めて、重要な指摘だと思います。政治に対する判断は、本質的に、肯定的でなければならないと思います。
投稿: ボンボン太郎 | 2012.11.16 22:41
議員定数や一票の格差の問題って、そんなに最優先でしょうか?
私は政治という剣をペンなり金なりに持ち替えた闘争がちゃんと続くことより優先するものとはまったく思わないです。格差がなんぼあろうと政治が闘争でありつづけるかぎり、結局民意は現われてそれを曲げえない、と楽天的に思っています。
むしろ、格差問題を人質に図々しく居座ろうとしていた民主党の卑劣政局がだらだら続くよりはるかに健全な展開にけっきょく落ち着いただけだと思います。
後任期満了までやらせても、1年やらせても、百万年やらせても、所詮仕切り直しがされるまでの無駄な時間でしかなかったろう、と思います。
投稿: うおずみ | 2012.11.17 00:13
ここで解散したのは正解だったとおもいますよ。
こういう状況に陥ったのも、粘り腰をできなかったのも、
野田さんは自分の能力の限界と馬鹿正直に認めていると思います。
日本人はそういう潔さが好きです。
ただ安部さんとは下打ち合わせが絶対あった感じがします。
それにしても野田さんの腹の据わり具合は素晴らしかった。
政治は祭りごとなので、威勢のよさが肝心と思います。
これから一ヶ月毎日ドラマが生まれて面白そうです。
ただ残念なのは、投票の判断基準が全くみえないこと。
この数年でマニフェストは絵に描いた餅になるとよくわかったし。
なんかAKBの総選挙と変わらないような、
ふわふわしたノリとか雰囲気だけの投票になりそうで…。
野田さんの馬鹿正直も滑稽かもしれませんが、
そういう手広い混沌にある我々の状況も、かなりシュールで滑稽なような気がします。
投稿: らんけいごお | 2012.11.17 02:17
残念なことですけど、政治批判のコメントの多くは、どんな理屈を並べていても、結局、罵倒が多いように思います。たとえば、民主党の批判をするのならば、どの政策なのかに限定すべきですし、その政策の絶対的判断をするのではなく、自民党はその政策について何をやっていたのかという事実と具体的な比較をするべきだと思います。政治批判は相対的、肯定的ななものだと思います。
投稿: ボンボン太郎 | 2012.11.17 14:24
非常に瑣末な指摘で恐縮ながら、deliberatelyの意味はこの文脈では「意図的に」「わざと」の方だと思いますよ。実際、ネイティブはこちらの意味で使うことの方が多いように感じます。
投稿: | 2012.11.21 05:33