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2012.08.16

あらゆる物の調理法・基本編(How to Cook Everything The Basics)・マーク・ビットマン(Mark Bittman)

 料理の本は見ていているだけで楽しいものがある。現代アメリカの料理の本だと、「あらゆる物の調理法・基本編」が私は好きだ。写真が1000点も含まれていて、美しい。見ているだけで食欲がわいてくる。タイトルは仮に訳したけど、もしかすると正式な訳本があるのかもしれない。ざっと探したところでは、見つからなかったが。

 

cover
How to Cook Everything
The Basics
 オリジナルのタイトルは"How to Cook Everything The Basics"(参照)。ニューヨークタイムズのコラムニストであるマーク・ビットマン(Mark Bittman)が書いた本だ。
 ちなみに、これは基本編で、そうでないのが「基本編」がついていない"How to Cook Everything, Completely Revised 10th Anniversary Edition"(参照)のほうだ。こちらは、完全改訂10周年記念とあるようにさらに定本という感じがする。実際、家庭用の料理本としてはほぼバイブルといってもいいのではないか。レシピもアレンジを含めて2000点も掲載されている。初版は1998年に出た。分厚くて扱いづらいのだけど、今年、これのiPhone/iPad向けの電子本が出た。電子本だと計量も日本や欧州のようにグラムの単位にも切り替えられる。タイマー機能もついている。便利といえば便利。ただ気楽に見て楽しむという感じではない。
 その点、基本編のほうは1000点の写真付きなので、写真が多くて見ているだけで楽しい。手順を詳しく写真で解説しているほどでもないが、調理の要所、要所の写真が美しく撮影されていて、いろいろ想像できる。
 基本編とするだけあって、お湯の沸かし方からゆで卵のゆで時間の違いといった、ごく基本から説かれている。もちろん英語で、しかも料理用語も多いのだけど、それほど難しくない。むしろ本書は他の英語の料理本を読むのに役立つ辞書的な意味合いもある。Kindle版もあって私はiPadやパソコンで見ることが多い。

 基本編に収録されているレシピは185点。多いようにも思えるけど、アレンジを含めているので、実際には50点くらいだろうか。一通り料理する人なら、これくらいは全部知っている。その意味では、レシピ自体が面白いということはないが、細かい点で自分の調理手順と違うところなどを見つけて感心したりというのはあるだろうし、「これが基本だよね」という、なんというか、現代人の普通の食事の中心感覚がある。たぶん、ビットマンの食の考え方にも関係している(参照)。

 ビットマン自身はベジタリアンではないが、ベジタリアンに近い。簡単に言うと、お肉の料理はディナーくらいにしておきましょうということだ。本書も肉料理は多いのだけど、米国のレシピ集としてはめずらしいくらい野菜や穀物が扱われている。というか、おそらくビットマンのこの「あらゆる物の調理法」の影響が他の米国の料理本にも影響しているのだろう。
 日本の、この手の基本の料理本と違うのは、朝食や軽食、パーティ食といった軽い食事についてきちんと書かれていることだ。日本人のイメージからするとホテル飯みたいな感じもするが、基本の卵料理や、小麦から作るパンやピザ、ショートブレッドのようなレシピは便利だ。
 本書はアジア食のレシピの採用もあるけど、いわゆる日本人の食とは合わないかもしれないし、和食的な志向とは違う。それでも「文明国で、新しいスタンダードで普通の食事ってなんだろうか」というのを考えるなら、この本がもっとも明確にそれを表現しているとも言えるだろう。
 
 

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「食」カテゴリの記事

コメント

 お久し。食事ネタ時に不快感を催す名前でどうもすいません。昨年あたりから努力の甲斐あってか心身ともに野良ねこになりましたので、こちらでの名前をのらねこに変更しようかと存じております。あまり立ち寄りませんけど。

 あと、何気に随分昔に申し上げた「宝くじで3億円当たったら500万円配っちゃうよキャンペーン」を地道に継続中なので、いつかそのうち当たるといいねくらいにゆったり構えて、ぼちぼち買って逝きたいと思っております。

 そういうことで。おかずの写真おいしそうですね。善き哉。

投稿: 野ぐそ→のらねこ | 2012.08.16 21:59

おしゃれ(ゆで卵の写真)だなと思いました。

お湯の沸かし方から書いてあるという事で、ほとんど料理しない(出来ない・知らない)ので、「いいかも」と思ったら、英語も出来ないんだった‥。

投稿: | 2012.08.17 07:12

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