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2012.10.05

ガラムマサラの話

 ガラムマサラについて、一言を持つ人は多いだろう。私もその一人だと言いたいところだが、そうでもない。定見がないのである、私には。
 なので、ガラムマサラについて、けっこうどうでもことを書いてみたい。
 ガラムマサラとは何か? デジタル大辞泉にはこう書いてある。「各種スパイスを混ぜ合わせたインドの混合香辛料。インド料理に広く用いられる」。まあ、そうだ。語源はというと「元来はヒンディー語で、ガラムは辛い、マサラは混ぜたものの意」である。
 ようするに、各種スパイスを混ぜたものである。
 じゃ、それは何か?
 ウィキペディアにはこう書いてある。


 「辛いスパイス」と訳されることがあるが、辛味よりも香りをつけることを目的に使われる。ヒンディー語の "garam" には「暑い」「熱い」という意味はあるが「辛い」という意味はない。
 熱い香辛料と呼ばれる由来は、作る過程で熱を加えるためである(後述)。また、石井利一(S&Bスパイスクッキングアドバイザー)は、「『ガラム』は、“触れてあたたかい”というニュアンス。インドでは、それぞれの家庭で独自の配合で作られていることから、日本でいうところの『おふくろの味』といったイメージがある」と述べている。

 「ガラム」の解釈については置くとして、ようは、「それぞれの家庭で独自の配合で作られている」ということだ。吉田のタレみたいだな。
 だとすると、ご家庭ごとに勝手に調合するのか。
 そうだとも言えるが、できあいも売られているし、ガラムマサラの基本というものがあるんじゃないか。ウィキペディアはこう書いている。

 基本のスパイスは、 シナモン(肉桂、桂皮)・クローブ(丁字)・ナツメグ(肉荳蒄)の3つである。
 ほかにカルダモン、胡椒、クミン、ベイリーフなどを加えたり、ナツメグをメースに替えることがある。厳密なレシピは無く、同じ人が作る場合でもつねに配合が同じとは限らない。

 結論からいうと、こういう説明でもいいんじゃないかと思うが、ここでこういいう疑問は起きないだろうか? 各種スパイスを調合するというのなら、カレー粉と何が違うのか?
 これについて、「はてなキーワード」にこんなことが書いてあった。

garam masala。
インド料理には欠かせないスパイス。カレー店にはこの名前を取ったものもある。
ガラムマサラはすごいらしい
魅惑のカレーが出来るんだよ
ガラムマサラを毎日摂ろ
カレーのパワーを信じましょう

 ふざけてて書いてあるのかもしれないが、カレーとガラムマサラの関係こそ、日本人にとって最大の疑問と言っていいだろう。
 よって、ここは対するカレー粉とは何かが提示されるべきである。
 カレー粉ってなあに?
 ウィキペディアにカレー粉の説明があった。

 カレー粉の原型になったのはインドのマサラであるといわれている。しかしマサラは本来、料理に合わせてそのつど調合して作る混合スパイスのことであり、同じマサラを別の料理に使うことはない。

 はて? それではカレー粉とガラムマサラとの違いがわからない。
 とはいえ、調合されるスパイスの種類で見ればちょっと様子が見えてくる。

味 - クミン、コリアンダーなど
辛味 - カイエンペッパー、胡椒、ニンニク、ショウガなど
色 - ターメリック、サフラン、パプリカなど
香り - クローブ、シナモン、カルダモン、ナツメグ、オールスパイス、キャラウェイ、フェンネル、フェヌグリークなど

 そういうこと。
 ちょっと乱暴に言うと、カレー粉は、クミンとコリアンダーを中心に、黄色の色にターメリックを混ぜると、基本ができる。
 というわけで、私は、クミンとコリアンダーを等量にターメリック半分の特製カレー粉を作って常備している。
 基本ができれば、これに辛みと香りの好みを合わせると、カレー粉になる。
 ガラムマサラの話に戻ろう。
 ウィキペディアの話だと、ガラムマサラの「基本のスパイスは、 シナモン(肉桂、桂皮)・クローブ(丁字)・ナツメグ(肉荳蒄)の3つである」というのは、つまり、カレー粉の香り成分の強調なのである。
 別の言い方をすると、基本のカレー粉(クミン、コリアンダー、ターメリック)があれば、あとはガラムマサラで香りを強調し、辛みをチリで調整して自分の特製カレーができるというわけだ。
 そこで、S&Bの「ガラムマサラ」を見る(参照)。

こしょう、コリアンダー、赤唐辛子、カルダモン、クミン、クローブ、シナモン

 ありゃ?
 成分表記は通常配合量順に書かれているので、この順に入っているとすると、見てわかると思うが、カレー粉の基本が入っている。
 これ、コショウベースにカレーっぽい感じになっているのである。
 他も見てみよう。AllAboutに手製ガラムマサラの配合がある(参照)。

クローブ   5g
シナモン   1本(3~5g程度)
カルダモン   5g
ブラックペッパー   5g
クミン   10g
ローリエ   2~3枚

 ちょっと微妙だ。ウィキペディア的にはナツメグが抜けている。甘い香りが弱いか。
 あえて問題はというと、クミンの配合がもっとも多いことだ。クミンを入れると、簡単にいうと、カレーになってしまうのである。だから、この配合でも、けっこうカレーである。カレーと被っている。
 他はどうか。「魔法の香辛料ノート」というサイトにこういう配合がある(参照)。

カルダモン  小さじ1
シナモン  小さじ1
クローブ  小さじ1
ナツメグ  小さじ1
ローリエ  4枚
クミン  小さじ1
ブラックペッパー  小さじ1
スターアニス  小さじ1

 ほぉという感じ。クミンが入っているが、それほどは目立たない。スターアニス、つまり、中華素材の八角が入っているんで、甘いフレーバーが出るし、ナツメグでも強調される。
 同ページにはこのガラムマサにターメリックを加えて、「本格的チキンカレー」の作り方が乗っているが、ようするに、ガラムマサラはカレー粉の中核なわけである。
 マスコットのガラムマサラもこれに似ている。

クミン、シナモン、ブラックペッパー、カルダモン、その他香辛料。

 クミンが多いのでカレー粉っぽいが、これはこれでガラムマサラの基本。
 ところで、エスニックといえば大津屋である(参照)。大津屋のガラムマサラを見る。

原材料:ブラックペッパー、コリアンダー、クミン、フェネグリーク、シナモン、その他香辛料

 うっ。これはカレー粉っぽいぞ。なぜだ?
 説明が続く。

ガラムマサラはインド料理の万能スパイスで、その家庭により、また料理によって、いろいろにアレンジして使います。一般に肉・魚用には臭み消しの効果の高いナツメグ、ガーリック、クローブなど。野菜用にはコリアンダー、クミン、キャラウェイ、フェネルなどの芳香性スパイスを用い、これに辛味性スパイスをブレンドします。

 なるほど。というのは、これ、ようするに、大津屋ブレンドこそ、現地的なカレー粉の基本なわけなのですよ。
 日本だとカレー粉というとそれだけで論じられるけど、インド料理的には入れる素材でスパイスを当然変える。特に、肉・魚用と野菜用を変える。大津屋ブレンドのガラムマサラはまさにその用途でできている。
 とはいえ、最初からコリアンダーとクミンが入っていると、ほんとカレーだなという感じ。
 ラーメンやでよく見かけるGABANはどうかな? GABANのガラムマサラはこう。

コリアンダー、クミン、スターアニス、ターメリック、カルダモン、クローブ、唐がらし、その他の香辛料。

 これは大津屋と似ている。基本のカレー粉という構成になっている。
 マコーミックのガラムマサラはちょっと面白い。カレー粉っぽさがちょっと引いている。

ナツメグ、フェンネル、コリアンダー、クミン、カルダモン、クローブ、シナモン、ジンジャー、その他香辛料

 さて、実は、このガラムマサラ話、ここまで前振りだったのである。
 実は、ハウスのガラムマサラが面白いのだ。こういう調合になっている。

オールスパイス、ブラックペパー、シナモン、ローリエ、カルダモン、クミン、クローブ、バジル、コリアンダー、ガーリックパウダー

 配合比はわからないけど、多い順に並んでいるはず。そして、クミンもコリアンダーも入っているので、当然カレー粉臭はある。使っているから、本当ですよ。
cover
ハウス ガラムマサラ 13g
 しかし! シナモン・クローブ・ナツメグを兼ね備えたオールスパイスが前面に立つことで、香りが引き立つ。
 つまり! これこそ、日本のカレーに加えるべき、日本人のためのガラムマサラだと言えるのではないか!!
 さっきのGABANも実はハウス食品、さらにNEWCROWNACEもハウス。ハウスって自社系列で、3種類のガラムマサラを出している。やるな。
 とか、ちょっと感動してしまったわけですね。ステマみたいですが、違います。
 ガーリックパウダーは配合しなくてもいいと思うけど、これ、カレーに加えても使えるし、そのままローストチキンに使ってもいいし、チャイ(スパイス紅茶)にも使えて、便利ですよ。
 カレーに入れるときは、5皿分に小さじ1/2とあり、ぱらぱらと振るよりは少し多めに使う。
 パッケージを見ると、その他、野菜炒め、焼きそばにともある。まあ、好みによるだろう。
cover
マスコット
ティーマサラ カルダモン 28g
 チャイ限定であれば、マスコットのティーマサラのほうがいいかもしれない。「カルダモン、シナモン、ジンジャー、その他香辛料」と、まさにチャイ向け。
 
 

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コメント

 これはいいカレー薀蓄ですね。こんな感じ的な図解が無くとも情景や味を想像できそうな達意の良文かと。

 私、最近になって拙宅宜しくないことばかりですよ。

・お仕事クビに。高齢失業者途方に暮れてます。
・交通事故に。100万円ほど賠償。
・ネット放浪先で書込禁止になる。ちぇ。
・可愛い可愛い駄猫ねこさん(雌推定6歳・淑女・姫)が失踪。

 ここ1ヶ月、こんな感じで鬱展開。悪いときには悪いことが重なるもんです。上記4件中3件は時間が解決しそうな気もしますけど、ねこさんだけは時間が経っても解決しそうに無いので不安と焦燥に苛まれてます。ねこ…。

 そんな時は辛い食べ物で気分をスッキリさせるのが効果的なんで、キムチやカレーを食してますよ。そんな意味でもタイムリーな記事でした。ありがとさんです。

投稿: のらねこ | 2012.10.05 19:24

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