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2012.11.18

ベンガジゲート:本当は恐ろしいソープオペラ

 米国中央情報局(CIA)の長官デヴィッド・ペトレイアス(60)はアフガニスタン戦争の米軍司令官の任にあるとき、その評伝ライターのポーラ・ブロードウェル(40)と不倫していた。二人が出会ったのは2006年。54歳のデイブは妻との結婚生活31年。33歳のポーラには夫もいて二人の子どもの母でもあった。許されざる秘密の恋の始まり。そして6年の日々。
 それだけでも面白いのに、お騒がせ女登場。デイブと懇意にしているジル・ケリー(37)。ポーラはジルに嫌がらせのメールを大量に送っていた。なぜ? 嫉妬? ならばジルとデイブも不倫関係だったのか?
 このソープオペラは、ついにハリウッド映画化決定! 冗談で済まされない。ロイター「CIA長官の不倫スキャンダル、ハリウッドでは早くも映画化競争」(参照)より。


 米中央情報局(CIA)のペトレアス前長官の不倫問題をめぐって新たな情報が相次いで伝えられる中、米ハリウッドのスタジオ会社の間では、今回のスキャンダルを映画化しようと早くも競争が始まっている。
 ハリウッドのプロデューサー、クリス・アームストロング氏は、「今回のスキャンダルは、事実のもみ消しや陰謀、CIA、政府高官、不倫などハリウッドや一般市民が好むポイントが満載」と指摘。ロサンゼルスを拠点に娯楽問題を扱う弁護士、ジョン・ファイファー氏も「必要なテーマはすべてそろっている」と述べた。
 脚本家にとって良いニュースは、このスキャンダルでは新たな情報が次々と追加され、ストーリーが広がっていることだ。新たな「登場人物」は、アフガニスタン駐留米軍のジョン・アレン司令官のほか、司令官と不適切な電子メールのやり取りを行っていたとされるフロリダ州の空軍基地で社交イベントのプランニングをするジル・ケリーさんの2人だ。

 ラブ・ストーリーは突然に、広がる広がる。
 ところがこのソープオペラは煙幕なのかもしれない。主人公はデイブではなく、我らの希望の星・オバマ大統領かもしれない。なぜ?
 話が面白すぎた。頭を冷やせ。そもそも、いったい、なぜ、不倫なんていうプライベートなことで、CIA長官が辞任しなければいけいないのか?
 CIA長官は不倫しちゃいけないのか? クリントン元大統領だって不倫していたが、問題になったのは「不倫なんかしてないもーん。そ、そ、そんな青いドレスなんて、し、し、しらないもーん」と言い張った嘘だった。デイブはそんなことはない。あっさり許されざる恋を認めた。
 恋。それは職務と関係ない。
 なぜデイブはCIA長官を辞任したのか? そもそもこの事件はソープオペラなのか?
 それ以前に、なぜCIA長官のプライバシーが暴かれたのか?
 メールがバレたからである。使っていたのはGメールだった(参照)。Googleによって広告を名目に日々監視されているGメールを使っていたというのが、そもそもうかつといえばうかつだ。大人が不倫するのにGメールに痕跡なんか残さないものである、諸兄! 普通はツイッターのダイレクトメールを使って、そして、つい、ツイートと間違えてこそ大人の恋というもの。あ、それはそれですごくやばい。
 いくらうかつであっても、そこまでプライバシーを暴いてよいものなのか。誰がそんな権力を持っているのか? ということろで、ぬっと、権力が、ご登場。
 権力のぎらりとした目玉から見据えると、どうもこの事件、やはり、なにか、おかしい。
 権力の手先は連邦捜査局FBIである。しかも、このプライバシー暴きは秘密裏に実施されて、大統領選が終わったらデイブの不倫で辞任という形で暴露された。誰が、この情報の公開を支配していたのか。流れ的に見ると、オバマ大統領ではないのか? こんな話を大統領選のさなかにオモテに出すんじゃない、と隠蔽していたのではないか。
 だがそう単純な構図でもない。FBIの操作活動では、担当の捜査官がケリー宛てに上半身裸の写真を送っていたとか別の面白いスキャンダルも関係している(参照)。
 愛が止まらない、といった風情だが、ここで再びヒロインを見つめ直そう。
 ヒロインのポーラは、実はただのライターではない。美人ライターである。いや、そっちの方向ではない。マジな経歴は、陸軍士官学校でBA(学士)。デンバー大学で国際安全保障分野でMA(修士)。ハーバード大学でMPA(行政学修士)。ロンドンのキングス・カレッジで博士課程。専門は、反テロリズム。大学でもテロリズム対策の教官をしていた。ばりばりの軍事専門家であり、テロ問題の専門家なのである。
 だから、テロ問題の重要な秘密も知っていた。これがリビア、ベンガジの米国領事館襲撃事件にも関連していた。
 当初オバマ政権は、この襲撃事件をムハンマド映画に対する抗議行動が高じたものだと嘘ぶいていた。実際は周到な襲撃事件であり、オバマ政権もそのことを知っていた(参照)。だがそれが衆知となると、大統領選挙前にオバマ政権のテロ対策がいかにデタラメだったかがモロバレになる。それはまずいということで情報操作をしたわけである。
 これにさらに裏があったことがポーラの証言でわかった。
 そもそもなぜ、武装勢力はベンガジの米国領事館襲撃したのか?
 ポーラはその理由を、不倫が暴露される数日前にデンバー大学で語っていた。ガーディアン報道(参照)によると、ベンガジの米国領事館の別館にはテロリスト収容所があり、そこでリビアの武装勢力を10人ほど収容していた。その奪還が襲撃の目的だった。
 ガーディアンも指摘しているが、なぜそもそもそこに「囚人」がいるのか? 2009年にオバマが第一期の大統領となったとき、ブッシュ前大統領による国外テロリスト収容所をさんざん批判し、CIAが国外でテロリストを拘束しないよう署名をしていた。つまり、本来ならオバマ政権下で、CIAの下にテロリスト収容所はないはずである。でも、ベンガジ米国領事館襲撃には、あった。つまり、オバマ大統領お得意の嘘である。黙っていろとデイブも口止めされた。嘘をバラす面倒なやつがいたら、そのつど口封じしたいところだ(参照)。
 このベンガジ米国領事館だが、なんとドローンとも呼ばれるプレデター(殺傷能力を持つ無人偵察機)の基地でもあった(参照)。米国のドローンこそ、カダフィ大佐を殺害した兵器であったことは以前言及した(参照)。
 ベンガジ米国領事館はリビア内戦に荷担するCIAの拠点でもあり、米国の偽装した、リビアへの軍事介入の拠点でもあった(参照)。公式には米国はリビアの内戦には介入しないとしていたのだったが。


  
 

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