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2012.09.19

中国様のお考えを拝聴してみようではありませぬか

 私は中国語がわからないので環球時報の英語版を読むのだが、なかなか含蓄深いお話があったので、ここは一つ、日本国民も中国様のお考えを拝聴してみようではありませぬか。拙い試訳ではあるが(参照)。

9月18日には戦争を顧みる機会である

 今日は、前世紀、日本が中国に侵入した、あの9月18日の出来事の81周年記念日である。日本侵略への抗戦は1945年に終了したが、魚釣島問題での最近の世論加熱をめぐって再びその警戒が沸き起こってきている。中国と日本の間に新たなる戦争が始まるのかと懸念する人が多数いる。
 西太平洋域の国々にあって両国は主要な競争相手であった。81年前に始まった惨事で中国は、日本による最大限の屈辱に苦しんだ。日本は強大な軍事力の優位で隣国を侮蔑し続けた。日本政府が降参してもその心理的な優位が断念されることはなかった。日本人にしてみれば、中国の勝利は米国やソ連によってもたられたものである。
 1970年代と1980年代の短期間の友好気運が邪魔をされてきたのは、両国が歴史や領土について多数の口論に巻き込まれたからだ。個々の口論が日中間の現在の関係の中心になってきたようだ。
 こうした二国関係に大きな影響を与えたのが、中国の台頭である。中国は国内総生産の点で日本をすばやく凌駕した。軍事支出も日本を越えた。この間、核の力や宇宙開発技術も中国の戦略的発展を支援した。理論的に言えば、中国は日本を粉砕することが可能である。
 日本は中国の脅威と中国による報復の可能性に怯えるようになった。心理的な弱みを抱え込むようになった。
 靖国神社問題、教科書問題、南京虐殺問題など日本が持ち出す問題は、日本がしだいに自信喪失になってきたことを反映している。日本の右翼政治家が強硬姿勢を取るのは、彼らが中国の台頭を懸念しているからである。魚釣島を巡る現在の危機は、中国を怒らせる最後のチャンスだと見なす日本人が多数いる。
 9月18日記念を振り返ってわかるもっとも重要な要素は、81年前と比べ、二国間の力の均衡が変わったことである。多大な苦難を乗り越え、中国は戦略的に日本を打ち負かすことが可能になった。中国は日本に報復する必要などない。力の優位差を拡大していくことが、日本に対する中国の戦略的優位を強固なものにする。日本は、中国人の抗議活動者やその世論を恐れてはいないが、中国が台頭を続ければ、畏怖するようになるだろう。
 抗議活動というのは、中国がまだ弱い国であった時代に、侵略や挑発に立ち向かうひとつの方法であった。いまだ中国人が愛国心を示す手段でもある。だが、私たち中国人は、中国が強大になるのに合わせて、こうした方法を段階的に過去のものとしていくべきだろう。
 9月18日は中国屈辱の日である。中国はこれ以上の屈辱を受けることがないよう、強国となり団結しなければならない。そうでなければ、記念日の出来事はすべて無意味なものとなる。


Sep 18 offers chance to reflect on war

Today is the 81st anniversary of the September 18 Incident, which started Japan's invasion of China last century. Though the War of Resistance against Japanese Aggression ended in 1945, the alarm has been raised again surrounding the recent escalation of the Diaoyu issue. Many are questioning whether another war will break out between China and Japan.

Both were major competitors in the West Pacific for several centuries. The catastrophe that started 81 years ago saw China suffer the worst humiliation by Japan. The huge power advantage has sustained Japan's contempt toward its neighbor. Even Tokyo's surrender didn't break its psychological advantage. For Japanese, China's victory was granted by the US and the Soviet Union.

The brief friendly momentum in the 1970s and 1980s has been interrupted as the two countries are involved in many disputes, such as those over history and territory. These concrete disputes seem to be the core of the current Sino-Japanese relationship.

The factor that affected this bilateral relationship is China's rise. China exceeded Japan swiftly in terms of GDP growth. Its military spending also surpassed that of Japan. Meanwhile, its nuclear power and space technology have supported China's strategic development. In theory, China could destroy Japan.

Japan has become worried about China's threat and the possibility of China's revenge. Its psychological vulnerability has been accumulating.

The controversies Japan raised over the Yasukuni Shrine, textbooks and the Nanjing Massacre have reflected Japan's gradual loss of confidence. Right wing politicians in Japan have advocated a hard stance toward China because they are concerned about China's rapid rise. Many Japanese reckon the current crisis over the Diaoyu Islands is the last chance for Japan to ignite China.

Looking back at the September 18 Incident, the most striking fact is the shifting balance of power of the two in 81 years. After overcoming great difficulties, China can strategically outcompete Japan. China doesn't need to take revenge on Japan. Enlarging the gap in strength is key to consolidating its strategic superiority over Japan. Japan is not scared of Chinese protesters or public opinion, but it would be dreadful for it if China continues to rise.

Demonstrations used to be one way that China dealt with invasion and provocations by other countries when it was a weak country. It is still the means through which Chinese show their patriotism. Perhaps we should gradually leave such means behind us, as China has grown powerful.

September 18 is the date of China's national humiliation. China must be strong and united to avoid any further humiliation. Otherwise, all the commemorative events today have no meaning.


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キングダム 公式ガイドブック

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コメント

中国人は三枚舌ですから。言っていること、やっていること。さらには本当に思っていることが違う民族ですから。

投稿: アンチ中国 | 2012.09.19 20:19

今回のことは、中国の成長にも翳りが見えてきたことが一つのきっかけになってるんじゃないでしょうか。韓国大統領の蛮勇もそんな感じです。経済がダメになった時はどうなるやら…。

投稿: ashikus | 2012.09.19 21:52

先生がキングダム・ネタ出してくるとは思わなかった。
睨み合いの最中アニメ見ていると自虐的に呟いていたので、これかと思っていたが……
でも、日本って窮鼠猫を噛む風情で玉砕するの得意だよ。たまたまうまく行けば神風のせいにしますが……

投稿: みけ | 2012.09.19 22:30

アホすなあ

投稿: rabi | 2012.09.19 22:44

日本と中国を比べるというよりも、日本の体制と中国の体制とを比べたらよいと思うのだが...

日本と中国の経済が崩壊した場合

日本は民主主義の元、選挙によって政権が交代するだけだし、それによって、日本国家が空中分解することはないだろう。むしろ、国家が一つに団結するだけ。ここが単一的な島国国家の強いところ。

しかし、中国の場合は、共産党一党独裁体制のために、国民の不満のはけ口がないために、それがそのまま、中国の体制の崩壊まで行ってしまう可能性がある。また、同時に、中国が統一国家のままでいられるのは、彼らが民主主義を否定して一党独裁の中央集権体制を敷いているからなわけで、旧ソ連みたいに、内部分裂してしまう可能性がある。

小沢一郎が言っていたが、それが、中国の弱点だとか。中国は民主主義を導入していないので、世界恐慌とか大不況が来ると、国家崩壊まで行くと。

そういう意味で、中国は大変に追い込まれていると。日本は平成不況が20年ぐらい続いているけど、その割には、暴動も起こらないし、デモすら起こらない。

投稿: きたさん | 2012.09.20 00:47

大変面白かったです。ありがとうございます。中国人の一般的な知識層の考え方がよく分かります。中国も日本も歴史を知らないと思います。ただ中国人の場合には屈辱史観として歴史を現在との繋がりとして理解していると感じています(それが信仰なので面倒です)。日本人は、そもそも何にも知らないし、知ることが必要だとも思っていません(笑)。

投稿: ボンボン太郎 | 2012.09.20 13:10

中国のテレビからではこの内容は読み取れなかったです。このメッセージが日本のマスメディアから紹介されないことに、両国の溝が埋まらない原因があると思います。

投稿: りつと | 2012.09.20 18:07

中国は他国のコピーが多すぎて技術的には中国は三流ですが 国が投資している ハッカーとかはある程度のレベル行ってるでしょう
国がかりでやっているみたいですね
まあ人間的か 社会的にもやる事は程度は低い行動です
こんなのは世界の迷惑です
泥棒より悪い行為ですね

投稿: | 2012.12.19 20:56

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