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2012.06.19

3分間でLとRの発音をテケトーにマスターする

 たまたま、はてなブックマークで「はてなブックマーク - 3分でLとRの発音を完璧にマスターできる5つの音声トレーニング | わいわい英会話」(参照)というのを見た。私が見たときは400くらいブックマークがついていた。人気が高いと言えるのではないかと思う。ネットとかで英語を学びたい人は多いのだろう。その程度の印象でいつもならこうした話題は通り過ぎて、元記事を開くことはないが、タイトルの「LとRの発音を完璧にマスター」を見てつい、そうだなあ、あれは意外に難しいんだよなと思ったので、どう教えているのか元ネタ(参照)を開いてみた。ざっと目を通して、え?と思った。
 簡単にいうと、ダークエル(dark L)の解説がなかった。このサイトの他の部分で説明されているのかもしれないが、英語のエル(L)の発音を学ぶときには、ライトエル(light L)とダークエル(dark L)を区別したほうがいい。いや、非英語国民の大半は区別しないからどうでもいいという意見もあるかもしれないけど。
 英語の発音なんか、どうでもいいか、とも思ったのだけど、「RとLの発音が両方含まれる英単語で発音練習をしてみましょう」という例文に「girl letter girl letter girl letter」とあって、うーむ、これはギャグサイトかもしれないので、ダークエル(dark L)がどうたらという野暮な話はなしってことかな。
 たいていの人は知っていると思うので、ごく簡単にいうと、英語のエル(L)の発音は、語頭にあるときはライトエル(light L)でそれ以外ではダークエル(dark L)になる。そうだなあ、ついでなんで私なりにLとRの発音をテケトーに説明しときましょうか。もっともよくブコメに書かれているように、極東さんは英語できないですから、なので、間違いも多いと思うので、テケトーに受け取ってくださいね。

英語のエル(L)の発音は、語頭にあるときはライトエル(light L)で語末ではダークエル(dark L)
 "list"のエル(L)は語頭にあるので、ライトエル(light L)。これはいちおう日本語の「リスト」の「リ」の音に近い。舌先が歯茎に付く。あと、母音が続く場合もライトエル(light L)になる。"slip"や"play"とか。
 これに対して、"people"のエル(l)は語末にあるのでダークエル(dark L)。なので「ピーポウ」。"battle"も同じで「バトウ」。あと、子音の前に来るときもダークエル。"milk"のエル(l)は子音前の語中にあるのでダークエル。米語だと舌先は歯茎に付かないので、「ウ」の音に近くなる。「ミウク」ですね。
 以前米人がエル(L)の発音を日本人に説明しているところに遭遇したことがあり、"Milk"を「ミ・ウー・ク」みたいに分けていて、エル(L)の発音がライトエル(light L)に近かったので、あ、それ、違いますよ、舌歯茎に付かないですよ、自然に発音してみてくださいよ、と言うと、米人さん、怪訝な顔して、なんどからつぶやいて、ほんとだ、と発見して驚いていた。米人のネイティブでも発音勉強したことない人は、ライトエル(light L)とダークエル(dark L)の違いを知らないもんです、きちんと発音できるのに。

"al"は「オー」
 "talk"や"walk"はエル(l)の字が入っていても、エル(l)の発音はしません。"al"で固まっていると思っていい。同じなのが、"au"で、これも「オー」。実際は「ア」に近い。"caution"は「カション」ですね。ちなみに、"u"は語末に来るとスペリング上は"w"なので、"saw"は「サ」。これでやっかいなのが、"also"で、辞書には「ɔ'ːlsou」みたく、ダークエル(dark L)を表記していることが多いのだけど、現代米語ではダークエル(dark L)なしが多い。

「ら」の正体
 LとRの発音をテケトーにマスターする上で大切なのは、日本語の「ら」の正体だと思う。これ、エル(L)でもアール(R)でもない、フラップ(flap)という子音。正確には、"Alveolar lateral flap"という子音。flapはパチンと叩くという意味があるように、舌で歯茎のあたりに軽くタップするように触れて出す子音。Tapとも言う。で、日本語の場合、「た」「だ」「な」も舌のタップと接触が近いので、似た音になる。このため、「ダメー」が「らめー」になるし、日本語勉強してない米人に「ただなら、もらう」と言うとうまく聞き分けできない。
 あと、英語のティー"T"の音が語中の特定の環境ではフラップになる。"water"が「わら」となる。

LとRの正体
 これに対して、ライトエル(light L)は、リクィド(liquid)という子音。液体というか、「ぐんにょり」するということで、音が母音のように流れる。このあたり、流れるからliquidなのか、詩の韻律上の用語なのか今一つわからない。簡単にいうと、ライトエル(light L)が歯茎に付いたまま舌の横から母音が流れ漏れる音なわけ。ただし厳密にはもうリクィド(liquid)という用語ではなく、"Alveolar lateral approximant"のはず。
 語頭のアール(R)はなにかというと、米語だと"Alveolar approximant"という子音。私が学校で学んだころは、"retroflex"とか言って「そり舌音」と訳していた。なので「舌を巻くように」みたいな説明だった。そういう発音もあるけど、米語は"retroflex"を使ってなくて、"Alveolar approximant"を使っている。うーむ、なんじゃ、それ。
 簡単にいうと、舌を巻くという意識なしに舌先を歯茎に近づける(approximate)する音。日本語のflapを寸止めにして少し母音を流す感じになるが、舌の奥も顎の内側で盛り上がるというかそのついで舌先が歯茎に近づく。この発音のとき米人は口をすぼめることが多い。"write"みたいに"w"がスペリングに付くからか、もともと米語の"Alveolar approximant"は口すぼめ(rounding)が附帯しがちだからなのかよくわからないが。日本人の感覚だと犬が「ぅぅぅぅ」と呻るような音。いずれにせよ、米語の語頭アール(R)というのは英語という視点からは奇妙な音で、たぶん移民の影響でドイツ語やフランス語のアール(R)がなまったんでねえの。

後続するR
 母音に続くアール(R)、例えば、"car"とか。これは米語だと"ar"で一つの母音として扱う。発音としては舌を喉のほうに引き込むような感じ。ただし、これにさらに母音が続くと語頭のアール(R)のようなリエゾン(結合)が起きる。"for a few minutes"だと"ra"のように聞こえる。
 このあたり、米語ではなく英語だとリエゾンがないとアール(R)はないのに、後続に母音が来ると現れるという現象がある。で、これが意識化されるために、母音が続くときに"r"を挿入してしまう現象もある。"I saw a film"だと、"I saw-r-a film"になる。古典日本語でも、"村(mura)"に"雨(ame)"が続くと、途中に"s"が入って、「むらさめ」になるのと似た現象。
 ティー(t)やディー(d)に続くアール(R)は、子音の音色を少し変える。"tree"はツリーじゃなくて「チュリイ」"。日本人の感覚だと、"tr"という一つの子音があるような印象になる。
 ちなみに、"free"だと"f"と"r"の間は詰まるが、"flee"だと間が空いて分離した印象になる。ただし、日本語の「フリイ」のように"fu"のような母音は入らない。


 そんな感じ。
 なんか重要なこと書き落としているような気がするけど。ああ、発音だけ話して聞き取りのことを書いてなかったけど、まあ、いっか。
 この手の話は「手づくり英語発音道場 対ネイティブ指数50をめざす (平凡社新書)」(参照)が比較的詳しい。著者、専門家ではないけど、だからこそいろいろ疑問に思って調べたらしい。

cover
手づくり英語発音道場
対ネイティブ指数50をめざす
(平凡社新書)
 英語については、英語の発音や文法の専門家は教育の分野に手を出さないんですよ。正しいこと知っていても、英語教育には出てこない。なぜか説明すると長くなるんで、興味ある人がいて機会があったら書くかもしれないけど。心理学の専門家が人間心理について語らないと同じようなものなんで、特段に不思議なことでもないけど。
 
 

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コメント

日本語のナマリが治らんのに、

英語だと治るという発送がおかしいべ。

うんだうんだ。

英語はリズムだべ、

返答のタイミングだべ、

ま、よくわからんがのうw

投稿: | 2012.06.19 15:57

こんにちは。

LとRの違いはよく言われますが、私はちゃんと知らないので「へぇー」とか思いながら楽しく読んでました。(大抵の人は知ってる?)
が、半分くらい読んだら、頭に入ってこなくなってしまいました。

学校で習った覚えはありませんが‥どっちにしても、習った英語も忘れてるし。

後半も、後でちゃんと読まないと。

3分でマスターできなかった‥。

投稿: | 2012.06.22 15:14

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