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2012.05.27

「努力」とはなにか

 「努力」とはなにか、について考えたら、文字認識のゲシュタルト崩壊じゃないけど、意味のゲシュタルト崩壊を起こして、えっ?えっ?、「努力」って何? 意味わかんねー状態になってきた。
 「努力」とはなにか? なんて考えるのが間違いの元だというのは、わかっているんだが、気になるとダメ、もう。
 話のきっかけは、これ、「「努力できる人」は脳が違う」(参照)というワイヤードの記事。へえと思った。そう思う人も多いんじゃないか。ネット界のゴミ箱とも呼ばれアルファーブロガーなら閲覧禁止指定がデフォでしょとされるブコメを覗くと予想通り、たんまり食いついている(参照)。
 私はというと、いや頭を抱えて、そして冒頭のゲシュタルト崩壊に至った。ちょっと説明させてくれ。
 記事の冒頭を引用するから、読んで味噌。

退屈な作業をやりとげようとする意欲の強い人と、途中であきらめてしまう人がいる。彼らの「脳の違い」を明らかにする研究が行われた。

この文章を書いているわたしは、そのうち退屈し始めるだろう。文字を見続けることに飽きて、気晴らしを求め始めるのだ。この画面から去って、どこか別のページへ行き、まったく関係ないサイトで楽しむ。そうした無駄な時間をしばらく費やしたあと、罪悪感が大きくなってきて、再びこの文章に戻ってくるはずだ。

それは、われわれの内にある「動機」と、外から来る「退屈」との果てしない闘い、意志と快楽のせめぎあいだ。何をしなければならないかは知っているが、したいことをするほうがずっと簡単なのだ。


 え?と思ったのだった。それって、「努力」?
 添付写真では"effort"が下線で強調されている。"effort"=「努力」という翻訳記事なんだろう。
 疑問は、ですね、「退屈を乗り越える能力」のことを「努力」って言いますか? なんか変じゃないか。再びはてブを見る。あった。

raitu これは「退屈我慢能力」というよりは「どんなものにもゲーム感覚を見出して楽しめる能力」の話。短期的には損得勘定上「やるだけ損」な作業でも愉しみを見出せるかどうか。自分は普段ちゃんと寝てるとそうなりやすい
m-tanaka 「退屈な作業をやりとげようとする意欲の強い人」は「努力の出来る人」とは違うと思う

 記事読んで、それって、「努力」?と疑問に思う人は300人に1人くらいはいそうな感じ。
 ええと私はですね、ゲシュタルト崩壊から0.5秒後に立ち直った後で、これ、誤訳じゃないのと思った。いや、英語的に誤訳とか思わないし、ネットでありがちな誤訳の指摘という話ではない。
 「努力」とはなにか? 大辞林を引いてみるとこう。

心をこめて事にあたること。骨を折って事の実行につとめること。つとめはげむこと。 「目標に向かって-する」 「-のたまもの」

 なるほど。「心を込めて」するわけですよ。「骨を折って」するわけです。痛そう。
 ロングマンで"effort"を引いてみた。

1 physical/mental energy
the physical or mental energy that is needed to do something

 「何かをするために必要な気力または体力」
 なーる!
 気力だから、どこまで続くかという話なわけですよ。納得。
 でもそれって日本語で「努力」っていいますかね。
 ロングマンをさらに見ると。

2 attempt
an attempt to do something, especially when this involves a lot of hard work or determination

 「何かに挑戦すること」が"effort"なわけか。
 学生援助募集サイト!とか挑戦するのも"effort"か。それに、困難や決意が伴うとより"effort"らしくなる、と。やっちまってから困難や決意が求められるというのはちょっと違う。なーんて冗談を書いてみたんだが、ロングマンの用例に"a fund-raising effort"というのもあった。やっぱ、"effort"なのか
 日本語の「努力」と英語の"effort"とでそれほど意味が違うということでもないといえばそうなんだろうが、現代英語だと、エネルギー量みたいなイメージが先行するとは言えそうだ。
 実際、この記事も、そうした量的概念を前提とした実験モデルになっている。
 今まであんまり考えてなかったが、語源も見ると、"esfort"とあり、"force"というがコアになっている。もとから、「力の発揮」みたいな言葉なわけか。というか、英語のウィキペディアだと"effort"で"energy"に飛ばされた。あっ! てこの原理で力点のことを"point of effort"というのだったな。

 ベタに、ぐいっとする「力」というわけか。
 ついでなんで、ボードゲームのタイトルで気にもなっていた"endeavor"も見ると。


attempt to do something new or difficult

 これは「努力」というより「挑戦」と訳したほうがいいような感じ。
 日本人だと「努力」というと心や精神の構えのような、徳目として考えがちがだが、欧米人の"effort"というのは、「レバ刺し食っていっちょやったるかぁ」みたいなノリなんじゃないか。(欧米人がレバ刺し食うか知らんが)
 
 

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コメント

effortは「労力」と訳すと一番しっくりくる気がします。
白人は、effortとoutputを天秤にかけて行動することが
多いですね。painとgainに似てる感じ。

投稿: | 2012.05.31 01:39

「努力」なんて単語だけを切り取るから崩壊するのでは?
まえに父の納税の件を話ましたがアレも脱(節)税の努力をしなかったと言えばそうです
でも父は一方で納税が日本人の社会を支えていることをよく話しています
財政難でいよいよ現実味を及ぼし始めた生保問題を呑気に芸能ネタと捉える日本人に呆れるわ
西洋云々じゃなく人間性の問題だよ

投稿: シーモンキン | 2012.06.12 15:18

人間性、とか…呑気に生保云々、とのコトバ自体の中に差別化偏見の眼が根強く存在するように感じるのですけど…ね?ま、発言するの自由ですけど、発言した己の責任は果たして頂きたい。これ大切ですね。

投稿: 蟻んこが一番です! | 2012.07.07 05:31

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