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2012.07.16

アメリカ先住民はどのように北米大陸に定住したのか

 アメリカ先住民はどのように北米大陸に定住したのか。この話題に関連して、先週の科学誌「ネイチャー」と「サイエンス」に新説が掲載されていて興味深かった。「ネイチャー」のほうは「Reconstructing Native American population history(ネイティブ・アメリカンの人口史再構成)」(参照)、「サイエンス」のほうは「Clovis Age Western Stemmed Projectile Points and Human Coprolites at the Paisley Caves(ペイズリー洞窟のクローヴィス時代新大陸型有茎尖頭器と人糞石)」(参照)である。
 話題は、同じく「ネイチャー」誌の一般向け報道「Genomes and fossil faeces track the first Americans(ゲノムと糞石から最初のアメリカ人を探す)」(参照)が読みやすい。
 要点は、1万3000年前のクローヴィス時代のペイズリー洞窟にある新大陸型有茎尖頭器と人糞石DNAの分析から、同時代に2つの異なる石器文化が併存したことだ。別の言い方をすると、単一文化の民族がアジアから北米大陸に移住して拡散したのではないということだ。
 これまでの主要説では、最初に北米大陸に定住した先住民族は1万3000年前のクローヴィス人であり、これが拡散し北米各地に尖頭器を残したと考えられていた。しかし近年の調査で、太平洋岸北西部からチリ南部までにクローヴィス人に先行した民族の定住遺跡が発見されている。今回、ペイズリー洞窟にある有茎尖頭器を調べるとクローヴィス人の文化とは異なり、また人糞石からはそれが年代的に同時代であることがわかった。おそらく複数の民族と文化が併存していたのだろう。
 一般向けの報道として、BBCもこの話題に注目していた。「Americas 'settled in three waves'(アメリカ人は3波で定住した)」(参照)である。タイトルからもわかるように、こちらは「3波」が強調されている。3波はどうなったか。後からの2波は言語、エスキモー・アレウト語とディネ族のカナダ・チプウィアン語に影響を残すものの、これらの話者のDNAからは、彼らがその先行波の民族に取り込まれていったようだ。DNAからの関連の度合いはアレウト語話者で50%、チプウィアン語話者で90%とのこと。通常、言語と民族は一致するものではないが、興味深い結果だ。

 なお、アメリカ先住民の定住ついては「銃・病原菌・鉄」(上巻下巻)で、懐疑的にかつ慎重に扱っているので、今後の新説の動向と比較してみるとよいだろう。
 
 

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