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2012.05.02

みなさん中央銀行について何かご存じですか?

 みなさん中央銀行について何かご存じですか? 「中央銀行ですよね。山梨県?」なるほど山梨中央銀行ってありますね。ほかのみなさん、どうですか?「あたし知ってます。偉い人が使う銀行です」 みなさんが使ってるんですよぉ。「使ってませ~ん」ほかにお答えはありますか?「お札刷っているところです」そうです。はい、この千円札をよく見て下さい。カメラさん寄って。日本銀行券って書いてありますよね。日本の中央銀行である日本銀行が刷ったからんです。「あ、ほんとだ。書いてある。知らなかった」そうなんです。「銀行ってお札刷るんですか?」いえいえ。「中央銀行だけはいいんですよね。でもなぜいいの?」いい質問ですね。では中央銀行ついてご説明いたしましょう。
 中央銀行は英語でセントラバンクといいます。パネルを見てください。中央に英語で"Central bank"とありますね。そしてまわりに銀行があります。

 「やっぱり偉いんじゃないですか」偉いというより、銀行を相手におカネを貸す銀行なんです。銀行のなかの銀行と言う人もいます。「さっきの説明だと、貸すおカネは、お札として刷ったものなんですか?」いいとろこに気がつきましたね。中央銀行はお札を刷って貸すことができます。「いいなあぁ、あたしも欲しーい」ははは。できたらいいですよね。
 「質問いいですか?」はい、どうぞ。「日本はおカネが足りなくて困って消費税を上げようとしてますよね?」それで?「中央銀行がお札を刷れるなら、じゃんじゃん刷ればおカネが足りるんじゃないですか?」実にいい質問ですね。どうすか、みなさん。「変! そんなことしていいわけなーい。働かないでおカネなんてラメー」もちろん勝手にお札を刷っていいわけではないんです。「犯罪ですよ、それ」
 では、次の絵を見て下さい。なんの絵かわかりますか?

 「おじいさん、目が行ってる」なにをしているかわかりますか。「頭がおかしくなって飛び降りたいんでしょ」お札、見えますか?「これ、お札なのぉ?」そうです。お札をヘリコプターでまいているところです。「ひどーいっていうか、ほしーい」この絵の人は……「孫さんでしょ。ソフトバンクの」いえ。アメリカ人。「原発の人ですよね」あー、名前はバーナンキさん。アメリカの中央銀行で一番偉い人です。「仕事がきつくて、頭がおかしくなった人ですよね」いえ。でもこんなふうにみんなにおカネを配りましょうということです。「ほしーい!でも、いいのぉ?」
 では、説明しましょう。次の写真を見て下さい。

 「知ってます。クルーニー。映画俳優ですね」いえ。ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンです。彼は子守り組合という例え話をしています。赤ちゃんの面倒を見る組合サービスです。「それ、あったらいいです。うちの姉なんかもう誰か子守りしてくれないかっていつも言ってます」そうですよね。そこで子守り組合は、子守りをするポイントの券を作って組合員で分けて、他の子の子守りをしたらポイントが貯まるような仕組みにしたんです。「他の子の子守りをしたらそのポイントが増えて、それで誰かに子守りが頼めるんですよね」そうです。理解が早いですね。正確には利子とかの話なんですがちょっとアレンジしました。「それが中央銀行に関係があるんですか?」
 こう考えてください。子守り組合の人がポイントあまり使わなくて、貯めることに熱心になったら、どうなるでしょう?「たくさん貯めておくと、いざというときに便利」そうですね。でも子守り組合の活動はどうなりますか?「暇になる」そうです。暇になるとすると……「サービスがうまくいかない」そうなんです。
 「わかったー! お札も子守りポイントの券と同じなんだ」どうですか。「わかんないです」お札というのもいつか使うためのものですよね。ということは、それなのにみんなが貯め込むとどうなりますか。「サービスが暇になる」そうです。サービスが暇になるということは仕事が減るということです。お札が行き渡れはもっとサービスも行き渡るはずなのに、出回るお札が足りないとサービスも行き渡らない。困りました。
 「わかったー! だからヘリコプターでお札をまこうとしてたんだ」そうです。もっとお札を使ってくだいってお札を増やせば、サービスが受けやすくなりますね。
 「ちょっと待ってください。そんな話は変です」どう変ですか?「ただでお札が増えたということは、以前のお札の価値が減ったということにならないですか。せっかく貯めたのに、ただ券が増えたら、もとの券の価値が下がりますよ」いいところに気がつきましたね。そうです。するとどうなりますか?「どうなるって? えーとどうなるんだろう?」お札の価値が下がるとサービスの値段は?「上がる」そうです。物価が上がります。「困るじゃないですか。お札をまいたら、物価があがりますよ。やっぱりダメですよ」でも、サービスが利用しやすくなり働く人も増えますよ。
 「わかったー! あまり物価が上がらない程度にお札をまけばいいんじゃないですか」そのとおり。そこで物価の上昇率、これをインフレ率というのですが、これを2%くらいすればちょうどいいということなんです。
 「2%じゃなくて1%じゃないんですか。ニュースで言ってましたよ」そうです。日本の中央銀行である日本銀行は、なぜか1%と言っているんですね。「どうしてぇ?」
 はい。では、次のパネルを見て下さい。これはフィナンシャルタイムズといって国際的に有名な経済新聞の一部です。経済の専門家なら誰でも読んでいます。


ヨーロッパの中央銀行のジャン・クロード・トリシェ総裁は任期終了のとき、この10年間のインフレ率は1.98%だったと指摘した。これは目標の2%以下だが非常に近い値で、これ以上に目標に近づけることはできない。

 ヨーロッパのユーロという通貨、お札ですね、これを刷ることができる中央銀行で一番偉い人だったトリシェ総裁が、自分の実績は目標をほぼ達成したことだと誇っているのです。この目標は、インフレ目標、または、インフレターゲット、というんですけれど、それが理想の2%にほとんど近かったというのです。ヨーロッパでも中央銀行は、2%のインフレ目標を掲げているわけです。
 もう少しフィナンシャルタイムズを読んでみましょう。中央銀行の仕事で一番大切なのは、インフレを行きすぎにしないこと。物価がどんどん上がるようではいけないということです。そして二番目に大切なことがこれです。

第二番目は、インフレ目標を下回ることは、上回ることと同様に悪いということを、明確にすることだ。ユーロを使う国々の経済の健全性にとってデフレが深刻な脅威となっているとき、インフレ目標を下回って安心しているとしたら、上回るよりもスキャンダルである。

 経済がデフレの状況にあるとき、中央銀行が2%のインフレ目標以下で手を打たないでいるというのは、スキャンダルだというのです。わかりますか? 手を打つというのは、お札を刷るということです。実際には、いろいろな手法を使ってお札を刷るのと同じ効果があるようにします。
 「え-?でも、日本の中央銀行は2%ではなく、1%のインフレ目標を掲げているんでしょ。それじゃ、最初からスキャンダルじゃないですか?」いいところに気がつきましたね。ヨーロッパよりも深刻なデフレが続けているの、なぜ日本の中央銀行である日銀は1%のインフレ目標と言っているのでしょう。
 はい。最後にもう一箇所、フィナンシャルタイムズを読んでみましょう。

中央銀行の独立性とは、政治家が決めた目標を達成するのに、政治家自身がするよりも、中央銀行が自律的にしたほうが上手する能力があるということだ。民主主義の社会では、中央銀行の目標が社会の経済の健全性に合っていないと人々が感じるようだと、中央銀行の能力も実行できない。

 これはどういうことかと申しますと、まず、中央銀行の目的は政治家が決めるということ、そして決めた目標を実行するときに、政治家が口をはさむとうまくいかないので、まかせてください、というのが中央銀行の独立性だということです。わかりますか?よく誤解されるのですが、中央銀行の目的を中央銀行が定めてしまうのが中央銀行の独立性ではないんです。
 次に、中央銀行がきちんと仕事をすること、具体的には2%のインフレ目標に努力するためには、みなさん、日本の国民がひとりひとり、ああ、中央銀行がいい仕事をしているなあ、と理解する必要があるということです。
 「しつもーん!」はい。「わたしたちは、日銀はいい仕事をしていると思っているのに、なぜ1%のインフレ目標なんですか?」はい。そこがむずかしい問題です。というはですね。中央銀行のいい仕事というのは、2%のインフレ目標に努力するということなんですが、日本銀行がそうしてこないのは、日本人がそうしないほうがいい仕事だと思っているからなんです。「わかりませーん。だって、それだと日本人はデフレが好きみたいじゃないですか?」ええ、そうなんです。
 はいっ、時間が来たようです。ではまた。

参考
FT "A job description for Frankfurt"(Apr 29, 2012)


At the end of his ECB presidency, Jean-Claude Trichet liked to point out that inflation averaged 1.98 per cent in the euro’s first decade. It is impossible to come closer than this to the target of “below, but close to two per cent”.


Second, they should make absolutely clear that undershooting the target is as bad as overshooting it. At a time when deflation is a real threat to the eurozone’s economic wellbeing, it is a scandal that the ECB should be more comfortable below the target than above it.


The value of independence is that an autonomous central bank is better able to achieve goals set by elected leaders than those leaders themselves. In a democratic society, this ability cannot be sustained if the population feels that the central bank’s goal is at odds with their economic wellbeing.

 
 

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コメント

せんせーい、なんで2パーセントなんですか?cat

投稿: | 2012.05.02 23:44

表現をリニューアルされたようですが個人的にはあまり感心しません。
極東ブログさんは定期的に拝見していたのですが硬派な感じが好ましいと思っていました。内容は硬軟でしょうが、気持ちが伝わってこないように感じます。

以前のスタイルを望みます。

投稿: ひでぢ | 2012.05.03 05:52

>ひでぢさん
個人のブログなんだから文体くらい自由にさせてあげようよ。どうみても実験じゃないか。実験する度に批判が来るようじゃおちおち改善もできないよ。
あと、「感心しません」って上から目線の言葉ですね。上司や先生以外の人から言われたら腹立ちそう。

>2パーセント
マイルドデフレはマイルドインフレよりずっと怖いから、その「のりしろ」というのが有力な意見です。

投稿: 表現について | 2012.05.03 19:40

「感心しません」というという表現が不適切だったようですね。上から目線のつもりではありませんでした。謝罪いたします。
ブログの内容がなかなか読ませるものがあるなぁと感じていまして、以前の文体が内容に合っていると思っていただけです。
個人ブログですし実験などに口をはさむつもりはまったくありませんでした。
重ねて謝罪いたします。

投稿: ひでぢ | 2012.05.03 20:30

題名からしますと今回のエントリーは問いなのでしょうか?日銀はJASDAXに上場している民間銀行です。
日本国債を担保に日本銀行券を発行。国債の金利受け取りで収益を得ています。ですので国債金利が低い現在、日銀の株価はバブル崩壊以前の1/100以下になっています。銀行券自体は日銀の金利の付かない社債です。社債を通貨にというのは違和感がありますが、これはお上がこれを通貨として使いなさい。税金はこれでしか受け取りません。と取決めている事で仕組みが回っています。通貨そのものに価値がある制度と異なり、権力が介在する通貨をファイアット通貨といいます。又、通貨を発行しているのは日銀だけではありません。企業は会社の資産を担保に社債を金融機関等に引受けてもらい通貨を発行しる事ができます。
ちょっと陰謀論的に書きますと、日銀の次に通貨を発行しているのは東電でしょう。なので東電問題の最大の本質はここにあるのだろうと思っています。

投稿: ヒロ | 2012.05.04 12:50

面白いです、是非続きをお願いします。

投稿: Q | 2012.05.05 22:40

日銀総裁の仕事は日銀を守ることであってそれ以上でもそれ以下でもないですよね!
早々に日銀法改正すべきです。

投稿: | 2012.05.07 22:44

服部正也さんの「ルワンダ中央銀行総裁日記」を先日読んで、中央銀行というのはそもそも国の為にあるんだ、というのを実感しました。
少なくとも日銀のある時期まではその精神は確実に根付いていて、恐らく今もそうなんじゃない?ってのが、僕の考えです。

投稿: | 2012.05.20 20:55

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