2ちゃんの、英語のfriendを「ふりえんど」って覚えた奴w
英語学習ネタはしばらくやめようと思っていたのだけど、2ちゃんねるのまとめサイトで「英語のfriendを「ふりえんど」って覚えた奴wwwwwww」(参照)というのを見かけ、いつもどおりざっと笑いながら読んで終わりとしようと思ったけど、もしかしてこれ説明しておいたほうがいいんじゃないか、と思い直したので、ちょっと書いてみますか。それほど正しい説明でもないし、他所で見かけない話というのでもないけど。
具体的にタイトルにあるように英語の"friend"を「ふりえんど」って覚えるという話だけど、このスペリングはどう見ても、/fɹɛnd/とは読めない。なので強引に覚えるしかない。「ふりえんど」もしかたないということになる。
それでも英語にはスペリングのルールのようなものがある。例えば、母音が二つ並ぶシラブルの場合は前の方ので代表する。これが当てはまるのは"people"の"eo"で、"e"が発音のカギで、続く"o"は発音しないといった場合。他にもこんなの。どれも、後で説明するlongの母音になる。
fair, paint, wait
dial, trial, vial
dua, fuel, juice
clean, hear, people
boat, coat, four
ルールとはいっても"people"の場合"e"の後ろが"o"であることはやっぱり覚えないといけない。ついでにいうと、発音しない後続母音字は脱落しやすい。英国英語だと"colour"だけど、米語だと"color"になった。
"friend"だがこのルールだと「ふらいんど」みたいになるはず。でもそうなっていない。じゃあ、ルールもなんもないじゃん、なのだけど、母音が二つ並ぶシラブルの場合で"i"が先の場合はそれを無視というサブのルールがあるにはある。ただし、"friend"と適用が違う。
field, lied, piece
"diet"もそれと違う。ああ、残念。
次。
2ちゃんの例では、
baseballを「ばせば11」って覚えた奴
これはスペリングのルールどおり。
"baseball"は、"base"+"ball"と分ける。
"base"なんだが、この語末の"e"は英語国民は"Silent e"(参照)として習う。意味は「発音しないE」なんだけど、機能はその前のアクセントのあるシラブルの母音をlongにすること。
で、longって何?だが、ようするに、a・i・u・e・oというラテン語母音字を英語では、longとshortに発音し分ける。longのはいわゆるアルファベット読みになる。発音表記はIPAを借りるとこう。なお、これが英語学習によいというわけではないのはまた別の機会にでも。
long short
A eɪ æ
I aɪ ɪ
U uː ʌ
E iː ɛ
O oʊ ɒ
以上から、"base"は、b + long a +sで、「べいす」みたいになる。
"Silent e"のルール例はこんな感じ。
Without silent e → With silent e
slat slate /slæt/ → /sleɪt/
grip gripe /ɡrɪp/ → /ɡraɪp/
run rune /rʌn/ → /ruːn/
met mete /mɛt/ → /miːt/
cod code /kɒd/ → /koʊd/
なお、"Silent e"は、頻繁に使う語彙に例外が多い。
come, done, give, love
次は"ball"だけど、これは"al"と"aw"は/ɔ/と発音するルールから「ぼーる」になる。「ぼうる」みたいに「う」の感じは入らない。日本語だと「あー」に近い。なお、"aw"は語末でないと、"au"になる。"launch"は、「らうんち」ではない。「らーんち」みたいな感じ。
いずれにせよ、"baseball"は発音ができると、以上のルールからスペリングも決まる。
ということで、英語を母国語としている人は、子どものころから発音を先に覚えて、それをスペリングにするルールを覚える。
発音ができて、スペリングの基本ルールを覚えておけば、たいていの英語のスペリングが書けるということにもなり、実際のところ、英語のスペルチェッカーはそれが主目的になっている。まとめると、発音どおりに英文ワープロに入力すればほとんどのスペリングは修正してくれる。もっとも、やばい例外もあるにはあるので注意は大切。
次。
soccerを「そっけら」って覚えたやつwwww
これもだいたいルール通り。
重要なルールは、単語はシラブルで分けるということ。シラブルって何かだけど、母音を1つ含んだ発音の単位。詳しくはこれも別の機会に説明するかもしれないけど、いずれにせよ、"soccer"は、"soc"+"cer"にわけられる。"Silent e"もなく、longの母音もないので、発音の /ˈsɑk.ɚ/ からだいたいスペリングが決まる。
ただし、英語単語の慣例からすると、"socker"となりかねないし、"sucker" ( /ˈsʌk.ɚ/ )という単語もある。"c"がどういうふうに英語単語に出てくるかというのは、Centum-satem isogloss(参照)という問題がある。GIFを「ぎふ」と読むか「じふ」なども関連する。外来語の語感でだいたい決まる。でも、これらも明瞭化のために変化しやすい。英国英語だと"licence"だけど米語だと"license"になった。
次。
Favorite ファヴォリテ
これもだいたいルール通り。ポイントはシラブルに分けてアクセントの位置を確かめること。"favorite"は、fa + vor + iteになる。"Silent e"があるけど、"ite"にアクセントがないので、shortの母音になる。"vor"もshort。そして、"fa"にアクセントが来てlongなので、「ふぇいう゛ぁりと」になる。ちなみに、"ite"は現代語ではschwaになっているようだし、"vor"はr母音ではなくr音だけになっている。
次。
acquire
は覚えにくかった
qがマジ曲者
シラブルで分けると、ac + quireで、"q"は通常"u"伴って"k"の子音を示す。アクセントは二番目になるので、quireが「くわいぁ」みたいになる。で、qの前のshortの"a"を示すために、"ak"なんだけど、Centum-satem isoglossで"c"になる。
次。2ちゃんではないけど、
フィラデルフィアは「ぴーえいちあい ラデル ぴーえいちあい ア」だお。
というけど、これもほぼルールどおり。シラブルに分けてアクセントの位置を確かめる。delにアクセントで、fila + del + fia。可能性としては、lを重ねてfillaかもしれないが、そこにアクセントはないのでshort母音でlが一つ。すると、filadelfia。おっとこれはスペイン語。英語ではギリシア語の外来語として、fをphにするので、"philadelphia"になる。
すべての単語がこういくかというと、発音で覚えるんじゃなくスペリングから覚えやすい単語だとたまに混乱がおきる。たとえば、"jewelry"はネイティブも戸惑う(参照)。
I always said it like "JEW-LER-REE".
Is it suppose to be like " JEW-ELLE-REE"?
いずれにしても、英語ってどうして発音とスペリングがめちゃくちゃになってしまったのかという大きなテーマがあって、これはまた別の機会にでも。
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コメント
英語ねた、面白いのに。
私は「水曜日」を「ウエデンイーエスデイ」と覚えました。ダメでしょうか。
投稿: | 2012.07.19 17:05
ん??でも発音からスペルが自動的に分かるんだったら
全米子どもスペリング大会(大会名忘れた)が
成立しないんじゃ無いかしら??
投稿: みかん | 2012.07.19 20:59
いちばん最後の「参照」リンク切れしてますね。
投稿: a 読者 | 2012.07.22 19:09
リンク切れ、ご指摘ありがとうございます。訂正しました。
投稿: finalvent | 2012.07.22 22:03